(農水省より)
大阪府による「子供1人に米10kg」は話題を呼びました。
大阪府はデジタルクーポンでの配布を検討しています。当初はお米券を検討しましたが、方針転換をしました。
12月11日の吉村知事会見から関連部分(要旨)を書き起こしました。
・お米券ではないと思う、地域限定で使えるデジタルお米クーポンみたいな物はやるべきだと思っている。
・スーパーや小さな米穀店で購入できる仕組みを検討している
・お米に限定したクーポンは現物支給だと思っている
・アレルギーがいる人もいるので、米以外も選べる仕組みにしたい
・現金にするつもりは無い
・(お米の代替品として)日持ちするような食糧を支援したい
・最初はお米券で検討したが、大量に発行するのに時間や続きが掛かる
・手数料等が掛かるので、500円で440円のお米券しか買えない、送料等の中間経費も掛かる
・デジタルお米クーポンが出来ないかと制度設計している
・換金防止も狙い
・デジタルが使えない人にはQRコード等を紙発行したい
・地域のお米店でも使いたいという声も多い
・大阪府内のみで使えるスキーム
・お米の現物送付はない、僕の方で変わっている認識は無い
・お米以外の食料品は自宅に届く仕組み
・「近所の米穀店でも買えるようにして欲しい」という議員の声が非常に多かった(何度も繰り返す)
・ECサイトが入らない最大の理由は、「大阪府内の小さな米穀店で買えるようにして欲しいという議員の声」
「子育て世帯に米10kgを」という考え自体は納得できます。ただ、吉村知事の発言が揺れ動いていると言いますか、目線が動きながら言葉を選んでいるのが気になりました。
「お米の現物支給」と聞けば、誰しもが「お米その物が支給される」と受け止めます。知事も「お米等を送る」とツイートしていました。
大阪府内の全ての子ども(胎児を含む)に、一人あたり10kg相当のお米等をおくる。所得制限なし、子供の数の制限なしでやる。合計約140万人。食費物価高が続く中、子育て支援策としてやる。僕みたいなおっさんになると食べる量も減りますが、子どもは、よく食べ、よく育って下さい。未来を応援してます。
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) November 25, 2022
まさか「等」に「デジタルお米クーポン」も含まれるという認識なのでしょうか。少なくとも私は読み取れません。「お米に限定したクーポンも現物支給」とは詭弁です。
よりよい配布方法に変更していくのは当然です。ただ、外部に発表する前に、内部で十分に検討して欲しかったです。
クーポンに切り替えた本当の理由も不可解です。お米券のデメリットは複数を指摘しましたが、お米券に対するデジタルお米クーポンのメリットは指摘していません。強調していたのは「地域の米穀店でも使える様にして欲しい」という議員の声でした。
地域の米穀店は古くから商売している方が多く、その地域の有力者とも重複します。来年4月は統一地方選挙が行われます。選挙対策として米穀店に配慮したのではないか、という疑いが拭えません。
デジタルお米クーポンは地域商品券スキームを流用?
お米券の諸経費や換金性に対する評価は納得できます。一方、デジタルお米クーポンの制度設計や配布等に要するコスト等は不明です。そもそも「デジタルお米クーポン」たる物がこの世に存在するのでしょうか。
お米券を発行している全国米穀販売事業共済協同組合のサイトを探してみましたが、それらしき物は見つかりませんでした。
一つの可能性として考えられるのは、様々な地域限定クーポンを取り扱っているアプリ上にて「お米限定クーポン」を発行する方法でしょうか。
大阪府ウェブサイトにて申込み→申込者へハガキを発送→印字されたQRコード等をアプリで読み取る→アプリにチャージされる、という物です。
大阪市プレミアム付き商品券の様にアプリ上で決済し、その画面を店主が確認した後に商品等を交付します。
これならば比較的容易に実現可能です。ただ、クーポンで決済する商品がお米であるか否かを店舗で確認する必要があります。この手間が大変でしょう。他の商品が混在していたら、別で精算する必要があります。
物価高騰の影響を最も強く受けているのは、世帯人数が多い子育て世帯です。より効率的な、使い勝手が良い支援を願います。クオカードペイは使わないままに埃を被っています。