東京都港区青山に建設を予定している児童相談所大阪府八尾市の認定こども園さくら保育園等、フジテレビのワイドショーは子育て問題を特集する機会が増えています。

今朝の「とくダネ!」では、東京都港区に建設が予定されている保育室を取り上げました。

来年4月に開設予定だった白金台保育室について住民から待ったがかかった。
第3回住民説明会の音声(住民提供)。
建設予定地となているのは白金台三丁目遊び場。
港区は待機児童解消の為の緊急対策として約100人を受け入れる施設の開設を目指すとしている。
住民は別の場所への建設を希望しているが、港区側は19の候補地のうちここしか建設できないと回答。

https://jcc.jp/news/14056590/

独自・高級住宅街・白金台に保育施設・住民“待った”
ジャーナリスト・猪熊弘子のスタジオ解説。
港区保育室は待機児童解消の為、港区が独自に設置する施設。
許可は受けていないが区内の認可保育園と同様の体制。
区が設置し民間事業者に運営業務を委託。
白金台は地価ランキング全国3位。
白金台三丁目遊び場に待機児童解消緊急対策の一環として港区が計画。
当初の予定では今月12日に工事着工。
背景にあるのは待機児童が去年4月に164人。
去年3回にわたって整備計画説明会、先月からは工事説明会が開かれた。
今月5日の第3回工事説明会で紛糾。
住民は保育室を作ることに反対しているわけではないと言っている。
住民の怒りの声:木を切るな、遊び場がなくなる。
近くのインターナショナルスクールの責任者は公園浪人の子どもたちを増やしてしまうと話している。

http://jcc.jp/news/14056624/

住民の怒りの声:税金の無駄遣い。
建設予定地に道路が建設される予定。
公園は道路計画を前提にURが所有。
2億数千万円をかけて保育室を設置。
2023年4月以降に環状4号線が開通。
港区の担当者は環状4号線道路計画の進捗状況も踏まえて運営機関の延長について東京都と調整していく。
東京都都市整備局は延長について事実であれば当惑している、環状4号線の整備に支障がないよう取り組んで欲しいとしている。

https://jcc.jp/news/14056666/

保育室の設置が予定されているのは、白金台三丁目遊び場です。

面積1,416平方メートル、ブランコ・滑り台・鉄棒・投球場・トイレ等が設置されています。小さな子どもから老人までが集う、地域に密着した公園だと感じます。

また、道路を挟んで反対側には白金台幼稚園もあります。子供で賑やかな場所ですね。ただ、白金・シロガネーゼがら想像する場所からは少し離れていると感じました。

建設に関する詳しい経緯は、清家あい(港区議会議員)のブログに掲載されています。

議会の最終日に開催された、白金台3丁目に建設計画の「白金台保育室」の説明会が紛糾し、結局、工事着工はできず、先日の保健福祉常任委員会で、予定していた4月開設の延期が正式に報告されました。(以下略)

https://ameblo.jp/aizeye/entry-12414125676.html

テレビ報道によると、同公園は環状4号線の建設計画を前提にURが所有しているそうです。

環境現況調査(東京都)に建設予定地等が掲載されています。保育室設置予定地たる公園を青色で図面に重ねました。

見事に公園上を環状4号線が通過しています。こうした事情からか、公園では無く「遊び場」とて運用されていたのでしょう。

また、建設費用たる落札価格(平成30年5月から平成35年6月までのリース費用)は約2億7,670万円です。

(仮称)港区白金台保育室の建物賃貸借

件名(仮称)港区白金台保育室の建物賃貸借
落札金額¥276,696,000
落札業者郡リース株式会社 東京事業本部
契約番号30港契約第0030000158号
納入・履行期間H30/05/25 からH35/06/30まで
開札日時H30/05/24 10:00

http://www.city.minato.tokyo.jp/keiyaku/kuse/nyusatsu/mitsumori/2018/bupin/data/30-0030000158.html

リース期間は平成35年(2023年)6月末までとされています。環状4号線の開通が見込まれる2023年4月以降を片目で見つつ、このリース期間を設定したのでしょう。

であれば、保育室の利用期間は平成31年度~平成34年度となります。月額リース料は約580万円、1日あたりに換算すると約20万円ですね。流石はお金持ちの港区、と言えるのでしょうか。

(追記)反対する高齢者は芝白金団地住民?

グッディを見ました。公園を憩いの場としている、老人の暴論が酷くて辟易しました。まさか「公園内のトイレが無くなったら困る」という発言が、説明会の場で飛び出すとは・・・。

地図をよく見ると、この公園に隣接して芝白金団地が立地しています。

50年ほど前に建設された、古い分譲マンションです。例えば77平方メートルの部屋は、月額賃料21万円とされています(詳細はこちら)。

団地の現況や周辺環境は、東京deepで詳しく説明されています。

団地は非常に古く、戦前に建築された古い一戸建ても少なくないそうです。また、団地の旧住所たる芝白金今里町には、明治時代に近代最初の屠畜場が設置されたそうです(芝浦屠場の前身)。

建設された年代から、入居しているのは高齢者が中心でしょう。となると、隣接する公園が憩いの場となるのは自然な話です。

グッディで放映された説明会で強硬に反論していたのは、芝白金団地に入居している高齢者ではないでしょうか(あくまで推測です)。

これ、芝白金団地を建て替えて高層化し、低層部分に保育所が入所する形ならまとまるかもしれませんね。時間は掛かりますが。

4年間限定の保育所、運営事業者・園児は集まるのか?

更に白金台保育室は0-2歳児のみを保育する地域型保育事業ではなく、0-5歳児を保育する保育所でした。建物は港区が建設(リース)し、民間事業者が運営する計画でした。

(仮称)港区白金台保育室の運営業務委託事業候補者をプロポーザル方式により募集します
https://www.city.minato.tokyo.jp/hoikushisetsukeikakutan/puropo/2018shirokaneai.html(キャッシュ)

4年間限定の保育所の運営を募集しても、果たして事業者からの応募はあったのでしょうか。

保育士を苦労して採用し、運営に慣れてきた頃に閉園です。もっと条件の良い公募案件は他にも多数あるでしょう。

更に気掛かりなのは入所希望者です。

多くの保護者は0歳児~5歳児までの保育を行う保育所を希望します。同保育室も6年保育を行いますが、運営期間は4年間の予定です。

多くの園児が在園している最中に閉園し、保護者は再び保育所探しを行わなければなりません。園児や保護者に大きな負担が掛かります。

こうした保育室を第1希望とする方は決して多くないでしょう。仮に来年4月に開所したとしても、3-5歳児クラスは定員を大きく欠けると推測されます。

運営事業者・保護者、両方の立場から考えても、同保育室の経営は非常に難しいと感じました。

開設予定がこのまま立ち消え、落札業者へ違約金を支払って終了する可能性すら考えられます。

待機児童問題が深刻な東京都港区、しかし予定地は4年後に環状道路が建設される遊び場

東京都港区の待機児童は100人以上、保留児童は1,000人以上もいます。保育需要に対して、保育所の新設等がなかなか追いつかないのは大阪市中心部と似ています。

一方、都心部では土地不足・地価高騰が深刻です。オリンピックを控えて地価が跳ね上がっている東京では尚更です。

恐らくは東京都港区が土地難に苦しみ、最有力候補としたのが白金台三丁目遊び場だったのでしょう。

同遊び場は環状4号線の建設予定地に掛かっています。つまり、仮に保育室が設置されなくとも、数年中に遊び場は閉鎖される公算が大です。

であれば、4年間の期間限定とする保育室をここに設置するのは、少し腑に落ちません。遊び場を撤去して保育室を設置するなら理解できますが、設置された保育室も4年後に撤去せねばなりません。

港区の担当者は「19箇所の候補地の内、ここでしか建設できない」と回答しているそうです。広さ・周辺環境・保育需要と供給・利用計画等を考慮すると、保育所を設置できる用地は限られてきます。

大阪市も含め、様々な土地を保育室に作り替える姿勢は評価できます。

しかし、現に遊び場として利用されている土地、しかも4年後には環状4号線が通過する為に原状回復しなければならない土地に保育室を設置するのに疑問を感じます。そして、この地域で4年後までに多くの保育所が開所され、待機児童問題が解消に向かうのでしょうか。

報道を聞く限り、「条件が余りに悪い」と感じました。実際の所はどうなのでしょうか。開設延期が続くと、事業自体が中止される可能性も感じます。

なお、本日13時45分から放送される「グッディ!」でも取り上げられる予定です。気になる方はご覧下さい。グッディを見た上で、更に補足する予定です。

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(11/1追記)
本日放送中のバイキングでも取り上げられています。

遊び場・老人の憩い場・古木・日照・道路・4-5年限定、様々な支障が指摘されています。

更にミヤネ屋でも放送されました。どうなるのでしょうか。