先週末、大阪市立鷺洲小学校の体育の授業中に多くの児童が熱中症を訴えました。詳しい経緯が大阪市教委ウェブサイトに掲載されています。

報道発表資料 大阪市立小学校における熱中症による児童の救急搬送について

 令和4年6月10日(金曜日)、1時間目に、6年生2学級(在籍計76名 授業参加70名)による合同体育の授業で、リレーを実施した後、教室での学習中に17名の児童(男子9名 女子8名)が体調不良を訴え、そのうち男子児童1名が11時ごろ救急搬送されました。

 その後、救急搬送された当該児童は、受診の結果異常なしと診断され帰宅し、その他16名の児童も、保健室で休養後復調しました。

 なお、体育授業時に、児童へマスクを外すよう指示しておらず、救急搬送された児童はマスクを着用していました。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000569246.html

これと前後する形で、大阪市教委は脱マスクを強化しようとしています。

 先生もマスクを外して――。熱中症とみられる症状で児童・生徒が救急搬送される事案が小中学校で相次いでいることを受けて、大阪市教委は13日、体育の授業や部活動などでは教員がマスクを外すよう各校に通知した。教員が率先して取り組むことで、熱中症の事故防止を強化する狙いがある。

 市教委はこれまで、運動や登下校の際はマスクを外すことを子どもに指導するよう通知している。だが、保護者から「先生が着けていると外しにくい」といった声が寄せられていた。

 通知文では、熱中症のリスクが高い場合、十分な距離を取った上で原則マスクを外すよう教員に求めている。市教委の担当者は「熱中症対策をさらに徹底し、事故防止につなげたい」と話した。(以下省略)

https://mainichi.jp/articles/20220613/k00/00m/040/136000c

お世話になっている学校からも通知文が配布されました。

こうした文章は大阪市教委が作成・掲載した雛形を各校で一部修正(日付・学校名等)等を行った上で配布されています。

先日に配布された文章との違いの一つは、教員に対する扱いです。

新しい文章では、体育の授業等において「教員については、熱中症リスクが高いと判断される場合には、原則マスクを外すこととし、その際には、十分な身体的距離を確保するよう工夫すること。」と明記されています。「先生が着けていると外しにくい」という指摘を受けた判断でしょう。

私が感じたのは「強い違和感」でした。先生が着けているから外さないのでしょうか? 先生が外したら、素直に外すのでしょうか?

教員へ脱マスクを強く指示する反面、児童生徒がマスクを着け続けている理由を検討する動きはありません。これで児童生徒の脱マスクが進むと考えているのでしたら、余りにお粗末です。

学校に必要なのは「児童生徒が自然とマスクを外し、かつ感染対策を徹底できる環境整備」に他なりません。強制や同調圧力で子供を行動させようとするのは大間違いです。

環境整備の一例は、マスクを外して行う活動における具体的な感染対策です。体育・音楽・家庭科・登下校・部活動等、それぞれの活動毎にどういった感染対策を行い続けるのは、そこにどの様に脱マスクを組み合わせるのかを明示するのが重要です。

一方的に「脱マスクとします。体育の授業では着用させません。」と言われても反発します。素直に学校の指示に従う気が起きません。

熱中症対策を強調するのであれば、そもそも熱中症になり得る環境下での活動を控えるのが一番の対策です。

鷺洲小学校で緊急搬送された児童はマスクを着用していましたが、それ以外は明記されていません。恐らくはマスク着用とノーマスクの児童が混在していたのでしょう。ここでは「マスクを着用していたから熱中症になった」という関係は見出せません。厳しい直射日光下で長時間の屋外運動を行うのが間違っています。

東京都江戸川区の中学校で熱中症を訴えた4人は、マスクを外して体育の授業を受けていました。マスクを外しても熱中症になります。

中学体育の授業 4人熱中症か “マスクなし”で1000メートル走
https://news.yahoo.co.jp/articles/79a2db480a7b77107ff1cf88f5490250f36d6fdf

同様に保護者として強く望むのは「ノーマスクで近距離でお喋りする子供への指導徹底」です。脱マスクの前提条件です。お喋りは放置するけど脱マスクは通りが通りません。

なお、通知文の内容は保護者に配布する文章ではありません。学校・教員向けの強い表現のままで家庭に配布されています。この文章を一読し、良い感情は持てませんでした。

ここ2年半近くのコロナ禍において、全国最悪の感染状況となったのは大阪市です。学校でも非常に多くの教職員や児童生徒が感染し、一説には1割以上の教職員が感染したとの指摘もあります。

脱マスクを強調する姿勢からは、こうした事態に至った反省が窺えません。これも脱マスクが進まない理由の一つでしょう。