18歳以下の子供がいる世帯(高所得世帯を除く)へ子供1人に付き10万円(現金5万円・クーポン5万円)を支給する方向性が固まりました。

自公党首は、10万円相当の給付対象について、年収960万円の所得制限を設けている児童手当の仕組みを活用し、年内に現金5万円を迅速に支給することを確認。残りの5万円については、来春の卒業・入学シーズンに向けて原則クーポンとして配布することも申し合わせた。

両親と子ども2人の4人世帯で年収が960万円以上の場合、給付対象から外れる。共働きの場合は、夫婦の「収入の高い方」で判断されることになる。

https://www.komei.or.jp/komeinews/p204366/

「両親と子ども2人の4人世帯で年収が960万円」「児童手当の仕組みを活用し」という言葉から、具体的な制度は概ね推測できます。

具体的には世帯主へ支給される児童手当の所得制限限度額を流用すると考えられます。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/ippan.html

各世帯毎の「所得額」は、様々な所得から控除額や8万円を引いた後の値です。これを扶養人数等に応じて定められた所得限度額を照らし合わせます。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/jite-limit.html

たとえば扶養家族等が3人(児童2人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等)の場合、所得制限限度額は736万円となります。この限度額に相当する収入額(いわゆる額面給与等)が960万円となります。

しばしば「世帯主の年収1000万円だと10万円を貰えないが、夫年収900万円・妻年収900万円ならもらえる」と言われますが、これは誤った内容だと考えられます。

前者の場合は扶養家族等が4人を越えると支給対象となる可能性が、後者は扶養家族等が1人以下なら支給対象から外れる可能性があります。

所得制限は反対

所得制限を設ける事によって危惧しているのは、基準額が更に切り下げられる懸念です。

今回は年収960万円が目安とされましたが、次回以降(があるか分かりませんが)は更に低い基準とされる恐れがあります。

私自身は一律の10万円給付は反対です。コロナ禍で深刻な経済的ダメージを負った家庭や、困窮している子育て世帯に重点的かつ継続的な支給を行うべきだと考えています。

どうしても子育て世帯に給付するのであれば、所得制限を設けるに支給すべきでした。

「高所得世帯を除く子育て世帯への支給」には、理屈が付けられません。高所得世帯を除外してもバラマキはバラマキです。50年後の現役世代が国債を償還する羽目になります。

公明党の山口代表は「960万円は9割の世帯が対象となり、大きな分断を招かない」と発言しました。

が、支給されない1割は「小さな分断だから問題ない」という意図なのでしょうか。十分な所得がある世帯は羨ましいのですが、それとこれとは別問題です。

クーポンは食費に充てたい

クーポンの使途も不明瞭です。「教育や子育てに使える」とされていますが、具体的な範囲は何ら明らかになっていません。

私としては「食費に充てられれば良い」というスタンスです。日々の食費に充てあられれば、自然と使い切れる計算です。5万円クーポンは1か月で使えます。

「食品代は子育てに関係する費用ではない」という反論はナンセンスです。健やかな成長には充実した食事は極めて重要です。その為に学校給食があり、「食育」という言葉が持て囃されています。

ただ、クーポンよりも「日本銀行券」の方が嬉しいです。クーポン発行には事務コストも嵩みます。勿体ない話です。