親世代が子供の頃と比べ、格段に難易度が増している教科があります。英語(外国語)です。
既に小学校3~4年生では外国語活動、5~⑥年生では教科としての外国語が行われています。それに加え、中学校で学ぶ英語の内容が驚くほどに難化しています。
最も分かりやすいのは、中学校3年間での目標となる英単語数です。過去の学習指導要領に遡って調べました。
新たに学習する語数(概数) | ||||
小学校 | 中学校 | 高等学校 | 計 | |
昭和52年改定(1977年) | 900~1050語 | 1000~1200語 | 1900~2250語 | |
平成元年度改訂(1989年) | 1000語 | 1000語 | 2000語 | |
平成10年度改訂(1998年) | 900語 | 900語 | 1800語 | |
平成19年改訂(2007年) | 400語 | 1200語 | 1800語 | 3400語 |
平成29年改訂(2017年) | 600~700語 | 1600〜1800語 | 1800~2500語 | 4000~5000語 |
親世代が「今時の小中学校で習う英語は難しい」と思うのも無理はありません。親(概ね40代~50代)が中学生・高校生の頃に学んでいた英語の語数は2000語前後でした。
しかし、現在の学習指導要領では、同程度の語数を中学3年生までに学習し終えてしまいます。文法事項等も前倒しになっています。同じ「英語」という教科であっても、一昔前とは全くの別物です。
学習する語数が大幅に増えたのは、平成19年改訂からでした。いわゆる「ゆとり教育(平成10年改定)」が激しく批判されました。
子供が小中学校で学んでいる英語の教科書には一通り目を通しました。使われている語彙が増え、更に長文や会話文が大幅に増えています。これを学校教育だけでマスターにするのは容易ではないでしょう。子供向けの英会話教室が流行するのも納得です。
子供も「中学校での英語の授業が早い」と零しています。中学校で学ぶ語数が倍増しているにも関わらず、授業時間数に大きな変化はありません。授業をスピードアップし、英単語は自宅で学ぶのが暗黙の了解になっているのでしょう。
更に大阪では府立高校入試において英語民間資格(英検とTOEIC等)を大きく優遇しています。
実は小学校で学ぶ英語の授業はお遊び程度に捉えていました。しかしながら、小学校で一定程度の英語を身につけてきたという前提の下で中学校の英語学習は進められています。このギャップは大きいです。
家庭で出来るのは英語の前倒し学習でしょう。少しずつでもコツコツと身につけておけば、中学校での英語の授業が少しでも楽になるはずです。
中学校での英語が難しくて理解が追いつかない生徒がいる一方、小さな頃からの学習で点数を積み重ねている生徒もいます。
実は5教科の中で、英語が最も二極化が進んでいる事を示すデータがあります。大阪府が中学生向けに毎年実施しているチャレンジテストの結果です。
一般的にグラフは正規分布になる筈ですが、英語だけは違った結果を示しています(画像右下部分)。75点~79点・80点~84点よりも、85点~89点・90点~94点・95点~100点の人数が明らかに多いのです。グラフのピークが2箇所に現れています。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/24765/00437855/R4_kekkagaiyou04.pdf
英語が全く理解できない生徒と、英検2級取得等を通じて授業が不要な程に理解している生徒、それぞれの生徒が相当数います。
親としては子供の英語学習に本腰を入れて対応しなければなりません。甘く見ていました。
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