(農水省より)
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(3/1追記)
詳細が公表されました。お米の現物ではなく、5000円分の電子お米クーポンもしくは食料品を送付します。
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大阪府の吉村知事が「大阪府内の全ての子供(18歳以下)に、1人当たり10kgのお米等を送る」と公表しました。
大阪府内の全ての子ども(胎児を含む)に、一人あたり10kg相当のお米等をおくる。所得制限なし、子供の数の制限なしでやる。合計約140万人。食費物価高が続く中、子育て支援策としてやる。僕みたいなおっさんになると食べる量も減りますが、子どもは、よく食べ、よく育って下さい。未来を応援してます。
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) November 25, 2022
各紙も一斉に報じています。
大阪府は物価高騰への支援策として、府内のすべての子どもを対象に米10kg相当を配る考えを明らかにしました。
対象となるのは18歳以下のすべての府民約140万人で、1人あたり米10kg相当が配布されます。来年3月上旬から申請受付を開始し、3月中には配り始めることを検討しています。費用は約80億円となる見込みで、国の物価高騰対策の交付金で全額まかなうとしています。
(大阪府 吉村洋文知事)
「子どもはよく食べますから、食費がかかる中でですね、物価高で高騰しているとなればその食費を支援していきたい」また、吉村知事は保育所や障がい者施設などの福祉施設で働く職員に対してもコロナ禍で業務の負担が増えているとして、支援策として1人あたり1万円分のギフトカードを配る考えを示しました。
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20221125/GE00047051.shtml
うちの子もよく食べます。我が家はお米をよく食べる家です。米10kgを3週間程度で食べています。お米の現物支給は有り難い反面、「現物支給よりも現金を」「お米の配送コストは非常に高いのに、ロジ面は大丈夫だろうか」と感じました。
大阪府の吉村知事が同じ会見で触れていた「福祉施設職員へのギフトカード」は、令和4年度一般会計補正予算(第9号)案で計上されています。
福祉施設職員等への支援
感染拡大に伴う業務上の負担に加え、物価高騰の影響による生活上の負担が増加している介護・障がい・保育施設等の福祉施設職員等を支援するため、1 万円分のギフトカードを配付。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5163/00438140/r4hosei.pdf
が、唐突に打ち出したお米現物支給は、実は大阪府の補正予算案にすらまだ計上されていません。未だ部局内で検討されている段階の話を決定事項として打ち出すのは、過去に何度も見た光景です。
子育てには様々な物が必要です。お米もその一つです。現物支給でも何でも有り難い反面、やはり最も助かるのは現金です。ただ、事業費80億円を18歳以下の子供140万人で割ると、1人あたり5,714円にしかなりません。1人5,000円の現金支給でも助かりますが、インパクトは弱いです。
物理的に大きな問題となり得るのは、お米の配送コストです。ネット通販で購入する多種多様な物品とは異なり、お米は大型食料品です。マンション等の宅配ボックスには入れられません。「対面での受け渡し」が必須です。
荷物の対面受け渡しは厄介です。ネット通販等でしたら在宅している時間を予め指定して受け取る事が可能ですが、大阪府が行う事業にそこまでのきめ細やかさは期待できません。
大阪市が行ったコロナ自宅療養者向け支援制度でも、事前に配送日時が知らされぬままに唐突に持ってこられました。当時は常に在宅を強いられていたので受け取れましたが、事前予告なしに持ってこられてもまず受け取れません。
となると配送業者がお米を持ち帰ります。不在票に記載された電話番号へ電話し、日時を指定した再配達を依頼する事になります。こうした手順が大阪府内の100万世帯以上で生じます。
銘柄問題もあります。お米は品種や銘柄によって味が少しずつ異なります。水加減等も違ってきます。普段使いしていないお米を送られても、戸惑ってしまう家庭もあるでしょう。
あくまで推測となりますが、送られるお米は外食産業で広く使われている業務米になると推測しています。外食需要が回復せず、業務米がだぶついたままだと聞いています。
一般的なお米の価格は概ね5kgで1,200円~1,400円程度です。我が家は特売価格の1,000円~1,200円程度で買うことが多いです。通常価格の中間値たる1,300円を取ると、10kgで2,600円、子供140万人で36億4,000万円となります。
事業規模は80億円です。すなわち、お米に充てられる事業予算は恐らく全体の半分以下です。卸売から業務米を直接購入するので、小売価格より相当に安くなる筈です。それ以外の半分以上は間接経費等に充てられる格好です。
「5,700円で米10kg(銘柄不明、恐らく業務米)にの宅配を注文した」は、一般的な子育て世帯では話になりません。顔を洗って出直して欲しい話です。
物価高騰に苦しむ子育て世帯を「お米」で支援したければ、「お米券」を送付すれば済みます。
おこめ券とは
全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)が昭和58年から発行しているお米の商品券です。贈り物として幅広くご利用いただける券です。(お祝い・お礼・仏事・企業活動…。様々なシーンでご利用いただけます。)
1枚当たり440円です。我が家が日常的に利用している食料品スーパーでも利用出来ます。お米券があれば、好きな銘柄を選べます。それとも、どうしてもお米を現物支給したい意図等が大阪府にあるのでしょうか。
実は数ヶ月前に大阪府が行った「子供1人あたり1万円のクオカードペイ配布事業」にも不満があります。
これまでに我が家が利用したのは1回きりです。3万円近い残高が死蔵されています。大阪市が行っているプレミアム付き商品券は既に数万円以上を利用したのと比べると、雲泥の差です。
大阪府が行う子育てを直接支援する事業は、何かズレている気がしてなりません。様々なチャネルを通じて子育て世帯を日々付き合っている市町村とは違い、一定の距離があるからかもしれません。子育て世帯のニーズが分かっていないのです。
おこめ券や現金にしないのは、それだと子供の保育以外に親が勝手に使い込んでしまうのを防ぐメリットはあると思います(おこめ券なら額は減りますが、メルカリや金券ショップなどで売れる)
以前、国で10万円給付した際も、親の使い込みが問題になっています。
私の周りでは、やはり米は有り難いという声がほとんどですね。ずれてるとは思いません。むしろ、誰に対してもとなると、主食の現物支給しかないのかなと思います。
高級米くれとも思わないし、めちゃくちゃグレードの低い米でなければ、とにかく有り難いです。
何もしないのに比べれば、何かしらアクション起こすだけで本当に凄いなと思いますね。