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(8/12追記)
当該女子生徒の姉を名乗る人物が、ツイッター上で主張を展開しています。

https://twitter.com/kumakuma827

様々な主張を読みました。やはりホテルをチェックアウトするまでに保護者に現地まで迎えに来て貰い、強制送還するのが正解でした。

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学校の対応に過失があるのは否めません。が、それ以上に生徒や保護者の行動が解せません。

修学旅行中にルール違反をした中学生が、クーラーのついていないバスに2時間以上待機させられて体調不良に。保護者は不適切な指導だったと訴えています。

【保護者】
「熱中症に対するリスクを分かっていない。子供の命を守るどころか、逆に危険にさらしている」

こう訴えるのは、大阪府泉大津市の誠風中学校に通う女子生徒(3年生)の保護者です。
女子生徒はことし6月、岐阜県の飛騨高山で行われた修学旅行の最終日、クーラーのついていないバスに2時間以上待機させられ、帰宅後に体調不良を訴えたといいます。(以下省略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8549fc6b70bddb6ee4a88333b18c526b6ff39c9

トラブルが発生したのは泉大津市立誠風中学校です。

一連の経緯を時系列で並べました。

日付出来事
6月27日修学旅行へ出発、琵琶湖周辺で楽しんで一泊した。
6月28日琵琶湖周辺から飛騨高山へ移動、ホテルに到着した。
6月28日夜女子生徒がホテルの自分の部屋を抜け出し、男子生徒の部屋で朝まで過ごした。
学校によると、女子生徒は前日の夜、ホテルの自分の部屋を抜け出し、友人の生徒の部屋に朝まで滞在した。
6月29日高山市を自由行動する予定(約3時間)だったが、当該生徒2人は自由行動に参加させなかった。
女子生徒は付き添いの教員と30分ほど寺の境内(バスの待機場所)で過ごした。
屋外が暑かったのでバスの中に移動した。アイドリング禁止の場所だった為、バスのクーラーは付いていなかった。教員はバスの外に出ることや水分の補給を促したが、生徒は「バスにおる」と断った。
当日の高山市の最高気温は35.7度だった。
6月29日夜帰宅後、女子生徒の顔色が真っ赤になり、一言もしゃべれなかった。食欲もなく、熱中症を疑わせる症状があった。
7月15日安全配慮義務違反があったとして、泉佐野市教育委員会は向井説行校長を厳重注意処分にした。

全く酷い話です。酷いのは学校の対応ではありません。保護者の対応です。

まずバス車内に長時間に渡って留めておく事は体罰に該当するのでしょうか。文部科学省のウェブサイトには、懲戒・体罰等に関する参考事例が掲載されています。

学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例
○ 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
・ 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
・ 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331908.htm

教員が生徒をバス車内に留め、一切外へ出る事を許さなければ、体罰に該当しそうです。一方、屋外が暑いという理由から、生徒は自らバス車内へ移動しました。「一切外に出る事を許さない」という事情には該当しない可能性が高いです。

ただ、高温となるバス車内に留めるのは、生徒の身体に負担が掛かります。熱中症の危険性がありました。これに対し、教員は生徒2人に付き添い、屋外への移動や水分補給等を促していました。

バス車内や寺の境内に限られていたのは、修学旅行中という事情が大きいです。既にホテルはチェックアウト済です。付近に待機できる場所は限られています。生徒と一緒に店舗等で過ごすのは、暑い高山市内を散策している他の生徒との均衡が保てません。緊急連絡等があるので、教員はバスを離れるのが難しいです。

教員は生徒2人に相当気を遣っていたという印象を受けました。一連の行為が仮に体罰に該当するとしても、その度合いは極めて緩いものでした。

バス車内で過ごした時間には争いがあります。生徒保護者が主張している「3時間」は、自由行動の時間でしょう。同校の学校日記に「3日目の最後は高山市散策を行いました。約3時間でお土産を買ったり、昼食を各自とったりしていました。」とあります。

学校が主張する「2時間」は、寺の境内で過ごした30分等を除外した時間でしょう。2時間と3時間の違いに大きな意味はありません。

一方、生徒には重大な規律違反がありました。就寝中の部屋から抜け出し、異性(交際相手?)の部屋で夜から朝まで過ごしていました。

修学旅行等の宿泊行事では、教員が寝ずの番を行っていると聞きます。「夜中3時まで起きていた」「寝れなかった」という話を聞いた事が有ります。

それでも全てを完全に見張る事は難しいです。どこかで見落としてしまう事もあります。教員の監視不足は責められません。

不思議な点もあります。母親が子供(女子生徒)の行為を咎めたり反省したりする内容が一切報じられていない点です。発言が皆無だったのか、報道時に割愛されたかは不明です。

あくまで私の感覚ですが、当該生徒2人は修学旅行を途中で打ち切られても仕方がなかったと感じています。もしも1日目の夜に同様の行動があったら、保護者に連絡して現地に迎えに来てもらう選択肢が取り得ました。

高山市内の自由行動に参加しないという措置に留めたのは、大阪から高山市が遠く(約4時間)、保護者が到着する頃には帰途に付いてしまうのも大きな理由の一つだったでしょう。

保護者は「帰宅後に食欲がないなど熱中症を疑わせる症状があった。」と主張しています。しかしバス車内で待機したのは当日午前、帰宅したのは夜です。熱中症であれば、現地で強い症状を発している筈です。教員に厳しく注意されて自由行動ができなくなり、帰りのバスで他の生徒から奇異の目で見られ、帰校後にも厳しく指導されたにより、食欲が無くなったと考えるのが自然です。

また、これだけ保護者が騒ぎ立ててしまうと、当該生徒は学校で肩身が狭くなってしまうでしょう。他の生徒や親から見ると、「夜間に別室に忍び込んで厳重注意されたのに、校長先生に更なる処分を要求して大騒ぎしている親子」です。

 大阪府泉大津市の中学校で、修学旅行中に生徒2人を暑いバスの中で長時間待機させたとして、保護者が校長らに重い処分を科すよう求めました。

(女子生徒の保護者)
「私は体罰教師だとはっきりと思っています。(娘は)“バスの中でこのまま死ぬんやと思った”と言っていました」

https://news.yahoo.co.jp/articles/d2c86aa5e65e63a6b0a42d77f35356c937e657d2

マスコミもマスコミです。在阪各局がこぞって取り上げています。どうして各局が記者会見に臨んだのか、市役所で会見を行ったのか、夕方のニュースで大きく報じたのか、理解に苦しみます。

熱中症で救急搬送された人間も、怪我をした人間もいません。修学旅行中の重大な規律違反により、教員とバス車内や寺の境内で2-3時間を過ごした生徒2人がいるだけです。

来年度の修学旅行のしおりには「旅行中に問題行動が生じた場合は、3日目であっても保護者に迎えに来て貰います。」という一文が加えられるでしょう。