呆れて物が言えません。幼保無償化、開始初年度から予算不足です。
幼保無償化、財源足りず 補正数百億円を追加計上へ
2019年11月21日 朝刊
十月にスタートした国の幼児教育・保育の無償化制度で、二〇一九年度分の財源が数百億円程度不足する見通しとなったことが二十日、分かった。単価の高い保育所利用者が想定よりも多かったことが主因とみられ、政府は不足分を編成中の一九年度補正予算案に追加計上する。始まったばかりの看板政策で予算不足になるのは異例で、甘い制度設計が露呈した格好だ。
一九年度の税収は当初見込みから大幅に下振れする見通しで、無償化財源の不足分には赤字国債を含む他の歳入を充てる必要がある。政府の甘い見込みに加え、支出増大を借金で賄う構図も批判を招きそうだ。
無償化制度は、安倍晋三首相が一七年十月の衆院選で「国民の信を問う」と公約の柱に掲げ導入した。十月の消費税増税による増収分の一部を財源に活用。少子化対策として子育て世代の負担を減らす狙いで、一九年度は十月からの半年分として三千八百八十二億円を計上した。年間の利用者は三百万人と見込んでいる。
保育所は幼稚園よりも子ども一人当たりにかかる費用が高い。十月に制度が始まると、当初想定よりも保育所の利用者の割合が高く、国の負担額が膨らんだ。また無償化前は自己負担割合の高かった中高所得者の利用が予想よりも多く、国の負担増につながった。
制度を所管する内閣府は取材に対し、「理由は精査中」とした。
年間ベースでの事業費は当初、国と地方を合わせて七千八百億円規模を想定していたが、これも一千億円程度上振れする可能性がある。編成中の二〇年度予算案は要求額が百兆円を超え、過去最高を更新した。幼児教育・保育の無償化で一千億円程度の新たな財源が必要となれば、予算膨張は避けられない見通しだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019112102000135.html
より多くの家庭が保育所等や幼稚園を利用したのであれば、それは歓迎すべき話でしょう。しかし、実態は異なる様子です。
予算不足に陥った事情は主に二つ、(1)保育所利用者の割合が高かった、(2)中高所得者の利用が多かった、です。
しかし、これらはいずれも当初から予期できた行動でした。制度設計自体がこうした動きを促す物でした。まさしく「見込みが甘すぎた」としか言い様がありません。
幼児教育・保育の無償化に要する予算として、平成31年度は3,882億円が計上されました。
無償化に要する経費は、本来は国・都道府県・市町村が分担して負担するものとされていました。但し、開始初年度に限っては地方負担分2,349億円を国費で負担しています。
記事では触れられていませんが、懸念されるのは来年度(令和2年度)以降の予算です。
来年度以降は都道府県・市町村の負担が発生します。制度設計時には年間約4700億円(半年分の地方負担分の倍額)が見込まれていたのでしょう。
しかし、開始初年度の予算不足により、次年度以降も予算総額が膨張するのは避けられません。地方負担総額は数百億円程度も膨れあがりそうです。
予算見通しが甘すぎた幼保無償化は、来年度以降の自治体財政を直撃します。
例え経済的にゆとりがある中高所得世帯に偏ったとしても、相対的に冷遇されていた子育て世帯に補助が回るのは歓迎したいです。
ただ、それが子育て世帯間の格差を助長したのは事実です。
予算膨張で不安なのは、他の子育て予算への影響です。
幼保無償化という削減余地がない予算が拡大し、代わりに他の子育て予算が削減されないでしょうか(地方交付税等で手当される話は聞きません)。
多くの自治体は創意工夫をした子育て支援策を行っています。幼保無償化という国策により、半強制的に打ち切られるケースも生じるでしょう。公立保育所の民営化も加速しそうです。
来年度の自治体予算編成、四苦八苦かもしれません。
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(12/13追記)
2019年度の財源が493億円不足する見通しです。
政府は、10月から始まった幼児教育・保育の無償化で、2019年度分の財源が493億円不足する見通しとなり、不足分の経費を同年度補正予算案に計上する方針を固めた。
幼稚園に比べて単価が高い保育所の利用者が想定を上回ったことが要因とみられる。
消費税率引き上げに併せて始まった幼保無償化は、3~5歳児は全世帯、0~2歳児は住民税非課税世帯が対象。幼稚園や認可保育所、認定こども園などの利用料が原則無料になる。約300万人が恩恵を受ける見通し。
無償化の費用は国と地方が分担。しかし、10月から来年3月までの半年分に限り、国費で全額負担する決まりとなっており、19年度当初予算には計3882億円を計上していた。
https://news.livedoor.com/article/detail/17517449/
自治体負担も膨れあがります。