H31保育所等一斉入所結果分析、2回目は各区毎の状況を相互比較していきます。なお、昨年の分析記事はこちらからご覧下さい。

大阪市の保育所入所待機児童数について(平成31年4月1日現在)より作成(以下同じ)

最も入所しづらかったのは北区

当ウェブサイトでは一貫して入所保留数・入所倍率(保留率)を重視しています。

人為的に算出される待機児童数とは異なり、理由を問わず入所できなかった児童数・割合を表す保留数・保留率(倍率)の方が実態を適確に表しているからです。

H30一斉入所での利用保留数は、前年より218人増加して2,721人となりました。また、入所倍率は0.02倍上昇して1.22倍となりました。

ここ数年、保留数や入所倍率は減少傾向が続いていました。しかし、H31一斉入所は傾向が異なり、やや入所しにくくなりました。

その原因はどこにあるのでしょうか。各区毎を比較しやすい「保留率」を見ていきます。

保留率が最も高かったのは、北区の30.3%でした。昨年より7.7%も上昇しています。

北区への新規入所申込者の内、約3割が入所できませんでした。利用保留数も市内第2位の243人に上っています。

入所申込分析で指摘した通り、主な原因は「新設保育所不足による、1-3歳児の高倍率」です。

【H31保育所等一斉入所申込分析】(2)北区/非常に厳しい1-3歳児

ただ、北区の就学前児童の内、既に39.3%が保育所等に在籍しています。

北区は職住近接しやすい地域であり、そして就学前児童数が急増している地域です。

多くの子育て世帯が新しいマンション等へ転入し、保育所探しをしている姿が思い浮かびます。

非常に厳しい淀川区

北区と同程度に入所しにくかったのは、淀川区です。

保留率は市内2位の25.7%、保留数は市内1位の253人でした。非常に厳しい地域です。

ただ、北区と淀川区が大きく違うのは「就学前児童数の推移」です。北区は大きく増加している一方、淀川区は前年比で198人も減少しています。

淀川区の保留数・保留率を押し上げているのは、再開発が盛んな区北部(三国・宮原の周辺地域)でしょう。

【H31保育所等一斉入所申込分析】(5)淀川区/1歳児の4割、2歳児の3割が入所保留か

1歳児を中心に、非常に多くの入所保留児童が生じたと推測されます。今後も要注意な地域です。

保留率が急上昇した都島区

また、H30とH31一斉入所を比べた場合、最も変化が激しかったのは都島区でしょう。

保留率は9.8%も上昇して21.5%となりました。昨年は10人中9人は入所できていましたが、今年は10人中8人に留まりました。利用保留数も55人増加の123人となりました。

大きな理由は「新規利用児童数の減少」です。開設予定だった「ニチイキッズ桜ノ宮保育園」の開所が延期された為です。

【重要】ニチイキッズ桜ノ宮保育園(都島区)の開園が無期延期、地中から関電の送電線管を発見

減少した児童数は、同保育所の定員と概ね見合っています。事前調査の不備が、都島区全域の子育て世帯へ影響した構図です。

保留率が大きく減少した中央区・天王寺区

反対に入所しやすくなった区もあります。代表的なのは、中央区です。

中央区の保留率は4.3%減少して23.7%となりました。依然として高い数字ながら、年々減少しています。

大きな理由は、積極的に保育所や地域型保育を新設している為です。

その反面、地域型保育事業が増えすぎた事により、3歳児入所が非常に厳しくなってしまいました。注意が必要です。

【H31保育所等一斉入所申込分析】(8)中央区/昨年より入所しやすく、「3歳の壁」は健在

また、中央区の保育所等在籍率は、市内で最も低い31.1%に過ぎません。就学前児童数と比べて、保育所等の定員数が圧倒的に足りません。

市内で最も大きく保留率が減少したのは、天王寺区です。

前年から5.3%減少の19.5%となりました。遂に20%を切りました。保留数も36人減の103人となりました。

H29からH30に掛けて、非常に多くの保育所等を新設した効果が現れています。

【H31保育所等一斉入所申込分析】(4)天王寺区/倍率急減!昨年より入所しやすく(依然として他区より難しく、高点数が必要)

劇的に入所しやすくなった西区

各区毎の数字を見て、最も驚いたのは西区です。保留率が遂に13.7%まで低下しました。

地域差や年齢差があるとは言え、入所希望者の大半は入所できた計算です。

ここでも保育所等の新設が効果を発揮しています。新規利用申込数が150人も減少したのは、入所希望者の多くが昨年以前に入所できた為でしょう。

【H31保育所等一斉入所申込分析】(3)西区/申込数が大幅減少!昨年よりやや入所しやすいか

此花・大正・東淀川・西淀川・住之江・平野・西成は子供が大きく減少

実は大阪市も少子化とは無縁ではありません。市内全体の就学前児童数は前年より1,474人も減少しています。

目立って減少しているのは、此花区・大正区・東淀川区・西淀川区・住之江区・平野区・西成区です。

これらの区は、1年間で就学前児童が概ね4%前後も減少しています。

何れの区も大阪市の周縁部の位置しており、市内中心部へ通勤するには少し距離と時間が掛かります。

共働き世帯が大阪市中心部で働く場合、こうした地域よりも職住近接が可能な中心部(北区・中央区・西区等)へ住む傾向が続いています。

こうした考えを行政主体で変えていくのは非常に難しいです。新たに地下鉄を延伸したり、ビジネス街を設けるのも非現実的でしょう。

今後、こうした地域では保育所・幼稚園・小中学校等の再編・統廃合は避けられません。区毎の格差は広がり続けます。

次回は区・年齢毎の入所決定状況を

次回は区毎・年齢毎の入所決定状況を掘り下げていきます。「この区・この年齢で入所するには何点が必要か?」という数字が見えてきそうです。