新型コロナウイルス感染症第5波は全国各地で数多くの感染者をもたらしています。
これまでだと強力なハンマーを振り下ろして人流を抑制する事によって感染者数を減らしていましたが、これまでの所はそうした動きは見られません。人流抑制に対する本気度を疑わざるを得ません。
感染者と比例する形で、子供が関係する感染が全国で頻発しています。夏休み特有の生活環境の変化によって生じた感染が少なくありません。幾つかご紹介します。
部活の練習試合
札幌市は14日、市内の高校で2~4日に開かれた高校生の部活動の合同練習に参加した市内外5校のうち4校の計55人が新型コロナウイルスに感染し、クラスター(感染者集団)に認定したと発表した。重症者はいない。札幌市内の1校を会場とし、市内や近郊の残り4校が日替わりで訪れて練習試合を行った。関係者によると、参加したのは男子バレーボール部という。
市などによると、55人は生徒54人と顧問1人で、5日から13日午前にかけ検査で感染が判明した。練習の参加者は5校で計100人を超え、市は感染者と濃厚接触した可能性のある生徒49人と顧問ら関係者5人にも順次、感染の有無を検査している。試合出場者はマスクを外していたが、終了後や控えの選手、教職員はマスクを着けていたという。市は接触者を特定できているとして参加校名や各校の感染者数を明らかにしていないが、関係者によると、会場となった市内の1校では4日夜に体調不良を訴えた1人を含め生徒25人と顧問1人が感染した。
部活関係のクラスターは本当に本当に多いです。高校生の大規模感染では、真っ先に部活動関係が疑われるぐらいです(大学生は飲み会も多い)。
感染が急拡大している札幌市、複数の高校が参加、部活動の練習試合、もう頭が付いていきません。ハイリスクな場所でハイリスクな活動を行い、感染を多くの高校に広げました。
バレーボールでは全国大会でクラスターが発生した事例があります。四国では練習試合クラスターも発生しました。
春高バレー参加3チームでクラスター発生、全国で高校部活動クラスターが相次ぐ
【コロナ・6/15追記】徳島・高知の高校女子バレークラスター、80人以上が感染
この練習試合を企画した顧問は指導者失格です。集大成である大会ならまだしも(それでもハイリスク)、リスク覚悟で複数日の練習試合を行う必要性はどこにあるのでしょうか。
部活をあまりに聖域化していないでしょうか。部活はアンタッチャブルな存在ですか?
高校生や保護者レベルでは「今はコロナが怖い」と感じている方は少なくないでしょう。しかし、そうした声を挙げるのは非常に難しいです。「弱気」「レギュラー剥奪」「部追放」といったペナルティを受ける可能性があります。
こうした場面では、日頃から培われている集団行動や協調性が「同調圧力」という形のデメリットとして現れます。
顧問や学校に適切な判断を期待できなければ(恐らくは期待できない)、自治体(教育委員会)が「部活禁止令」を出すべきです。
フードコート
患者に感染経路を聞くと、家庭内感染のほか「外食した」「親戚が遊びに来た」といった回答が多く、中でも大型商業施設のフードコートを利用した人が目立つという。田島部長は、学校や学習塾で集団生活する子どもが無症状のままウイルスを家庭に持ち帰って感染が広がる事例も増えると想定。「いかに夏休み中に感染拡大を抑えるかが重要。抑えられないまま学校が再開すると、最悪のシナリオをたどることになる」と懸念する。
不特定多数が利用し、席間が狭く、使用後の除菌等は全く行われず、衝立等も無く、多くの子育て世帯等がお喋りに夢中になるフードコートは、第1波の当時から極めてリスクが高い場所だと認識していました。
実は第1波以降、フードコートは全く利用していません(それまでも殆ど利用せず)。
大型商業施設へ人流抑制等を依頼するのであれば、同時にフードコートの人流抑制も要請して欲しいです。机の数を半分にして除菌用品等を完備するだけでも随分と違う筈です。
とは言え、フードコートの利用客に「お喋りは控えめに」とお願いするのは難しい話です。お喋りしたい客層や子供達が集う場所ですから。店側が目を光らせて注意できる構造にもなっていません。
フードコートは一種の「無法地帯」です。根本的な対策は「閉鎖」するしかないでしょう。
音楽教室
また、クラスターも発生しています。市内の音楽教室ではこれまでに10代の女性12人の感染が判明しました。
「りゅーとぴあ」によるとクラスターが発生したのは今月7日と8日に開催された合唱の「ジュニア音楽教室」です。
この音楽教室は、東京から講師を招いて毎週末行われていたもので、講師は毎回、来県前に抗原検査を行っていたといいます。
今回も抗原検査の結果は陰性で、発熱などの症状はありませんでしたが、10日に発熱し11日に陽性が確認されたということです。音楽教室には小学生から高校生まで100人以上が参加していたということで、新潟市はほかに感染者がいないか調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d914860c78aae9fca8d92b87f1e043c2e44d93a9
りゅーとぴあで開催されている音楽教室は「ジュニアオーケストラ教室」「ジュニア邦楽合奏団」「ジュニア合唱団」があります。該当するのはジュニア合唱団です。指揮者は東京の教室と掛け持ちしている様子ですね。
新潟市の発表内容には10歳代で県外陽性者の濃厚接触者が並んでいます。
多くの人間が集まる合唱教室です。換気を行っていたとしても、人数に対して十分ではなかった可能性が強いです。防音と換気は相反する内容です。
昨年には兵庫県で行われた合唱コンクールで大規模なクラスターが発生しました。
抗原検査が陰性であってもすり抜けてしまう事はあります(PCRよりすり抜けやすい)。
合唱教室やコンクールにて万全の対策を行うのは困難です。屋外で行うぐらいしか思いつきません。
学習塾
湘南ゼミナール小中部西船橋教室で発生したクラスターは、感染者が遂に100人に到達しました。
https://www.city.funabashi.lg.jp/kenkou/kansenshou/001/p095183_d/fil/20210816.pdf
多くの児童生徒が感染してしまい、保護者やきょうだいは全く身動きが取れません。咳をしていた講師が複数の講義を担当し、感染が爆発的に拡大したと指摘されています。
学習塾が換気が徹底されていない教室もあります。子供同士の距離も近く、学校ほどの感染対策は行えていないのでしょう。
学校や保育所でも同じですが、子供が集まる場所で感染を拡大させるケースが多いのは大人です。大人は大声で話すのが仕事であり、多くの子供と接します。
体調がおかしい際は早めに休む事、定期的な検査を行う事が大切なのでしょう。
2学期に暗雲
政府は人流を抑制して感染者を減らそうとする動きが感じられません。政府首脳の一人は、バカの一つ覚えの様に「ワクチン」「抗体カクテル」「高齢者の死者が減った」「五輪観戦で人流が減った」というコメントを繰り返しています。
仮にそれが正しいとしても、子供や子育て世代の間で過去に類を見ないほどに感染が広がっているのは事実です。
早い地域では来週から2学期が再開します。しかし、自宅待機期間が長引いてしまい、始業式に参加できない児童生徒が全国で多発してしまうのは避けられません。
また、再開早々に新たな感染が判明し、即臨時休業となる学校も生じるでしょう。保育所等や幼稚園も同じです。オンライン授業や夏休みを延長するという話も聞こえてきません。
少なくとも9月は安定的な学校運営が行われると考えにくいです。秋の運動会や遠足を延期・中止せざるを学校が相次ぐのは避けられません。
感染爆発中ですから、様々な活動が制限されるのはやむを得ないと感じています。それも子供の感染を防ぐ為です。
子供達が安心して日々の生活や活動を送るには、根本的には社会全体の感染者を減らす必要があります。
しかし、政府にそうした姿勢は感じられません。子供達が感染しても「自己責任だ」と冷たくあしらうのでしょうか。
全ての子供がワクチンを接種できるメドは立っていません。12歳以上が接種可能となっていますが、なかなか予約が取れません。
政府は子供を見殺しにするつもりですか?