2020年1月~10月の婚姻数は前年比13.3%も減少しています。そして、こうした傾向は今後数年間に渡って続きそうです。

 新型コロナウイルスの影響で結婚する人が減っている。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、令和2年1~10月の婚姻数は42万4343件で前年同期(48万9301件)比13.3%ダウンした。11、12月も同様であれば、昨年は戦後最悪の昭和25年(15%減)に次ぐ下落幅となる。婚姻数の低下は出生率にも響くとみられ、少子化対策を重点課題と位置付ける菅義偉(すが・よしひで)政権にとって「結婚対策」が急務となっている。

 戦後で記録が残る昭和22年以降、対前年比で婚姻数の下落幅が2桁を超えたのは24、25年のみ。令和元年は改元に合わせた「令和婚」が件数を押し上げて前年比3.3%増だったため、2年は一定程度落ち込む可能性があったが、想定以上の下落幅となる見通しだ。

 政府の少子化対策担当者は「新型コロナの影響で結婚につながる出会いが少なく、結婚式も行いにくい状況があるのではないか」と分析。11、12月の婚姻数は発表されていないが、11月には新型コロナ感染の第3波が始まり、担当者は「2年全体での大幅な改善は難しい」と予測する。

 出生数は、人口動態統計では法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれる「嫡出子」が約98%を占めるため、婚姻数の低下が今後の出生数の低下にもつながる。菅政権が取り組む不妊治療の保険適用や、待機児童解消で得られる効果が帳消しにもなりかねない。(以下省略)

https://www.sankei.com/politics/news/210117/plt2101170005-n1.html

厚生労働省のウェブサイトに「人口動態統計速報(令和2年10月分)」が掲載されています。

人口動態統計速報(令和2年10月分)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/10.html

ここから婚姻数の推移を抜き出しました。

2020年2月の婚姻数が前年比163%と大幅に増加しているのは、「2020年2月2日や「2月22日」等の「2並び」にあやかった夫婦が多かったのでしょう。

その反対に2020年5月が前年比34.9%と急減しているのは緊急事態宣言が発出されていたのに加え、、前年たる2019年5月の「令和改元」に合わせて婚姻届を提出した夫婦が多かったと考えられます。

婚姻数の落ち込みがより心配されるのは、2021年以降です。

2020年はコロナ禍によって外出や会食等の自粛が幅広く呼びかけられた結果、例年より出会いの機会に少なかったでしょう。特に不特定多数との出会いの機会となりうる、合コンや街コンによる出会いは極めて限られたと考えられます。

反対にネットを通じた出会いは増えたと聞きます。電車でもマッチングアプリの広告をしばしば見かけます。ただ、様々な機会を補えるほどの効果はないでしょう。

ゼクシィによると「結婚までの平均交際期間は3.3年間」とされています。

2018年に行われたゼクシィ結婚トレンド調査によると、結婚までの平均交際期間は、1年から2年未満がもっとも多く約25%。続いて、2年から3年未満が23.5%、そして3年から4年未満で約15%と続きます。つまり、付き合い始めてから結婚をするまでの平均交際期間は3.3年間となりました。

https://www.iprimo.jp/propose/chiebukuro/howto/timing/detail_1945.html

2020年~2021年に掛けての出会いの機会の減少は、その後の数年間における婚姻数の減少という形になって表れます。その後の少子化にも繋がります。

コロナ禍による出生数の減少は既に予兆が現れています。2020年1月~10月に提出された妊娠届が前年より5.1%も減少しています。

【ニュース】2020年1月~10月の妊娠届が前年同期5.1%減(2018年→2019年は3.5%減)、12月以降の出生数激減へ

これに加えて、学生の就職難も重なってきます。給与が少なかったり非正規雇用等で不安定な就労環境に置かれると、交際・婚姻・出産しにくい傾向が生じるのは言うまでもありません。

コロナ禍による婚姻等への影響は、今後数年間に渡って生じます。少子化のペースが加速するのは避けられそうにありません。