2022年度保育所等一斉入所申込状況分析、第11回は天王寺区です。
※10月27日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。
昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、0.1倍以上減少した区は水色、入所倍率が2倍を超えた箇所は赤、優先枠申込者が存在する箇所は緑で表示しています。
天王寺区は長年に渡って大阪市内で最も保育所等へ入所しにくい区の一つでした。しかしながら保育所等の整備が集中的に行われた結果、入所倍率は著しく低下しました。
たとえば数年前の1歳児入所は加点がなければ厳しい保育所等が大半だったのですが、近年は加点無しでも入所できる保育所等が多数派となりました。
とは言え、地域柄の為か点数が高い世帯が多く、見た目の倍率以上に入所するのは難しくなっています。
特に厳しいのは2-3歳児です。2歳児入所倍率1.55倍は市内2位(1位は東淀川区1.64倍)、3歳児2.11倍も市内2位(1位は西区2.28倍)です。
0歳児の第1希望が集中しているのは、蓮美幼児学園うえしおキンダースクール(2.78倍)・あろんてぃあきっず真法院町保育園(2.33倍、優先枠あり)です。
ただ、天王寺区全体の0歳児倍率は1倍を下回っています。同区は認可外保育や企業主導型保育が非常に多い地域です。0歳児の保育の場が見つからない事態が避けられると感じています。
1歳児は一部の保育所等に第1希望が集中しています。あろんてぃあきっず真法院町保育園で大きな問題が発生しています。
同園は1歳児募集予定数3人に対し、17人が第1希望としています。この17人の中には、優先枠利用者が3人います。結果として1歳児入所枠が優先枠利用者で埋まってしまいました。他の入所者はきょうだい加点等があっても入所できない見通しです。
過去に募集予定数1人が優先枠で埋まってしまうケースはありました。しかし、3人が優先枠で埋まってしまうケースは記憶にありません。前代未聞です。
保育士等優先枠の設定は、保育所等で働く保育士等を採用するのに有効な手段でした。しかし、どの保育所等へも入所できる事から、一部の保育所等に希望が集中しやすい側面があります。
優先枠の利用者がある保育所等は、過去にも優先枠で入所した方が多いです。反対に利用者がいない保育所等は過去にもいないケースが多いです。
保育士等が子供の預け先を確実に確保できるのは重要ですが、「特定の保育所等に預けられる」ことまでを保証する意義は乏しいです。更にきょうだいが通っている家庭が全く入所できないのは極めて大きな問題があります。
一つの落としどころは、保育所等・年齢毎に優先枠の利用数に上限を設ける事です。例えば「1保育所等・年齢毎に1人まで」とします。3人も集中するのはデメリットが大きいです。
他に1歳児の希望が集中しているのは、四天王寺夕陽丘保育園(2.17倍、優先枠2人)・蓮美幼児学園うえしおキンダースクール(4倍)・上本町げんき学園(2倍、優先枠あり)・聖和かいせい保育園(3.17倍)・ゆめ玉造保育園(5倍、優先枠あり)です。
天王寺区は狭い区に数多くの保育所等が設置されています。登園できる選択肢が豊富な事から、一部の保育所等に集中しやすいと考えられます。
1歳児に輪を掛けて厳しいのは2歳児です。募集予定数がない保育所等を第1希望としている方が非常に多く、中間発表時の倍率が信用できません。
募集予定数の約半数を占めているのは、天王寺和み保育園とももの木保育園(新設)です。募集予定数が少ない既設園に多くの第1希望が集中し、数多くの児童が保留となってしまうでしょう。
それ以上に難しいのは3歳児です。入所が内定する見通しは申込者の半数以下です(幼稚園進級等で募集数が増える保育所等があるので、実際にはもう少し増える)。
こちらも募集予定がない保育所等へ多くの方が第1希望として申しこんでいます。
また、募集予定がある保育所等にも多くの第1希望が集まっています。特に四天王寺夕陽丘保育園(9倍)やあろんてぃあきっず真法院町保育園(4.5倍、優先枠あり)は、卒園児加点があっても入所できない恐れが強いです。異常な倍率です。
その他の保育所等でも、フルタイム共働き+地域型保育事業等の卒園児加点がなければ厳しい保育所等が多いと感じています。
今後の予定&運営支援のお願い
今年も各区毎の申込状況等を分析し、何らかの情報を掲載していきます。今年の内容は2022申込分析、昨年の内容は2021申込分析からご覧下さい。
「○○区の情報を詳しく知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。
既に多くの方からリクエストを頂いております。ありがとうございます。
次回は都島区(日曜午前を予定)をお届けする予定です。
多少のお時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい(特にメールへのお返事には長い時間を頂いています)。
同時に、皆様に運営支援へのご協力をお願いしています。
必要な育児・生活・事務用品等がありましたら、
この時に指摘されていた通り、あろんてぃあきっずさんの一歳募集が、保育士さんのみ内定となりましたね。
こちらの記事で、保護者に保育士が集中するデメリットと書かれていますが、現在問題になっている、保育士が子供の預け先の閉鎖で出勤出来なくなっている問題が、正にそうですね。
保護者に保育士の多い園が閉じると、一気に出勤出来ない保育士が増えます。
分散させる必要性が感じられますね。
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、一部の保育所等に保育士の子供が集中してしまうと、臨時休業を行った際に広範な影響が生じてしまいます。
きょうだい加点があっても入所できなかった児童が大量に発生してしまった件もあり、制度の見直しは必至です。
パブコメへ出します。
他の区については分かりませんが、小規模保育園で、卒園児の優先入所枠を持っている施設が増えたなと感じました。
就学時までの新設園が出来ると、小規模保育園が一斉に問い合わせ、卒園児の優先枠を作って貰えないか交渉するそうです。
3歳の募集が昔に比べて減った気がしており、この小規模保育園からの優先枠に取られているからではと思っています。
例えば、すてっぷ保育園さんは3園に4枠持っており、うち1枠は大人気のあろんてぃあきっずさんです。
他の小規模保育園でも、3枠ほど持っている園が珍しく有りません。
ですが、どこの園とも提携しておらず、優先入所枠のない小規模保育園もあります。
小規模保育園に通うなら、優先枠を持っているかどうかも大きいなと感じました。
コメントありがとうございます。
小規模保育(地域型保育事業)の詳細までは追い切れていません。
ご紹介頂いたすてっぷ保育園は、多くの園に優先進級枠を持たれているのですね。
基本情報に記されていました(最下段なので見落としてしまいそうです)。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000012/12681/t9-6-step.pdf
小規模保育が新設園へ一斉に問い合わせ、交渉しているという話は全く知りませんでした。
これだけ多くの保育所等を新設しているのに、3歳児の募集枠は然程増えていないのが不可解でした。
優先枠に取られているとしてら、納得できます。
第1希望が集中するのは6年保育です。
多くの申込者と意見交換を行っていますが、「6年保育」を最優先に掲げる方が非常に多いです。
少子化が続くと、優先枠を持っていない小規模保育はより厳しくなります。