小金井なないろ保育園(東京都小金井市)にて保育士の集団欠勤が発生しました。事実上のストライキです。
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(5/30追記)
在園児の約半数が転園します。
多数の保育士が出勤せず、保護者に登園自粛を促す事態に陥っていた東京都小金井市の私立認可保育所「小金井なないろ保育園」(定員八十人)で、在籍する園児のうち三十五人ほどが六月一日付で、他の保育園などに転園することが決まった。在籍園児数が定員の約半数に減るため、登園自粛の要請は解除されることになった。
労働環境の改善を求めた保育士によるストライキに経営側が応じず、多くの園児が園を離れるという最も残念な結果となってしまいました。施設側の責任は極めて重大です。
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(4/26追記)
小金井市議会で取り上げられました。
東京都小金井市の私立認可保育所「小金井なないろ保育園」(定員八十人)で保育士十三人のうち九人が出勤せず、一時休園するなど運営上のトラブルが続いている問題が、二十五日の市議会厚生文教委員会で取り上げられた。市側は「九人が復帰したという情報はない。一部は辞めるという話もあり、事態は流動的だ」と現状を説明した。
同園は十九日に一時休園し、二十日に再開したものの、保育士不足は解消されておらず、産休や育休中の保護者らに家庭内保育を要請し、受け入れ園児数を五十人弱に縮小して運営している。
厚生文教委での市側の報告によると、市は緊急措置として二十六日から三日間、なないろ保育園の園児を市立園五園で二人ずつ預かると決定。緊急預かりには保護者十二人から申し込みがあり、抽選で十人が決まった後、キャンセルにより現在は八人となっている。
五月以降の緊急預かりについて、市側は「今後の状況を見ながら判断したい」と説明している。市は他の保育園への転園希望にも応じており、申込期間を延長して対応する方針。市への相談や問い合わせは「かなりある」とした。
保育士らが出勤を拒む理由の一つに挙げている設備修繕の問題については、市が現地を確認したところ「園の設置基準を満たさない状況はない」という。
上記記事を読む限りですが、小金井市は運営法人と保育士との間を取り持つ事に消極的な姿勢です。
保育士側からの設備修繕の要求に対し、市は「設置基準を満たさない状況ではない」と示しており、すなわち「市は設備修繕に関する指導を行わない、行えない」という考えが伝わってきます。
ただ、設置基準はあくまで安全な保育を行う上での最低基準です。(内容に因りますが)これを上回っても差し支えはありません。むしろ労働環境や保育環境の向上という観点からは好ましいと言えるでしょう。
保育士側の要求が受け入れられないのであれば、多くの保育士が離職するのは避けられません。市の消極的な姿勢が、市全体の保育行政や保育所等の運営に大きな影響を及ぼします。
何より小金井市が保育問題の解決に消極的という姿勢が多くの子育て世帯に伝わってしまいます。こうした自治体に居住するのを避ける一因となるのは明白です。労使対立への深入りを避ける事により、市内外の子育て世帯の信頼を失おうとしています。
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(4/24追記)
22日に行われた説明会によって理由が明らかになりました。「人員不足で休憩が取れない」「設備修繕が行われていない」といった、真っ当な不満が蓄積していました。
保育士の七割が出勤せず、一時休園するなど運営上のトラブルが続いている東京都小金井市の私立認可保育所「小金井なないろ保育園」(定員八十人)で二十二日、保護者説明会が開かれた。事態を重く見た市は来週後半から、園児を市立園五園で各二名ずつを緊急預かりで受け入れるなどして側面支援することを決めている。
園を運営する社会福祉法人が開いた説明会には約六十世帯の保護者らが出席。小島章敬理事長が冒頭、十九日に保育士十三人のうち九人が出勤せず臨時休園したことなどを陳謝した。保育士らが出勤しなかった原因については、人員不足で休憩が取れないなど園長への不満が続出したことや、保育士らによる設備修繕の要求に未対応だったことなどを説明した。出席した保護者の一人は「労使がうまくいっていないのが分かった。園児や保護者にはとんだとばっちりだ。保育士に職場復帰を依頼中というが、五月以降の受け入れ態勢は不明確だった」と不平をこぼした。
保育士側が施設長へ要求していた内容は、いずれも当然の物です。休憩は労働者の権利、そして適切な設備修繕は園児や保育士が安全かつ快適な時間を過ごすのに必要不可欠です。
恐らくは何度も何度も複数の保育士が施設長へお願いしても対応されず、最後の手段としてストライキを選択したのでしょう。一言で言い表すと「労使が上手くいっていない」です。
小金井市は市立保育所にて園児の一部を緊急的に預かる措置を行います。本来は園児が通い慣れた施設で保育を行うのが望ましいのですが、なないろ保育園へ派遣するだけの人員が市立園にもいないのでしょう。
ただ、小金井市に求められている役割は、小金井なないろ保育園の運営を一刻も早く正常化させる事です。保育士側の正当な要求に対する法人の真摯な対応を求め、適切な円運営を行える人材を同園に配置させ、もって保育士の職場復帰を求めるのが筋です。
市が介入しない限り、運営法人と保育士との交渉は成立しません。保育士としては成就するか分からない要求を行い続けるより、他の保育所等に転職する方が合理的だからです。既に他園への転職を決めている保育士もいるでしょう。
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保育士13人中9人出勤せず 小金井なないろ保育園 一時休園
東京都小金井市内の私立認可保育所「小金井なないろ保育園」(定員八十人)で保育士十三人のうち九人が出勤せず、一時休園するなど運営上のトラブルが続いていることが、関係者への取材で分かった。園を運営する社会福祉法人なないろ(千葉県市川市)は二十二日に保護者説明会を開き、小島章敬理事長らが釈明する。
市や法人、保護者によると、一時休園したのは十九日。前日夜、メールで保護者に知らせた。法人が運営する他園や本部からの応援を入れて二十日に再開したが、保育士の必要数は確保できず、受け入れる園児を約五十人に縮小。
保護者宛てのメールで「二十八日までは産休・育児休暇中の方、また家庭保育が可能な方はできる限りの家庭保育のご協力をお願いいたします」と登園自粛を要請し、しのいでいるという。
法人による市への報告では、トラブルの原因は施設長と保育士らとの人間関係だったという。
保護者の一人は「保育士の人手不足は各地で問題になっているが、小金井市でも起きてしまった。一大事だと感じるが、詳細が分からないので不安だ」と話した。
小金井なないろ保育園は東京都小金井市貫井北町2丁目2にあります。JR中央線武蔵小金井駅まで約600メートル(徒歩10分)の場所です。乗り換え無しで新宿へ通勤できる、非常に利便性が高い地域です。
19日以降、小金井なないろ保育園では勤務する保育士の半数以上に相当する9人が出勤していません。
欠勤する事によって日々の生活が行き詰まりかねない園児や保護者の姿が頭を過ぎったはずです。それでも集団欠勤(事実上のストライキ?)を選んだのは、施設長との人間関係が極めて深刻だったのを物語っています。
とある保護者が指摘する通り、保育士不足は各地で深刻です。但し、こうした集団欠勤を行った事例は殆どありません。
また、トラブルの予兆は以前からあった筈です。施設長や理事長の耳にも入っていたでしょう。小金井市の保育担当に苦情・相談を行った保育士もいるかもしれません。そのタイミングで適切に対応出来ていれば、こうした事態は免れたかもしれません。
トラブルの具体的な内容はまだ明らかになっていません。ただ、多くの保育士が賛同したからには、多数が納得して行動せざるを得なかった、具体的かつ強固な理由があったと考えざるを得ません。
9人の保育士は退職含みで行動しているのでしょう。深刻な保育士不足が生じている昨今、転職するのは容易です。