「ワクチン・検査パッケージ」の適用対象から6歳~11歳が漏れかねません。
「ワクチン・検査パッケージ」制度要綱案を了承 政府分科会
16日に開かれた政府の分科会では、政府側から今後感染が再拡大した場合でも経済社会活動との両立を図るため、ワクチン接種や検査で陰性の証明を示すことで行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」制度の要綱案が示されました。
案では、飲食やイベントでの行動制限を緩和しようとする事業者は、あらかじめ、制度の適用を都道府県に登録し、利用者に対してワクチンの接種証明か検査の陰性証明のいずれかを選択するよう求めるほか、ワクチンの接種証明について、2回目の接種から14日以上経過したことの確認を条件とし有効期限は当面定めないなどとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211116/k10013349401000.html
行動制限を緩和するワクチン・検査パッケージ制度が導入されるのは既定路線でした。ただ、気掛かりだった点があります。「ワクチンを接種できない11歳以下の取り扱い」です。
現時点でワクチンを接種できるのは12歳以上、そして5歳~11歳への接種はファイザー社が承認申請を行っています(恐らく数週間内に承認)。
制度案を論じた分科会で配布された資料に目を通していると、子供に関する記述を見つけました。
なお、未就学児(概ね6歳未満)については、同居する親等の監護者が同伴する場合には、行動制限を緩和する上で、検査を不要とする。(6歳以上~12歳未満の児童については、検査結果の陰性の確認が必要。)
未就学児は監護者同伴なら検査不要、6歳~11歳は検査結果の陰性確認が必要、そして既にワクチンを接種できる12歳以上は大人と同じ扱いとされました。6歳~11歳もワクチン接種が可能となれば、12歳以上と同じく接種証明書等でも適用できるのでしょう。
10月から11月に掛けて、ワクチン・検査パッケージに関する技術実証が行われました。イベント会場や飲食店等において来場者に接種証明書や検査結果の陰性確認を求め、運営側のオペレーションを確認するものです。
ワクチン・検査パッケージに関する技術実証中間報告
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai11/gijisidai.pdf#page=22
殆どの利用者が接種証明書を利用しました。検査結果の陰性確認を利用したのは極少数でした。
これは当然と言える結果です。都度検査を受けて陰性を確認するのは手間暇や費用が掛かります。
6歳~11歳が有効な接種証明を得るのは最短で2月中旬
問題となるのは6歳~11歳です。イベント等の都度に陰性確認を行うのは大人ですら敬遠します。ワクチン2回接種が完了するのは早くとも2月、接種証明書が有効となるのは更に2週間が必要です。
コロナ禍が落ち着いている今秋以降は、家族で出掛ける機会も増えるでしょう。ここ1年半は外出しずらかったので、その反動で出掛けたくなる気持ちも膨らみます。
中にはワクチン・検査パッケージを先取り、様々な特典等を準備している飲食店やイベント等もあります。
これらに6歳~11歳までの子供が参加する場合、ワクチン未接種を利用に陰性確認等を求められる恐れがあります。いくら体調等に問題がない事を伝えても、制度に則って陰性確認をされるのはやむを得ません。
家族連れとしては、様々な特典等を諦めるしかありません。わざわざその為に陰性確認を取得するのは非現実的です。
GoToトラベルで6歳~11歳は接種証明or陰性確認?
こうした問題がクローズアップされる可能性が高いのは、2月にも再開すると言われている「GoToトラベル」です。
分科会で配布された資料には「ツアーや宿泊施設へのワクチン・検査パッケージ制度の適用の詳細については、観光庁において別に定める。」と記載されています。これが「GoToトラベル」を指しているのは明らかです。
適用詳細は観光庁が定めるとしていますが、恐らくは飲食店やイベント等での制度適用と同一内容となるでしょう。異なる内容とした場合、消費者が混乱してしまいます。
となると、6歳~11歳も陰性確認(接種承認以降は接種証明も可か)が求められます。陰性確認を取得するのは大変なので、GoToトラベルに参加するには接種証明を取得するのは現実的となるでしょう。
6歳~11歳への接種には専門家の間にも様々な意見があります。
子どもへのワクチン接種は、先行する成人への接種状況を踏まえて慎重に実施されることが望ましく、また、接種にあたってはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解していること、接種前・中・後におけるきめ細かな対応を行うことが前提であり、できれば個別接種が望ましいと考えます。やむを得ず集団接種を実施する際には、本人と養育者に対する個別の説明をしっかり行う配慮が望まれます。ワクチン接種を希望しない子どもと養育者に対しては、特別扱いされないような十分な配慮が必要と考えます。
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=374
子供がワクチン接種を行う目的は医学的・公衆衛生的なものです。しかし、このままでは「GoToトラベルに参加したいから接種を受ける」という、本末転倒かの様な状況が起こりかねません。
また、6歳~11歳に子供が接種を受けたくても、なかなか予約できない事態も想定されます。高齢者の3回目接種と重なってしまいます。
年明けには第6波の到来が指摘されています。6歳~11歳の接種が可能となり次第、早急に接種させる予定です。