待機児童に関する保護者と行政の認識の違いは顕著です。
前者は入所申込を行ったが保育所へ入所できなかった児童と捉える一方、後者は入所できなかった児童の内、育休中でないなど一定の基準を満たす児童のみを計上しています。
「待機児童」という言葉の定義は自治体によってマチマチです。

 認可保育所への入所を断られたのに待機児童に数えられない「潜在的待機児童」といえる子どもが、全国の二十政令指定都市で少なくとも計一万八千九百七十五人(四月一日時点)いることが、各市への照会でわかった。各市が公表した待機児童計二千七百八十六人(同)の六・八倍に上る。保育所不足の深刻さをあらためて示す数字だ。

 全国の待機児童の数は国が毎年二回の統計で公表している。だが待機児童の定義は曖昧で、(1)親が育児休業中(2)求職中(3)認可保育所以外の地元自治体が助成する保育サービスを断った-などの場合、自治体によっては待機児童に数えないことがあり、統計に表れない待機者を生む原因になっている。その数を公表するか否かが自治体に委ねられていることも、実態を見えにくくしている。日本保育学会の村山祐一評議員は「本来、待機児童に含まれるべき子どもが除かれている。正確な数を把握しなければ、保育所不足の問題は解決しない」と指摘する。

 二十政令市の回答によると、潜在的待機児童が最も多いのは川崎(二千五百八人)で、次いで大阪(二千四百八人)横浜(二千三百六十四人)。少ないのは新潟(二十四人)千葉(三百十四人)静岡(四百八人)だった。

 二十市のうち七市が四月時点で「待機児童ゼロ」を達成したとしたが、このうち名古屋、福岡には千人を超える潜在的待機児童がいるのが実態だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014062302000106.html

記事中の表に記載されている「潜在的待機児童」は、入所申込を行ったが入所できなかった「入所保留児童」から、行政が定義する「待機児童」及び一定の児童(転所希望・補助金を受けている認可外保育施設を利用している児童等)を除外して算出している様子です。

記事の表から一目瞭然ですが、自治体が発表する「待機児童」は保育所入所に関する実態と乖離しています。
また、「潜在的待機児童数」の定義も自治体毎により微妙な差があります。

各自治体毎で保育所への入所のし易さを調べるには「入所保留児童数」を見るの最適です。
つまり「入所申込を行ったが入所できなかった児童数」であり、何らかの裁量や解釈が入る余地が無い数字です。

また、自治体内での地域差も大きいのが現実です。
たとえば大阪市の場合、市中心部ほど保育所へ入所しにくく、郊外になると入所しやすくなるのが一般的な傾向です(例外はありますが)。
保育所が相対的に少ない市中心部において、再開発によって建設されたマンション等へ子育て世帯が転入しているのが一つの要因だと推測されます。

こうした地域毎の数字は自治体毎の数字を見るだけでは分かりません。
各区毎の入所保留児童数を見る必要があります。
また、区内部でも入所しにくい地域としやすい地域が分かれているケースも多々あります。
そうした情報を知りたい場合はどうすれば良いのでしょうか。

保育所への入所に関する地域情報は区役所の保育所担当が有しています。
両親の就労状況・入所を希望する児童の年齢・入所を検討している地域ないし保育所をメモした上で、同条件であれば昨年は入所できていたかを区役所の担当職員に訊くのが近道です。
私も入所申込前に区役所で「A地域は共働きでも入れない方がいる、B地域は共働きならほぼ入れる、C地域は短時間勤務でも入れる」といった話を聞きました。

大阪市は各区毎のみならず各保育所毎の入所状況・入所者点数を公開しており(全国唯一かもしれません)、保育所に関する情報公開では一足先を走っています。
当Webでは公開された情報を基に加工・分析を行っており、参考になれば幸いです。