幼児向け「はたらくくるま」図鑑に戦車 不適切との指摘
出版社の講談社ビーシーは22日、幼児向けの乗り物図鑑「はじめてのはたらくくるま 英語つき」に、装甲車両や戦闘機などを掲載したのは不適切だったとして、同書は今後増刷しないと発表した。「武器としての意味合いが強い乗り物を子ども向けの本に載せるのは不適切だ」などと、市民団体や読者から指摘があったためだという。
同書は3~6歳向けで、2018年11月に講談社が発行。子会社の講談社ビーシーが編集を担当した。全30ページのうち6ページで、自衛隊の装甲車両や戦闘機を取り上げたという。中には潜水艦など、車ではないものもあった。本の回収はしないとしている。
講談社ビーシーの担当編集者は取材に対し、「様々な種類の車両を紹介したいとの思いだったが、幼児向けの知育図鑑としては適切でなかった。政治的な意図や要請があって掲載したわけではない」と話した。
小さな子供は働く車が本当に大好きです。街中でパトカーや消防車を見かけると、すぐに指を差して反応します。幼心で「かっこいい」と感じるのでしょうか。
こうした車両が掲載されている本も大好きです。書店でも目立つ所に置いてあります。売れ筋なのでしょう。
しかしながら、上記記事で取り上げられている「はじめてのはたらくくるま 英語つき」は異色です。
内容や目次を見てみましょう。
【内容説明】きれいな写真で子供が大好きな「のりもの」全般を紹介します。
小学校英語必修化を受けて、各名称にはカタカナでの読み方ガイド付き。
大人も楽しめる内容です。消防車、救急車、パトカー、バス、トラック、建機、さらには潜水艦や戦車と、乗り物好きのお子さんが大満足する美しい写真満載でお届けします。
【目次】
しょうぼう
けいさつ
こうじげんば
まちのなか
いろんなばしょ
りくじょうじえいたい
こうくうじえいたい
かいじょうほあんちょう?かいじょうじえいたい
こうそくどうろ
JAF
いろいろなきんきゅうしゃりょう
そうじをしてくれるくるま
官公庁で利用されている緊急車両等をメインに、工事車両や清掃車両も取り上げられています。
自衛隊で利用されている車両を掲載する事自体は問題だと感じていません。
問題なのはページの2割を自衛隊に割き、車ではない潜水艦・護衛艦・戦闘機・巡視船等を掲載している点です。
題名と中身が合致していません。
特に気になったのは、表紙の帯を取ると消防車の前で整列している消防官や自動小銃を構えている自衛官が表れる点です。
【帯あり】
【帯なし】
書名と中身の不一致、武器を構えた自衛官の掲載等、児童向けの書籍としては問題があります。購入者の誤解を招きます。
子供向けの書籍を買う場合、我が家は書店で現物を確認してから買う事が多いです。中身をパラパラみたら「どうして戦闘機が?」と気づいたでしょう。
しかし、Amazonで表紙買いしたら、表題と中身の不一致に気づくのは商品が届いてからでしょう。少し困ってしまいそうです。
数多くの自衛官や戦闘機等を掲載した書籍を出版したいのであれば、書名を「はたらくじえいたい」とすべきでした。
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(7/26追記)
プレスリリースが掲載されました。
BCキッズ「はじめてのはたらくくるま英語つき」につきまして
弊社が編集いたしました「はじめてのはたらくくるま 英語つき」(2018年11月講談社発行)20ページ~25ページの記述につきまして、以下の通り、お知らせ申し上げます。
今回「はじめてのはたらくくるま」のなかで、「くるま」というカテゴリーに入らない乗り物、武器としての意味合いが強い乗り物が掲載されていることに関しまして、読者の皆様方からご指摘やお問い合わせをいただきました。
この件につきまして、弊社は当該の書籍が3~6歳という未就学児を対象とした「知育図鑑」として適切な表現や情報ではない箇所があったと考えております。本書についてはこれ以降の増刷は行わないこととしました。
今後、皆様方のご指摘やご意見を活かして、「図鑑」のジャンルに限らず、書籍の編集、発行をする際には、より細心の注意を払い、適確な情報を読者の皆様に届けられるよう、一層努力して参る所存でございます。
株式会社 講談社ビーシー
各自衛隊が開催する基地祭等には、数多くの家族連れが訪れています。「子供が自衛隊や装備と触れ合うのは良くない」とは考えていません。あくまで各家庭の選択でしょう。
次に出版するなら「にほんをまもるじえいたい」が良さそうですね。戦隊物の延長で楽しめるかもしれません。