新型コロナウイルスは子育て世帯の生活も直撃しています。特に年度切り替わりの時期は様々な出費が嵩み、家計が回らなくなる家庭も出てきてしまうでしょう。

政府は生活が苦しい子育て世帯へ更なる給付金を支給すると決定しました。

 給付金の支給対象は、児童扶養手当を受給しているひとり親世帯や、ふたり親の住民税非課税世帯など。政府は昨年、ひとり親世帯を対象に2回にわたり、第1子は5万円、第2子以降は3万円を支給してきた。今回は両親がいる世帯にも対象を広げ、第2子以降も5万円に引き上げる。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210316-OYT1T50087/

記事によって表現や内容に若干の差がありますが、集約するとこうした内容でしょう。

(1)支給対象(いずれか)
・児童扶養手当を受給している世帯(ひとり親)
・住民税非課税世帯(ひとり親・ふたり親)

(2)支給額
子供1人あたり5万円

少し気になったのは、「住民税非課税」の基準となる年度ですね。2020年中の所得等を基にて算出された住民税額が基準となるのでしょうか。例年なら4月から5月に算出されます

支給に掛かる予備費の支出は3月16日付け閣議で決定されました。近日中に細かな要件や申請内容等を記したチラシが完成し、配布されるでしょう。

令和3年3月16日(火)定例閣議案件
令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)を事後承諾を求めるため国会に提出することについて(決定)

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021031601.html

昨年以来、様々な支援制度が決定されています。反対に問題なのは「情報発信」です。支援を必要とする家庭へ支援制度の詳細が届きにくいのです。

日々の育児や生活で忙しい子育て世帯は、ニュースや広報誌等にじっくり目を通す時間がなかなか取れません。聞き耳を立てていたとしても、「自分には関係ない」として通り過ぎてしまうケースも少なくないでしょう。

私自身、新型コロナウイルス感染関係の支援制度は一部しか理解していません。「自分には関係ない」と思っている制度でも、実は申請できた物がきっとあるでしょう。

情報発信という観点で参考になるのは、大阪市立学校で行われている「就学援助制度の案内」です。

就学援助制度とは、市民税非課税世帯や児童扶養手当の受給世帯等の経済的に苦しい世帯を対象とし、学校で必要な支出について援助を行う制度です。

概要
就学援助制度は、経済的な理由により就学が困難な大阪市立の小・中学校に通学される児童生徒の保護者に対して、援助を行い、児童生徒が等しく義務教育を受けることができるようにする制度です。

援助の内容
学校教材費、校外活動費、修学旅行費、入学準備補助金、学校給食費、独立行政法人日本スポーツ振興センター共済掛金(保護者負担額)など

援助の対象となる世帯
市民税が非課税の世帯、児童扶養手当を受給されている世帯など、経済的な理由により児童生徒を就学させることが困難なご家庭

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000495254.html

他の自治体では知りませんが、大阪市立学校では年に何回も「就学援助の案内」が配布されています。少なくとも学期毎に1度は配布されています。つい先日も「新年度の就学援助制度のご案内」が配布されました。

何度も何度も配布されると、制度の対象となる方にはあまねく周知されるでしょう。ニュースや広報誌は軽く流してしまっても、学校から配布されるプリントはしっかり目を通します(外部団体からのイベントの案内チラシはすぐに処分してしまいますが)。

一部の子育て世帯を対象とした新型コロナウイルス感染症関係の支援制度においても、同様の方法はとれないでしょうか。ポストに投函されるよりも効果的です。

臨時休校・休園によって仕事を休んだ保護者が直接申請によって支援金を受給できる制度も同じですね。「学校」としている報道が多いですが、制度をよく読むと「学校・保育所・幼稚園・こども園等」も対象となっています。

【ニュース】臨時休校・休園で仕事休んだ保護者 本人申請で助成金受給へ 政府

こちらは学校のみならず、幼稚園や保育所等を経由した案内も必要ですね。コストが掛かるアナログ的な方法ですが、やはり重要な案内は「紙ベース」ですね。

ただ、一方で「5万円の支給だけで済ませてよいのか」という問題意識もあります。

昨年に1人10万円が支給された特別定額給付金には、「休校中に嵩んだ支出の補填」という名目で受け取りました。食費・ゲームソフト・おもちゃ・書籍・電子機器等、大部分が湯水のように消えてしまいました。

子育てしている児童扶養手当受給世帯や住民税非課税世帯は、コロナ禍以前から生活は厳しかったでしょう。「コロナ禍だから特別に支給する」のではなく、コロナ禍が解消した以降も定期的な支援が不可欠です。

子供から聞いた話等から、世帯毎の経済状況に極めて大きな差があると実感しています。年に何度も海外旅行へ出掛ける児童ととひとり親で児童虐待が疑われる児童が同じ学校に混在しています。

観光業や飲食業の従事者が多い大阪市では、一部子育て世帯の生活の苦しさは継続する可能性が高いです。子供達が学校等で楽しく過ごせる様、政府や自治体には適切な支援を継続して欲しいです。