大学の研究者が小学校の体育の授業等で用いる赤白帽の温度を想定した所、白より赤の方が約10度も高くなる事が明らかになりました。

 小学校の体育の授業などでおなじみの赤白帽は、赤の方が白より熱を吸収し、表面温度が10度も高くなる―。武蔵野美術大の北徹朗教授(健康科学)の研究室が、こんな実験結果を明らかにした。体育の授業中の熱中症が増える中、北教授は「リスクを避けるためにも、学校現場は対策を取ってほしい」と呼び掛けている。11月の日本教育実践学会の研究大会で発表する予定。

実験は7月22日に実施。机に赤白帽だけでなく、計9色の帽子をかぶせたマネキンの頭部を置き、温度を測定した。

いずれの色も開始時点の表面温度は28度前後だったが、最高温度は白が46.8度に対し、赤は56.8度となった。

https://nordot.app/823317055780126720

真夏の10度の違いは非常に大きいです。同じ環境下で身体を動かしていても、赤帽子と白帽子で体調に大きな違いが生じ兼ねません。

より詳しい内容が東京新聞に掲載されています。

赤白帽の赤色は熱中症の危険性「白や黄が望ましい」 武蔵野美大の大学院生、11月に学会で発表

小学校の体育で使われる「赤白帽(紅白帽)」のうち、赤の帽子は白に比べて表面温度が上がり、子どもの熱中症リスクが高まる。武蔵野美術大学大学院博士後期課程1年の服部由季夫さん(53)がそんな研究結果をまとめたと、本紙の「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。11月にオンライン開催される日本教育実践学会の研究大会で発表する。「色分けがあれば赤である必要はない」とし、学校や教育委員会の対応を促したいという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/131796

こちらのグラフによると、赤よりも白の方が約10度ほど低いのに加え、綿や混紡よりポリエステル製の方が約1度~4度ほど低い結果となりました。

子供の健康を考えると、赤帽子より白帽子を使うべきなのは明らかです。そもそも真夏の炎天下で体育を行うのが問題ですが。

研究をまとめた服部先生は「色分けがあれば赤である必要はない」と指摘しています。

では、仮に赤から変えるとしたら何色が良いのでしょうか。「白と判別しやすい」「熱吸収が赤より低い」のが必要条件です。

参考になるのは「熱中症予防に効果的な服の色は?」という研究です。様々な色のポロシャツを比較した所、温度が低い順から白・黄・灰・赤となりました。

https://weathernews.jp/s/topics/202108/050255/

赤よりも温度が低く、そして白と見分けしやすいのは「黄色」です。白と灰のポロシャツは見分けにくいですが、白と黄は一目瞭然です。

運動会などが「紅白対抗」から「黄白対抗(おうはくたいこう?)」になったら、当初は違和感があります。でも、いつの間にか慣れてしまうと思います。

なお、紅白帽を比較した結果は、11月6日に開催される日本教育実践学会第24回研究大会にて「暑熱環境下における児童用赤白帽表面温度の経時的変化-サーモグラフィを用いた 色・素材別の観察- 」として発表されます。

日本教育実践学会 第24 回研究大会 プログラム

赤帽子が黄帽子に変わるのには時間が掛かります(永遠に変わらないかもしれません)。家庭で今すぐできるのは「ポリエステル製(メッシュタイプ)の紅白帽を使用する」事ですね。偶然ですが、うちの子も使っています。

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