コロナ第5波で多くのクラスターが発生しているのは保育施設です。大阪府内でも毎日の様に発生しています。
大阪市内の保育施設では8/1~23までに236施設にて336人の感染が確認されました。
多くの感染者が発生しています。但し、保育施設内で子供同士が広範囲に感染させ合っている様には見えません。1施設当たりの感染者数は約1.5人です。
殆どのケースでは園内で他者に感染させていない、感染させたとしても極めて限られた人間に過ぎない、と言えるかもしれません。
頻発する保育施設クラスターと1施設当たり感染者の少なさ、一見すると矛盾するかの様なデータをどう解釈すべきかと悩んでいました。
そうした中、東京都港区が区内の保育施設におけるコロナ感染者の影響を調査した結果が公表されています。
みなと保健所からのお知らせ(8月27日)「区内の保育施設における新型コロナウイルス感染症の影響調査」報告
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/press/202108/20210827_press.html
調査結果は「家庭内感染の影響で子どもや職員が感染するケースの数が増えていても、施設内で感染が拡大していく傾向は確認されません」でした。大阪市の傾向と同じです。
接触状況の評価
調査を行った39事例のうち「濃厚接触者」は31人(職員19、園児12)、接触の可能性を広く設定した「接触者」は480人(職員146、園児334)、合計511人でした。検査結果
PCR検査を受けたのは、「接触者」は480人のうち431人であり接触のあった人のうちの84.3%でした。職員は156人(94.5%)、園児は275人(79.5%)と、職員の方が検査実施率は高い状況でした。陽性判定
職員は156人中11人(7.1%)、園児は275人中9人(3.3%)であった。検査の時期および再検査の必要性の検討については保健所が助言を行いました。検査が陽性だった人の健康状態
保健所が調査を行い、検査を受けた人は、検査の時点で全員が無症状でした。PCR検査で陽性となった園児9人のうち、後に症状が出たのは2人のみで軽症でした。陽性者が発生した施設の対応
業務中の不織布マスクの使用、食事中の会話を控える等、基本的な感染対策を実施しており、陽性者が発生した後は、施設の消毒を行いました。結果
デルタ株が広がった8月においても、家庭内感染の影響で子どもや職員が感染するケースの数が増えていても、施設内で感染が拡大していく傾向は確認されませんでした。
これを受け、同保健所が「保育施設における新型コロナ対策」を掲載しました。
大規模な一斉検査は不要、現在の対策を継続すると共に、大人の感染を広げない事が重要だと指摘しています。
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/press/202108/documents/20210827_press2.pdf
特に注意すべき場面は「食事」です。大人の世界と同じですね。マスクをせずに食事をしていた職員から園児へ広がった事例が確認されています。
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/press/202108/documents/20210827_press1.pdf
「職員と子供が一緒に食事をしない」とする対策は、小学校でも応用できるかもしれません。
一方、都市部を中心とする全国各地で保育施設クラスターが発生し続けているのも事実です。港区の調査結果に基づくならば、適正な対策が行えていなかったからかもしれません。
子供を経由して親が感染する事例も増えています。保育園児の親は30代が多く、ワクチン未接種者も少なくありません。
園児をコロナから守るには、周囲の大人がワクチン接種を行うのが最重要ですね。