公明党が衆議院総選挙の公約に掲げた「18歳以下の子供への10万円給付」につき、政府・自民党・財務省との間で協議が続いています。

現金給付 対象範囲は?金額は? 自民・公明の幹事長協議へ

経済対策では、現金などの給付が柱になると見込まれていて、公明党は、衆議院選挙の公約の中心に掲げた18歳までの子どもに対する一律10万円の給付や、マイナンバーカードの普及に向けた3万円相当のポイント付与などを盛り込んだ提言を8日、政府に申し入れることにしています。

ただ、自民党は、衆議院選挙で非正規で働く人や子育て世帯などコロナで困っている人を対象にした経済的支援を訴えていて、公明党が主張する一律給付については「バラマキ批判を招かないよう所得制限を設けるべきだ」という意見も出ています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211108/k10013338241000.html

大阪市に済む子育て世帯としては「子供1人につき10万円の支給は助かる、でもすぐには消費せず、将来の教育費の為に積み立てる」予定です。

コロナ禍で収入や支出に大きな変動が発生したのは事実です。

特に学校が臨時休業したり保育所等が家庭保育を要請した際は、光熱費・食費・娯楽費(子供のおもちゃやゲーム代)が過去最高水準まで跳ね上がりました。マスクや消毒液といった衛生用品代も嵩みました。

こうした支出に対しては、定額給付金(1人10万円)を充てました。全額は使い切らず、残りは漠然と残しています。

公明党の山口代表は「新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、子育て世帯は食費や通信費など出費が増加している」「未来の世代をしっかり育てることがこれからの安定につながる」と主張しています。

食費や(広い意味での)通信費が一時的に増加したのはその通りです。しかし、それは昨年の話です。今年は例年通りの水準に落ち着いています。むしろ外食費が殆どゼロになったので、食費は一昨年より下がっています。更に大阪市では学校給食が無償化されたので、その分の負担も軽減されています。

昨年に増額した通信費は、インターネット料金ではなく端末(タブレット)の購入費用でした。インターネットは10年以上前から固定回線を引いており、固定料金で維持しています。

「未来の世代を育てる」ことに対しては、10万円では全く足りません。二桁足りません。

こうした理由から、仮に10万円が給付されても消費に回す予定はありません。高校以降の教育費に備え、教育資金用の口座にプールします。

コロナで生活が困窮した世帯への支援であれば、そうした世帯への支給に限定すべきです。周囲では飲食店で働いていたひとり親世帯が生活に困り、生活保護を受けようか迷っていると聞きました。

子育て支援であれば、1回きりの10万円では乏しいです。子育ては出生前から就職まで続きます。20年前後を要します。

これに対して10万円を支給しても「端金」です。お金はあったらあったで嬉しいのですが、到底足りません。

長期に渡る子育てを本気で支援するのであれば、児童手当の増額や長期化(18歳までの支給)、義務的に発生する費用(給食費・制服代・学校で使用する個人用品代等)の負担軽減等に取り組んで欲しいです。

難しいのは所得制限ですね。

高所得世帯からは「何千万円もの所得を得ている世帯が10万円を支給されるのはおかしい」「高い税金を払っているのに支給対象外となるのは理不尽だ」「子育てには一定の金額が掛かる」といった正反対の声を聞きました。

高所得を得ている知人は「殆どの子育て支援策や助成制度から対象外となっている、あまりに理不尽だ。」と憤っていました。気持ちは大いに理解できます。

所得制限を設ける事に対する危惧の一つは、基準が徐々に切り下げられる事です。児童手当は年収1200万円程度のラインが引かれる事になりましたが、今後更に引き下げられる事態は容易に想定出来ます。

低所得世帯も高所得世帯も子育てには一定の金額が掛かります。子育て支援を図るのであれば、様々な支援制度等の有無を所得で線引きするのは筋違いです。

様々な支援策に対する税収の確保を講じるには、全ての世帯の担税力に応じた課税を賦課して欲しいです。

例えば金融所得や驕奢品(著しく高価な不動産等)への課税強化です。多額の株式売却益を得たりタワーマンションを購入できる世帯ならば、十分な担税力があるでしょう。