大阪市で保育料の計算ミスが相次いで発覚しています。共通点は「多子軽減措置の適用誤り」です。

多子軽減措置とは、小学校就学前に保育施設等を利用している子供の保育料が半額(2番目の利用者)、無料(3番目以降の利用者)となる制度です。

なお、市民税所得割以下が一定以下の世帯については、保育施設等の利用の有無や年齢は問われません。また、1号認定(幼稚園やこども園の一部)は年齢・在籍用件が「小学校3年生まで」とされます。

小学校就学前で保育施設等を利用している子どもについて年長順に数えて、 2人目の子どもは半額(保育料金額表の()内の金額)、3人目以降の子どもは無料となります。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000563670.html

しばしば「第2子は保育所保育料が半額、第3子は無料」と言われますが、これは大間違いです。同時在籍が要件とされます。これによって大きな影響を受けるのは歳が離れたきょうだいを育てている家庭です。

たとえば第1子が小学校5年生とすると、保育所1歳児クラスに在籍する第2子に掛かる保育料は全額です。高校生・中学生・小学生・保育所という家庭でも、第4子に掛かる保育料は全額です。

きょうだいの年齢や保育所等の在籍の有無により、保育料には大きな違いが生じています。多子世帯の経済的負担の軽減を図る観点からは、年齢等に関わらず「第2子は半額、第3子以降は無料」とすべきでしょう。不合理な措置です。

実は我が家もこうした制度に苦しめられている世帯の一つです。保育所に在籍している子供が1人だけなので、保育料をフルで払っています。

この制度は区役所でも混乱を招いています。多子軽減制度が複雑なのに加え、どうやら手作業で判定を行っている様子です。

大阪市では数万人が保育所等を利用しています。複雑な適用要件を人間が判断していたら、どうしても間違いが生じてしまいます。

淀川区役所で保育料の計算ミスが発覚したのを受けて他区役所でも確認した所、複数の計算ミスが明らかになりました。

区(リンク先に詳細)影響額原因
淀川区135,680円多子軽減措置の対象児童から除外すべき第1子を含め、半額なのに無料と計算した。
阿倍野区・西区1,768,220円(2子合計)認可外保育施設を利用している2児を多子軽減措置の対象児童数に含め、全額・半額とすべきなのに無料と計算した。
大正区300,360円認可外保育施設を利用している第1子を多子軽減措置の対象児童数に含め、全額とすべきなのに半額と計算した。
港区463,590円(還付)きょうだいで入所したにも関わらず多子軽減措置の適用を忘れ、半額とすべきなのに全額と計算した。
旭区288,890円多子軽減措置の対象児童数から第1子を除外せず、全額負担とすべきなのに半額して計算した。
住吉区103,630円第1子にも関わらず第2子と判断し、全額負担なのに半額として計算した。

いずれも多子軽減の適用ミスです。

長期に渡って誤った保育料を請求していた為、影響額は小さくありません。中には1,768,220円(2子合計)の追加請求が行われた家庭もあります。すぐには払えないどころか、払う気力を無くしてしまう額です。

保育料の計算ミスは起きてはならない事です。しかし、そのミスを招いたのは複雑な多子軽減制度です。きょうだいの年齢や在籍の有無に関係なく、「第2子は保育所保育料が半額、第3子は無料」とすればこうしたミスは生じません。

同じ意見は5年前に大阪市民の声へ寄せられていました。

【大阪市民の声】「歳が離れた子供も保育料多子減免の対象として欲しい!」

来年4月には大阪市長選挙が行われます。一部の候補者は「保育料の完全無償化」と主張しています。が、その前にこうした取扱いを是正し、きょうだい間の年齢差で差別される事がない制度に改めて欲しいです。

また、毎月請求される保育料が妙に高かったり安かったりした場合は、請求ミスが起きている可能性があります。区役所へご相談下さい。