大阪市内中心部でタワーマンションの建設が続いています。数年前に建設されたマンションで育った子供が小学校で学ぶ年頃となり、小学校の狭隘化問題が著しくなっています。
大阪市内の都心部で分譲マンションの開発が進み、小学校の教室不足が深刻化している。かつて「ドーナツ化」現象で人口が流出したエリアに、職住近接を求める共働き世帯などが回帰し、児童数が急増。校舎増築によって、体育の授業が制限を受ける学校も現れた。
https://www.iza.ne.jp/article/20211227-5QKVWBTIFJNTZNRZSZ3UYUQFII/
典型例として取り上げられているのは開平小学校です。
在阪企業の本社が軒を並べ、明治期に金融の中心としての地位を築いた大阪・北浜。オフィスビルの間に建つ市立開平(かいへい)小学校は、ドーナツ化現象に伴う児童数の減少で2校を統合し、平成2年に開校した。小規模校としてスタートしたが、近年、最高階数20階以上のタワーマンションが校区内で次々と竣工(しゅんこう)。児童数は10年前の3倍以上となる約340人に増加した。
「来年2月に工事が終わる予定で、子供たちも心待ちにしている」
こう語るのは、開平小の赤銅久和校長。教室不足に対応するため、運動場に6階建て校舎が建設されることになり、今秋から運動場が全面的に使えなくなった。体育の屋外授業は徒歩10分の距離の公園内にある第2グラウンドで実施。工事終了後の運動場の広さでは、運動会などの大規模行事はもとより、体育の授業で50メートル走のタイムを計ることも難しいという。赤銅校長は「歴史ある船場地域に残る最後の小学校として、地域と協力しながら工夫していきたい」と話す。
大阪市立開平小学校は大阪金融の中心地たる北浜駅のすぐ近くにあります。大阪のど真ん中とも呼べる場所です。
産経新聞で言及されている通り、同小学校の児童数は急増しています。3年前には200人だったにも関わらず、3年後の令和3年度には340人に達しました。3年で倍近くも増加しています。
http://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/files/e551132/doc/150024/2945159.pdf
最大の理由はタワーマンションの建設です。この地域を歩くと、首が痛くなるほどに高いタワーマンションが何棟も目に入ってきます。
大阪市はタワーマンションの建築を事実上野放しにしています(そもそも自治体が建設規制等を行うのは困難なのが実情です)。
タワーマンションが急増し、校舎の増築に負われている小学校は少なくありません。産経新聞の記事には5小学校が取り上げられています。
これ以外にも北区中之島6丁目に小中一貫新設校(住友病院の西隣)が、西区堀江に堀江小学校の地域分校が設置されます。
余談となりますが、堀江小学校の地域分校が本当に設置されるとは夢にも思いませんでした。こんなに筋が悪い話が通ったと驚き呆れました。本校・分校計約1500人となる小学校が円滑に運営できるとは思えまえん。早々に分離新設を唱える意見が広がるでしょう。
子育て世帯における大阪市内中心部の人気は根強いです。職住近接という利便性に加え、学校の学力水準が高いのは重要な要素です。大阪市立学校データベースから一目瞭然です。
こうした地域に住居を居住できるのは高所得世帯、そうした世帯の両親は高学歴が多いです。世帯収入と両親の学歴は、子供の学力に大きな影響を及ぼす要素です。こうした世帯の転入が相次ぐと、学力水準は更に高くなります。
記事では「郊外の人気が高まっている」と指摘されています。梅田や本町に通勤しやすいのは、まずは御堂筋線・北大阪急行沿線の北摂地域でしょう。
ただ、通勤時間が大幅に長くなってしまうのは痛いです。往復で1時間も延びてしまうと、生活の様々な面に影響が出ます。資金計画がやや厳しくなっても、市内中心部で探し続ける方が多いのではないかと感じます。市内中心部の魅力は大きいです。
児童急増は学校環境に悪影響を及ぼしています。開平小学校では校舎の増築工事が進んでいます。運動参観(運動会)は第2運動場として利用している南天満公園が会場でした。増築後の運動場は以前よりも大幅に狭くなります。
笑えない事例もあります。立葉小学校と塩草小学校が統合して設立された塩草立葉小学校では児童数が爆発的に増加し、増築工事を行いました。
ところが、今日数字を見て500人は増えているのですね。この数年の間に。500人増えて、学校を3つも減らしたと。とりわけ、塩草立葉小学校は爆発的に増えていますね。今年度は、372名の児童となっております。これは、もと立葉小学校との合併ということもあるのでしょうけれども、ちょっと見通しが余ったのではないかと思います。今、塩草立葉小学校は、増築していますね。立葉小学校を残したらよかったのではないかなと思います。
https://www.city.osaka.lg.jp/naniwa/cmsfiles/contents/0000484/484576/03_gizinaiyou(R010927).pdf
「見通しの甘さ」は随所で感じます。見通すのが難しいのは理解できますが、それにしても甘すぎる事例が目立ちます。その不利益は住民に押しつけられています。
大阪市内(特に中心部)で学校を新たに設置できる土地を探すのは極めて困難です。もしも統廃合等を行うとしても旧学校は公有地として引き続き確保し、いつでも学校を再開できる手筈を整えておくべきでしょう。
中には売却された小学校敷地に大型マンションが建設され、校舎が足りなくなった学校もあります。出来の悪いコントです。