昨年8月の素案から二転三転し続けてきた平成27年4月以降の大阪市保育所・幼稚園等の保育料がようやく決定しそうです。
当初提出された予算案が修正され、12日にこども教育委員会にて可決されました。
13日に開催される本会議でも可決される見通しです。
(追記:予定より遅れて15時から本会議は始まり、16時35分から休憩に入りました)

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21時追記:当初予算案(修正部分を除く)、修正予算案、及び公明・自民・みらいの各会派が提案した修正案の共通部分が可決された模様です(議案104号及び修正動議関係)。
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/result/201502_03.html
修正案の共通部分ってどこ?
共通部分の内容により、下記修正案が更に修正された内容が最終的に可決された様子です。
えー、最後はどんな内容になったのでしょうか?(明日、解読する予定です)
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(3/13追記)
解読しました。
【大阪市会】保育料の値上げ幅を大幅抑制する理事者修正案が本会議で可決
保育料部分は当初修正案(理事者修正案)の通りに可決されています(多分)。
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修正案の概要は大阪市ウェブサイトに掲載されています。

平成27年度当初予算案修正の概要(一般会計当初予算案)
 1. 保育所保育料・幼稚園保育料
  ○ 軽減措置の変更          修正前    修正後
   ・ 保育所保育料    国基準の 71.4% → 69.1%
   ・ 幼稚園保育料    国基準の 90.8% → 87.0%
  ○ 市立幼稚園新入園児に対する保育料改定の経過措置を設定
   【修正額】
     歳出            2億9,725万円
     歳入           △2億7,643万6千円
     差引一般財源      5億7,368万6千円
 2. 塾代助成事業
    助成対象者を、市内在住中学生の約8割から約5割に変更
   【修正額】
     歳出           △5億7,368万6千円
     差引一般財源     △5億7,368万6千円

http://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000302958.html

これだけでは具体的な保育料額等が分かりにくいので、3月12日に開催されたこども教育委員会のインターネット中継(数日後に掲載される予定です)から適宜引用します。

【保育所等保育料】
・一部の高所得階層を除き、現行保育料を据え置く
・世帯年収750万円以上では値上げとなる
・高所得階層(750万円以上?)の増額幅の上限を2,000円とする
・国基準の71.4%から69.1%とした
・3億8,700万円の市税を新たに投入した
(注:新保育料は平成27年4月から実施?それとも平成28年4月?)

【幼稚園保育料】
・8月素案と比較し、増額幅が大きい階層の増額幅を軽減する
・国基準の90.8%から87.0%とした
・平成27年4月の新入園児にも経過措置を適用する
・幼稚園等の保育料軽減の為に差し引き3,800万円、市立幼稚園の新入園児に対する経過措置に1億4,900万円、合わせて1億8,700万円の市税を新たに投入している
・素案から当初予算案になって5,000円増となった階層が修正案では3,000円増に軽減された
・平成28年4月より市立幼稚園は年収360万円までの世帯で3歳児4,400円、年収680万円までの世帯で9,600円の引き上げとなる

【質疑の要旨】
(維新・村上議員)(誤っていたので修正しました、失礼しました)
・保育料が政治的な駆け引きに晒されて残念である
・市民不在どころか、市民・子供達を巻き込んでしまい、非常に遺憾
・税の公平性を欠く現状での値上げに納得できない
※会派離脱届を提出したそうです。

(自民・黒田議員)
・保育所と幼稚園の保育料が国基準と比較して大きく異なり、幼稚園に対してあまりにも冷たい対応となっている
・幼稚園保育料は素案額に据え置くべき(←5,300万円の追加経費が必要)
・平成28年度新入園児からは一気に大幅な値上がりが予想されており、会派としては段階的措置を主張している

(みらい・山本議員)
・保育所保育料が値上げとなる750万円以上の世帯も現行水準を維持すべき(←9,100万円の追加経費が必要)
・産まれてから最も大事な場所が保育所、幼稚園であり、保護者の負担を軽減すべきである

(共産・井上議員)
・保育所保育料が当初予算案より軽減されたのは一定評価できるが、それと比較して幼稚園保育料は国基準と比較して高い水準にある
・市立幼稚園の保育料値上がりにより、セーフティネットとしての役割を果たせなくなる
・要配慮児は市立幼稚園で812人、私立幼稚園で230人いる
・本修正案は容認できない

保育料の修正案は行政・市会の間のみで協議が進められ、パブリックコメント・公聴会・説明会等によって保育所・幼稚園等の利用者やこれからの利用者等の意見を聞く機会が無かったのが印象的でした。
他自治体では、保育料変更そのものに対するパブコメを実施したり、審議会等の第三者機関によって慎重な検討を進めた例が幾つもありました。
変更案の是非は別として、何らかの形で市民の意見を募集すべきだったでしょう。
そうした機会が無かった為か、子ども子育て支援新制度や保育所入所選考基準等のパブコメに対して保育料関係の意見提出が相次ぎ、また各議員の事務所に多くの相談・陳情・請願が届けられた様子がうかがえます。

仮に素案のまま決まっていたら、3月末頃に「保育料大幅値上がりのお知らせ」が届き、各家庭から憤怒の声が沸き上がったでしょう。
「市民生活に直結する変更案は自ら情報を取りに行くべき」という主張もありますが、仕事・育児・家事に忙しい子育て家庭に求めるのは酷です。
素案発表の段階で「保育料変更素案のお知らせ」と称し、広報誌等による周知及び意見募集を行うべきだったのではないでしょうか。

子育て世帯の支援・現役世代への重点投資を行うのであれば、ニーズの把握・原案の周知・意見募集等を行い、限られた財政の中でより大きな効果を発揮できる施策を選択して実施すべきでしょう。
今回の場合、最終的には「塾代助成の拡大or保育料値上げ幅の抑制」での選択となりました。