【ニュース】待機児童解消へ大阪「特区」提案 保育配置基準を見直し、保育ママらを活用(2016/4/25)の続報です。政府の国家戦略特区会議において、大阪府の松井知事が正式に要望しました。
認可保育所設置条件 緩和を
05月10日 19時57分大阪府の松井知事は10日、政府の国家戦略特区の会議に出席し、待機児童の解消に向けて、認可保育所の設置の条件を自治体の実情にあわせて緩和できるよう要望しました。
東京で開かれた会議には、石破地方創生担当大臣や大阪府の松井知事らが出席しました。
この中で松井知事は、去年10月現在で3349人にのぼる府内の待機児童の解消に向けて、国の省令で定められている認可保育所の設置の条件の緩和が必要だという考えを示しました。
具体的には、▼保育士の資格がなくても、一定の研修を受けた人であれば要員に含められるようにすることや、▼原則3.3平方メートル以上となっている子ども1人あたりの面積を自治体の実情にあわせて緩和できるよう要望しました。
保育所設置要件、国に緩和を要望…大阪府知事
2016年05月11日関西圏や東京圏など全国10か所の国家戦略特区での規制緩和に関し、大阪府の松井一郎知事は10日、待機児童の解消に向けて保育所の設置要件を緩和するよう国に要望した。自治体が研修受講者を認定する「家庭的保育者」(保育ママ)を活用して保育士不足を補う内容。府は来年度の実現を目指している。
国は省令で、保育士1人が担当できる児童数を規定している。国は4月、保育士不足を補うため、必要な保育士数の3分の1までなら幼稚園や小学校の教員免許保有者で代替できるよう配置基準を見直した。
府の要望は、自宅などで少人数の子供を預かる保育ママも同等に扱い、保育士の割合を自治体が独自に判断できるようにするなど、さらなる緩和を求める内容。子育て経験者などを想定した「准保育士」(仮称)制度の新設も盛り込んだ。
10日に石破地方創生相も参加して開かれた特区会議で松井知事が提案。石破氏は「スピード感を持ってやっていく」と応じたという。
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160511-OYO1T50009.html
具体的な内容は国家戦略特別区域会議の関西圏提出資料に掲載されています。
提案1-2は保育所等に関する規制緩和となっています。地域の実情等に合わせて人員配置基準・面積基準を緩やかにするものです。
仮に実現されれば、現在によりも保育所で働ける人材の門戸が広がって採用しやすくなり、都市部等の狭い敷地等でも保育所が開所しやすくなるでしょう。
しかし、これらは「保育の質」に直結します。子育て支援員や保育ママ等の知識が保育士の劣後するのは否めません。狭い保育室で多くの児童の保育を行うと、ケガ等が発生する可能性は格段に上がります。小さな子どもに「部屋で走ってはいけません」と何度伝えても、簡単には聞いてくれません。
保護者の願いは「安心できる保育所」です。一方、保育所に入りたくても入れない保護者にとっては「とにかく保育所に入りたい」という願いもあるでしょう。両者の調和が難しい所です。
なお、提案3については概ね賛成です。ただ、人件費割合や内部留保額等の公表だけでは保育士の待遇は明らかになりません。
養成学校や保育短大等で勉強して保育所への就職を検討している学生でも、待遇等が容易に読み取れる情報が必要です。具体的には一般保育士の平均賃金・平均在職年数・平均年齢・離職率・36協定の有無・平均就業時間・有給休暇消化率等でしょうか。
また、これらは保育所を比較したい保護者にとっても有益な情報となります。離職率が高い保育所であれば先生の入れ替わりが激しく、子どもを担当する保育士が次々に入れ替わる可能性が読み取れます。
また、公開された情報等に対する適切な対応も求められます。保育所へ重要な要望をしたにも関わらず無視された、区役所に相談しても「保育所と利用者との関係だから・・・・」と濁された、という話をしばしば聞きます。
要望に対する応対義務、及び十分な対処が為されなかった場合は自治体が確実に受理し、適切な対応を行う制度が必要でしょう。