信じられない事件です。大阪市・大阪府内の体罰事件も酷いですが、兵庫県の事件に声が出ません。
宝塚市立長尾中学校の教諭である上野宝博容疑者が逮捕されました。生徒2人に柔道技で重傷を負わせた容疑です。
https://twitter.com/UenoTakahiro_/status/1315933641583874048
https://www.youtube.com/watch?v=voK22CezWRA
宝塚市内の中学校で、柔道部の顧問を務める男の教諭が道場の冷蔵庫にあったアイスクリームを無断で食べた部員の生徒2人に柔道の技をかけて重軽傷を負わせたとして、12日、傷害の疑いで逮捕されました。
警察によりますと教諭は容疑を一部、否認しているということです。
逮捕されたのは、宝塚市立長尾中学校の教諭で、柔道部の顧問を務める上野宝博容疑者(50)です。
警察によりますと、上野教諭は先月25日、学校の柔道場で、部員の1年生の男子生徒に対して▽1人には投げ技をかけたあと両ほおを数回殴り、背骨を折る大けがをさせ、▽別の1人には寝技をかけ首に軽いけがをさせたとして傷害の疑いが持たれています。
冷蔵庫に入れていたアイスクリームがなくなっていて部員2人が「食べた」と答えたことから技をかけたとみられるということで、警察の調べに対し「おおむねそのとおりだが、意識がもうろうとしていた生徒を起こすためにほおを1回ビンタしただけで、殴ってはいない」と一部、容疑を否認しているということです。
先月、生徒の両親から警察に相談があり、その後、被害届が出されたことを受けて上野教諭を逮捕したということで、今後、いきさつなどをさらに調べることにしています。
中学校の部活中、部員の男子生徒2人に体罰を加えてけがを負わせたとして、兵庫県警宝塚署は12日、傷害の疑いで、宝塚市立中学校教諭の男(50)=西宮市=を逮捕した。
逮捕容疑は、9月25日午後4時半ごろから約30分にわたり、同校の道場で、顧問を務める柔道部の1年生男子部員2人に対し、投げ技をかけて両頬を数回殴ったり、寝技をしつこくかけたりしてけがを負わせた疑い。12歳の生徒は背骨を折り全治約3カ月の重傷で、13歳の生徒は首に軽いけが。調べに対し、「おおむね間違いありません」と容疑を認めている。
同署によると、道場にある冷蔵庫で保管していたアイスクリームがなくなっていた事案が発生。男らが部員を対象に聞き取りをした結果、2人が食べたことを認めたため、部員らの前で暴行を加えたという。2人の両親が数日後に同署に相談。10月に入って被害届を出した。
同署によると男は2016年から同校で勤務。当時から柔道部の顧問を務めていたという。
宝塚市教育委員会によると、事案が起きた9月25日、学校側から市教委に報告があったという。
同校は10月12日午後7時から、保護者会を開いて説明。その後、午後9時すぎに同校から市教委に逮捕の連絡があったという。同市教委は「まずは事実確認を進めたい」とした。
宝塚市内では、今年6月にも市立中学校で女子生徒に対して厳しい指導をしたとして、生徒が所属する部活動の男性顧問が停職1カ月の処分を受けている。女子生徒は指導を受けた後に校舎から転落し、腕の骨を折る重傷を負った。
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202010/0013777361.shtml
背骨を折るとは酷いケガです。後遺症が残る恐れもあります。柔道部へ入部して半年も経っていない1年生に一方的に技を仕掛け、人生を左右する重傷を負わせました。
アイスを生徒が勝手に食べたのが切っ掛けだったとしても、弁解の余地はありまえん。
事件が起きたのは宝塚市立長尾中学校でした。
驚く事に、同教諭には顔に生徒へ暴行して2度の処分を受けていました。
教諭は2016年から同校に勤務して数学を担当。13年2月以降、部員にビンタをしたり、生徒の胸ぐらをつかんで押し倒したりしたとして2度の訓告処分を受け、同年10月には、生徒の顔に頭突きをして鼻の骨を折ったとして減給10分の1(3カ月)の処分を受けていた。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013778340.shtml
他者に頭突きして鼻の骨を折ったら、一般的には刑事処分や民事賠償を迫られます。顧客に骨折するケガを故意に負わせたら、通常は懲戒解雇です。
どうして教員は生徒にケガを負わせても訓告や減給で済むのでしょうか。以前の処分が甘すぎます。少なくとも教育現場から追放すべきでした。
「公務員にとって減給は極めて厳しい処分だ」という意見を聞きますが、どう考えても間違っています。手厚い身分保障や免責特権が暴力教師をのさばらせていませんか。
宝塚市教育委員会との質疑応答が神戸新聞に掲載されています。
-被害生徒は登校しているか。
「当初は『顧問が怖い』と骨折した生徒が2日間、もう1人は翌日欠席した。その後も出席したり、欠席したり。今は体調が良いときに登校している」-骨折した生徒は全治3カ月とあるが。
「運動が3カ月できないと聞いている。職員が送迎し、胸部にコルセットをしている」https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013778368.shtml
被害に遭った生徒は登校拒否に陥ったり、重傷を負って日常生活がままならない状態となっています。
教諭の暴行は生徒達に人生に重大な影響を及ぼそうとしています。登校拒否が続いたり後遺症が残ってしまうと取り返しが付きません。
-被害生徒2人の柔道歴は。
「2人とも柔道経験はなく、中学に入ってから柔道部に入り、1人は入部まもなく、1人は仮入部だった」-学校に対する男性教諭の言い分は。
「あくまで練習という形で『普段よりきつい練習をした』と言い、体罰という認識はなかった。保護者との面談を経て、体罰だと認めた」-どんな体罰があったのか。当日の流れは。
「骨折した生徒は、寝技絞め技をされて失神に至った。逃げる形で帰宅し、その後部活には行っていない。生徒が帰った後、もう1人の生徒への体罰があり、その後全体ミーティングをして部活が終わった」
市教委は会見で、教諭が入部間もない生徒1人に10回以上投げ技や寝技を掛け、途中で失神すると、ビンタをして起こし、さらに投げ技を繰り返したと説明。仮入部中のもう1人にも寝技を掛け続けたという。副顧問は恐怖を覚えて止められなかったとし、目撃した生徒らが「恐怖を感じた」と話したという。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013778340.shtml
「指導」という名の体罰は様々な地域で何度も繰り返されていました。熱心な指導と行き過ぎた指導を区別するのは容易ではないかもしれませんが、本件は明らかに「明白な加害意図を持った、指導に名を借りた暴行行為」です。
柔道経験者であれば、どれだけの寝技を掛けたら失神するかは理解しているでしょう。どういった投げ技を仕掛けると危険かも分かっている筈です。
にもかかわらず、柔道初心者とも言える1年生2人に技を仕掛けました。一歩間違えれば、生命を失う危機すらありました。
現場に立ち会った副顧問や生徒等は恐怖を感じていました。一方的な暴行行為、制止したら自分も巻き込まれる危険も感じたでしょう。
-市教委の認知と対応は。
「9月25日に学校から『行き過ぎた指導』と一報があった。28日に経過報告があり『体罰だった』と言われた。10月1日夜に本人と副顧問から聞き取りを行い、翌2日に保護者の元へ行き謝罪をした」-2013年に体罰をした男性教諭を顧問に据えている。市教委の認識は。
「学校長に判断をゆだねている。5年間問題を起こさず、研修も受けているため意識が変わっていると思っていた。柔道経験者でもあるので顧問にした」
教育委員会や学校長の認識や判断が甘すぎました。児童生徒への暴力癖を持っている人間は、指導等を行っても容易には直りません。
更にはこうした処分歴を有する教員を拒否する権利は児童生徒や保護者にありません。
-男性教諭が激高した理由は。
「明確な理由は分からない。(OBから差し入れられたアイスキャンデーを)無断で食べたことに対し、指導する必要があると思って感情が高ぶったのではないか。正義感が強い人物で、それが間違った形で出てしまった。反省しないといけない」
OBは「皆さんで食べて下さい」という趣旨で差し入れたのでしょう。
生徒が勝手に食べたのは注意されても仕方ありませんが、口頭で注意すれば済む話です。
上野容疑者が独り占めする予定あったアイスキャンディーを生徒が勝手に食べてしまい、激高したと考えるのが自然です。
容疑者は授業中にも暴力を振るう傾向があったそうです。「暴力教師」そのものです。
また、生徒への賠償責任を負う宝塚市は上野容疑者へ求償すべきでしょう。
大阪市立桜宮高校の生徒暴行自殺事件で、大阪市は損害賠償額の半額を元教員へ求償しました。
大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が顧問だった男性から暴行を受けて自殺した問題で、市が遺族に支払った賠償金の半額を元顧問の男性に求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。元顧問は反論しておらず、長谷部幸弥裁判長は請求通り4361万円の支払いを命じた。
公務員の賠償責任を被害者・遺族が直接問うのは法的に困難ななか、生徒の両親は今回の判決が教育現場の暴力の抑止力になれば、と望んでいる。(以下省略)
上野宝博容疑者を擁護する余地は何らありません。二度と教育現場に戻すべきではありません。刑事上・民事上の責任を負うべきです。
そして、こうした教員を野放しにした宝塚市の責任も重大です。教育現場は治外法権ではありません。
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(10/14追記)
事件当時の状況が神戸新聞で詳しく報じられています。
兵庫県宝塚市立長尾中学校で柔道部の男性顧問が1年生の男子部員2人に柔道技で重軽傷を負わせた事件で、傷害容疑で逮捕された同校教諭(50)が技をかけている際、被害部員から3度の謝罪があったにもかかわらず、暴行を続けたことが13日、同市教育委員会への取材で分かった。その被害生徒は体罰を受けた直後に自宅へ逃げ帰っており、保護者からの訴えで事件が明らかになったという。
逮捕容疑は9月25日午後、部活動中に柔道技をかけるなどして部員(12)に背骨を折る全治3カ月の重傷、別の部員(13)に首などに軽傷を負わせた疑い。
市教委によると、教諭は、部員2人が同部OBから差し入れのアイスキャンディーを勝手に食べたとし、校内武道場で「練習」と称して暴行を始めた。
その最中、重傷を負った生徒は「アイスを食べてごめんなさい」と3度謝ったが、教諭は「今頃言っても許さん」と言い、背負い投げや絞め技を繰り返したという。失神した部員をビンタで起こして暴行が繰り返され、「30分ぐらい続いた」との証言もあるという。
その後、軽傷を負った男子部員への暴行に移行。掛けている眼鏡を「外せ」といい、恐怖を感じた部員が「嫌だ」と言ったが無理に外させ、寝技で首など複数箇所に全治7日の挫傷を負わせた。
当時、道場には他に40代の男性副顧問と部員10人がいたが、副顧問は恐怖のため傍観していた。他の部員は「怖かった」「先生も止めてくれなかった」などと話しているという。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013779408.shtml
生徒が3回も謝ったにも関わらず、柔道部顧問だった上野宝博容疑者は何度も柔道技を仕掛けて重傷を負わせました。
「練習」「指導」「正義感」に名を借りた、「暴行」「リンチ」です。
情けないのは副顧問です。
当初の報道でも「恐怖で傍観していた」とされていたので、きっと20代~30代の若手教員だと思い込んでいました。
しかし、実際には40代の男性教員でした。恐怖で傍観しても許される立場ではありません。暴行行為に不作為で荷担したと見做されても仕方ありません。
同校では逮捕される直前の12日午後7時から説明会を行い、上野教諭も出席していたそうです。
市教委によると、説明会は12日午後7時から1時間程度開かれた。田中誠校長以外に、傷害容疑で逮捕された同校教諭(50)も出席。同教諭は謝罪し「自分自身をコントロールできない」との発言があったという。
保護者からは「自分が受けてきた指導をそのまま返すのは今の時代に合わない」との指摘や、同教諭が過去に3度の懲戒・訓告処分を受けていたことに触れ「4回目とは信じられない。なぜ同じことを繰り返すのか」などと非難の声が上がった。全校生徒に対する長期的な心のケアを望む声もあったという。
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202010/0013779912.shtml
説明会が終了するのを見計らったかの様に上野容疑者は身柄を拘束されました。
宝塚市の教育行政、無茶苦茶ですね。
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(10/20追記)
逮捕から1週間が過ぎました。
ケガをした生徒は逃げる様に武道場を脱出し、帰宅した後も恐怖で震えていたそうです。
9月25日午後4時半ごろ、同校体育館2階の武道場。柔道部OBが差し入れたアイスキャンディーが前日になくなり、男は1年生2人が食べたことを認めると、稽古と称して暴力を振るい始めた。
2人は柔道初心者で、背骨が折れた部員には10回以上の投げ技をかけ、絞め技で失神させた。さらに馬乗りになって平手打ちで目覚めさせたという。
その後、部員は逃げようとするも寝技をかけられ、技がとけると武道場を脱出。続いて仮入部中のもう1人は柵を握って抵抗したが、引き離されて寝技をかけられ軽傷を負った。
午後5時すぎ、出ていった部員を複数の教員で捜し、自宅に電話すると保護者に「帰宅後に震えて様子がおかしい」と告げられた。男と40代の男性副顧問は学校側の聞き取りに当初「きつめの指導」と答えたが、保護者の報告を受けて体罰と認めたという。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013796894.shtml
被害届の提出を促したのは、宝塚市教委の担当者でした。
保護者向け説明会が終了して会場から退出した上野容疑者を、待ち構えていた兵庫県警宝塚署員が任意同行を求めたそうです。会場内で発言も聞いていたのでしょう。
市教委によると事件の約1週間後、暴力を受けた生徒2人の家を担当者が訪ね、「体罰は犯罪。警察に被害届も出してください」と保護者に伝えていた。
「悪質性が高く、純然たる傷害事件と判断した」と捜査幹部。12日、学校は全校保護者向けの説明会を開催。謝罪した男が会場から出てきた際、県警宝塚署員が同行を求めたという。県教委によると、県教委が任命した教員が部活動中の体罰で逮捕されたのは過去10年間で初めてという。
ただ、未だに教育委員会がこの問題を正しく理解しているか疑問に感じる点があります。
兵庫県教委は当時、部活動中の体罰で懲戒処分された場合は「当該の部活動から外す」と定めていたが、男は生徒指導中だったとして顧問を継続。19年に規定が「一切の部活動をさせない」という趣旨に見直されても指導を続けていた。
中川智子市長は19日の会見で「(状況を問わず)体罰を繰り返した教員を顧問にしていたこと自体が問題だった」と説明。市教委は部活動外の体罰にも厳しい対応を取る意向を示し、全小中学校に体罰の実態調査をすると明かした。
兵庫県宝塚市の中学校で柔道部の顧問の教諭が生徒に暴行を加え逮捕された事件で、市の教育委員会は、体罰を理由に懲戒処分を受けた教諭に部活動の指導をさせないよう検討していると明らかにしました。
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20201019/GE00035338.shtml
「体罰を理由に懲戒処分を受けた部活動指導から外す」とは正気でしょうか。「教育現場から外す」べきです。暴力癖がある教員は不適格です。
こうした生ぬるい対応をとり続けているからこそ教育現場から体罰が絶えず、体罰が常習化している教員が大きな顔をしているのでしょう。