2022保育所等一斉入所結果分析、2回目は各区毎の状況を相互比較していきます。なお、昨年の分析記事はこちらからご覧下さい。


大阪市の保育所等利用待機児童数について(令和4年4月1日現在)より作成(以下同じ)

全区で未就学児が減少

遂にこの年がやってきました。大阪市は24区全てで未就学児が減少に転じました。前年度は3区のみが増加していましたが、今年度は全区で減少しています。

減少率が特に大きいのは、上記図表で就学前児童数を青囲みしている区です。浪速区の-7%を筆頭に急減しています。来年度以降はこれ以上のペースで減少していきます。経営が立ち行かなくなる保育施設が生じるのは不可避です。

申込数は4%減に持ち直す

昨年度は申込率が前年比7%以上も減少しましたが、今年は4%減に留まりました。コロナ禍が一段落し、預け控える傾向が薄くなった為でしょう。

申込数が大きく伸びたのは中央区と鶴見区でした。どちらもファミリー層の転入が相次いでいる区です。

保留率ワーストは中央区

多くの方にとって気になるのは、大阪市全体の数字よりも住んでいる区・地域の数字でしょう。個別に取り上げていきます。

最も保留率が高かったのは中央区です。保留率は昨年とほぼ同じ25.3%でした。新規施設も増えましたが、申込数も増えました。

同区の保育所等在籍率は市内で最も低い36.0%です。今後もタワーマンションの建築が予定されているので、保育施設が足りない状態は続きます。

なお、昨年度の一斉入所で最も保留率が高かった天王寺区は、保留率22.0%と急落しました。新設効果が生じています。

淀川区は保留率上昇

保留率が最も上昇したのは淀川区です。昨年より4.4%高い20.0%となりました。淀川区は申込数が80人も減少しました。が、新たに設置された保育所がありませんでした。

同区は交通利便性が良く、新大阪駅の北西部では再開発が盛んに行われています。ファミリー向けのマンション供給も多い反面、保育所等の整備が追いついていません。2023年度に新設される保育所もない事から、保留率は更に上昇する懸念があります。

西区・港区・東成区・住之江区・平野区は申込1割以上減

申込数は区毎に大きな違いがあります。西区・港区・東成区・住之江区・平野区は申込数が昨年より1割以上も減少しました。

西区が減少したのは意外に思われる方がいるかもしれません。あくまで推測となりますが、西区はファミリー向けマンション等の建設が他地域より先行していました。子供の数も他地域より早くに増え始めたので、減り始めるのも早くなります。

また、数年前は西区の待機児童問題が極めて深刻だった事もあり、数多くの保育所等が新設されました。中には1年で5保育所・こども園が新設された時期もありました。西区役所の狂気すら感じたほどでした。

その甲斐があり、西区の待機児童問題は劇的に好転しました。以前は「西区で入所できない」というメールを数多く頂いていたのですが、最近はさっぱりです。

西区の課題は小中学校ですね。堀江小学校の地域分校(大失敗し、早々に分離独立すると推測)や中之島新設校で問題は解決するのでしょうか。

「不動産価値が下がる、学校より地域が大切、校区分割は絶対反対、地域分校賛成」 堀江小学校の教育環境改善が迷走中

港区・住之江区・平野区は急速な少子化に因るものです。特に市中心部から離れた地域での申込が急速に減少しています。こうした地域から子供の姿が消えようとしています。

同じ大阪市内であっても、子育て環境は地域で大きな違いがあります。今後は差がますます開いていきます。子育てする地域は慎重に選ばざるを得ません。