出産育児一時金が来年度から増額される見通しです。官房長官が明らかにしました。
岸田文雄首相が表明した出産育児一時金の増額について、松野博一官房長官は17日午前の記者会見で、「政府として年末の予算編成過程において結論を出し、来年度から実施をしてまいりたい」と述べた。
この話を聞いて真っ先に感じたのは「違う」という違和感でした。出産育児一時金を増額しても、少子化対策にはなりません。
出産費用は年を追う毎に増加しています。一時金が増加される度に値上げしている印象を持っています。
一時金を増額したら出生数が増えると考えているならば、それは大きな間違いです。国民を馬鹿にしています。
そもそも育児は20年以上も掛かります。結婚の前提となる交際期間や第2子以降の子育ても含めると、30年前後に及びます。
子育てしている立場として望みたいのは、この期間における切れ目の無い、タイミング毎に適した、息の長い支援です。単発の支援ではありません。
端的に記すと、結婚前の若年層には安定かつ十分な収入が得られる仕事が不可欠です。不安定や低収入といったその日暮らしでは、そもそも交際を行うのが困難です。
出産後の支援制度はここ数年で大幅に拡充されました。育休の取得率も大幅に向上し、男性育休も制度化されました。保育所等にも入りやすくなりました。
ただ、家庭内労働は煩雑を極めます。0-2歳児の育児は戦争です。人の手がいくらあっても足りません。育児ノイローゼに陥った時もありました。通院回数も多いです。
当時は金銭面より、育児に要する時間を捻出する支援が欲しかったです。準育児休業的な存在として、短時間勤務と目減りした収入を支援する制度が理想的でした。早く保育園に迎えに行き、子供と向き合い、家事をする時間が欲しかったです。
十分な支援が無かったので、我が家は時短家電を買い揃えました。
経済的に最も余裕があるのは、恐らく年少から小学校低学年の頃でしょう。3-5歳児の幼児教育・保育が無償化されました。小学校低学年の内は食費もさほど掛からず、習い事等も少なめです。小学生の間は交通費が子供料金で済みます。
小学校高学年からじわじわと経済的な負担が増し始めました。習い事、学習塾、食費等、プライベートな部分での出費が増えました。
小学校で要する負担は許容範囲内でした。給食費は年間5万円ほどでしたが、大阪市は2年前から無償化されました。これは非常に有り難かったです。学校経由で購入する問題集や道具類(リコーダーや水着等)も、年間1-2万円程度で済みました。
中学校以降は経済的負担等が急増するという話を方々から聞いています。学区の中学校に通っている方からは「入学前後で15万円掛かった」「運動部に参加したので、洗濯物・土日の弁当作り・食費(よく食べる)が本当に大変」「塾代が年間50万円も掛かってしまいそう」「交通費が大人料金になるのは痛い」といった恐ろしい話を聞きました。
家事負担も思った程は減らないそうです。中学生は忙しいので、家の手伝い等も難しくなります。
こうした負担は高校で更に大きくなり、その先には大学の受験費用や学費が待ち構えています。現在の収入や貯金で必要額を賄えるか、不安でいっぱいです。不思議な事に、何故か児童手当は中学校卒業までしか支給されません。
様々な負担や不安が先行するのであれば、少子化が進行するのは当然です。子供が3人欲しくても1-2人に留め、教育費を充実させるのは理に適った話です。
本気で少子化対策を行うのであれば、中学校から大学卒業までの経済的支援が不可欠です。様々な学費支援は所得制限を外し、更には児童手当を高校卒業まで伸ばして貰いたいです。
教育を受けた子供は、その成果を様々な形で社会に還元します。子供の教育は国全体で支えるべきです。重い私費負担は少子化への近道です。
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