亡くなった池田詩梨(ことり)ちゃん(母親のツイッターより)

———-
(10/16追記)
母親の交際相手へ懲役13年が言い渡されました。

札幌2歳衰弱死事件 母親の元交際相手に懲役13年の実刑判決 札幌地裁

 札幌市中央区で2019年6月、当時2歳の池田詩梨(ことり)ちゃんを暴行するなどして衰弱死させたとして傷害致死と保護責任者遺棄致死の罪に問われた藤原一弥被告(25)=同区=に対する裁判員裁判で、札幌地裁(石田寿一裁判長)は16日、懲役13年(求刑・懲役18年)の実刑判決を言い渡した。藤原被告は詩梨ちゃんの母親の元交際相手。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6c30cb8c1e8e67b5db9e2b274b3ce18e8757124f

———-
(10/21追記)
藤原被告は控訴しました。

速報 懲役13年を不服として控訴 交際相手の男 2歳児衰弱死事件
https://news.yahoo.co.jp/articles/48b773b07a44fac4162bfa6f8ea8e957cbb31f60

———-

1年前に母親とその交際相手による虐待で衰弱死した池田ことりちゃん、覚えていますか? 札幌市での事件でした。

【ニュース・6/8追記】札幌で池田詩梨ちゃん(2歳)が衰弱死 母親と交際相手を逮捕 児相の不手際?

【札幌2歳児虐待死】池田詩梨ちゃんは体重6kg(平均の半分弱)、全身にアザやタバコ・アイロン痕も

【札幌2歳児虐待死・6/26更新】札幌市児童相談所の怠慢と池田詩梨ちゃんの死(時系列)

【札幌2歳児虐待死】上半身に酷い火傷、寄生虫だらけの猫多数と同居、責任回避を図る札幌児相

本日9月29日、交際相手の裁判員裁判が行われました。藤原一弥被告は起訴内容を否認し、無罪を主張しました。

母親の交際相手、暴行を否認し無罪主張 札幌2歳衰弱死

札幌市の池田詩梨(ことり)ちゃん(当時2)が昨年6月に衰弱死したとされる事件で、傷害致死と保護責任者遺棄致死の罪に問われた無職藤原一弥被告(25)の裁判員裁判が29日、札幌地裁で始まった。藤原被告は詩梨ちゃんの母親の池田莉菜被告(22)=保護責任者遺棄致死罪で起訴=の交際相手。藤原被告は「一切やっていない」などと起訴内容を否認し、無罪を主張した。

検察側は冒頭陳述で、「自力で生存できない2歳児の生命を奪ったことは、極めて重大」と指摘した。

起訴状によると、藤原被告は昨年5月上旬~6月5日ごろ、詩梨ちゃんと莉菜被告の3人で同居する部屋で、詩梨ちゃんの全身を殴ったり踏みつけたり、たばこの火を押しつけたりして、頭部骨折ややけどなどを負わせたとされる。さらに莉菜被告と共謀し、同年5月15日ごろから、詩梨ちゃんに十分な食事を与えず、けがの治療を受けさせないで放置し、多臓器不全を伴う低栄養状態に陥らせて衰弱死させたとされる。(以下省略)

https://www.asahi.com/articles/ASN9Y3J30N9YIIPE005.html

本事件では母親や交際相手による暴行や育児放棄と共に、児童相談所の不作為が厳しく指摘されました。

これらを対象とした札幌市の検証報告書が公開されています。

https://www.city.sapporo.jp/kodomo/jisedai/kosodatekaigi/jidofukushi/kensyo.html

シングルマザーや乳幼児検診の未受診によるリスクを過小評価したのに加え、度重なる警察署からの同行要請を拒み続けて電話(不在で架からず)に終始したのが大きな問題でした。

児童相談所の体制強化(新設・定数増・夜間の人員配置)や警察署との役割分担等の明確化、様々な点が指摘されています。

ここ数ヶ月、大阪市や神戸市でも「児童相談所の人手が足らない」と何度も報じられていました。

自治体が行うべき最も重要な業務の一つが「子供の安全を図る」のは言うまでもないでしょう。

児童相談所や関連する分野に多くの予算を割り当て、必要な体制を整備して欲しいですね。大型開発も重要ですが、政治はこうした身近な分野にもっと目配りして欲しいです。

————
(9/30追記)

STVが詳細に伝えています。

「一切やっていません」傷害致死と保護責任者遺棄致死の罪に問われている藤原一弥被告。29日から始まった裁判員裁判で自らの無罪を主張しました。起訴状によりますと、藤原被告は去年5月から6月までの間、交際していた池田莉菜被告の長女・詩梨(ことり)ちゃん当時2歳に頭や顔を殴るなどの暴行を加えたうえ、病院に連れて行かず放置し、衰弱死させました。また、池田被告も藤原被告とともに、衰弱した詩梨ちゃんを放置したとして保護責任者遺棄致死の罪に問われています。「意識がなくて呼吸が止まっている」去年6月、池田被告から入った119番通報。消防から指示をうけ、心臓マッサージをしたという藤原被告。しかし、隊員が駆けつけると詩梨ちゃんは、心肺停止の状態で仰向けに倒れていました。搬送先の病院で死亡が確認された詩梨ちゃん。体重は平均の半分ほどのわずか6キロ。頭の骨は折れ、体にはタバコを押しつけられたようなやけどのあとがありました。(中略)

29日の裁判で、全身にあざややけどを負った詩梨ちゃんの写真が提示されると、藤原被告は、まっすぐにその写真を見つめました。検察はあざの大きさなどから、暴行したのは池田被告ではなく藤原被告だと主張。4月下旬ごろからほぼ同せいしていたことから、詩梨ちゃんを保護する責任があったと指摘しました。一方で、弁護側は詩梨ちゃんの死因は「衰弱死」ではなく、嘔吐物などをのどに詰まらせたことによる「窒息死」であると主張。体の傷も、池田被告が育児のストレスから負わせたと反論しました。裁判の前日、藤原被告は札幌拘置支所でSTVの取材に応じ、すべての罪の無罪を訴えました。「自分は子どもに数週間で2時間しか会っていない。暴行もしていないし、世話しなければいけない立場だと思ったこともない。」弁護側が無罪を主張する波乱の幕開けとなった裁判。10月5日には、池田被告が証人として出廷、判決は10月16日の予定です。

https://www.stv.jp/news/stvnews/u3f86t000008zefd.html

全ての責任をことりちゃんの母親に押しつける主張ですね。

何が真相なのでしょうか。

———–
(10/1追記)
ことりちゃんの祖母(莉菜被告の母親)や預かっていた保育士が証言しました。

 証言によると、莉菜被告は昨年2月6日から札幌市の保育施設で一時保育を頼み、同14日から本格的に利用を始めた。4月24日まで利用を続けたが、この日を最後に、連絡がないまま預けなくなったという。

 施設の利用開始前に、莉菜被告から提出された詩梨ちゃんの健康診断結果は、身長や体重が同年代の平均を下回っていたが、特記事項の欄には「特になし」とあった。おむつの交換のため毎回、詩梨ちゃんの服を脱がせる機会があったが、2月ごろに額にたんこぶを見つけたほかは、けがはなかった。

 詩梨ちゃんの体格は「小柄で少しぽっちゃりしている印象」だった。施設が朝昼晩に出す食事は2歳児には多い量だったが、ほぼ毎回完食した。ストローで飲み物を飲み、練習中ながら一人でスプーンを使うこともできた。当時の様子について、検察官から「(莉菜被告から)虐待を受けていると感じたことは」と問われると、「ありません」と答えた。

 一方、言葉の発達については「2歳児で2語続けて出てこず、遅れているのかなと感じた」「『まんま』と言ったことはあるが、意味のある単語は出てこず『あー』とか『うー』とかだった」と明かした。こうしたことについて、莉菜被告からの相談はなく、自分から報告したこともなかったという。

https://digital.asahi.com/articles/ASN9Z736PN9ZIIPE014.html

保育士からは身体的虐待を裏付ける証言はありませんでした。身体的虐待行為が行われたのは、保育施設を利用しなくなってからでしょうか。

 莉菜被告はもともと札幌市東区で母親と同居していたが、詩梨ちゃんの出産後に東区内の別の場所に引っ越し、詩梨ちゃんと2人で生活を始めた。このときは、もとの家が手狭になったため母親が転居を促していて、莉菜被告から合鍵を受け取っていた。ところが莉菜被告が昨年3月に中央区に転居した際には、頼んでも合鍵を渡してくれなかった。

 中央区への転居後に莉菜被告と詩梨ちゃんに会えたのは1度だけ。3月上旬、保育施設から「莉菜さんと連絡が取れないので迎えに来てほしい」と頼まれ、詩梨ちゃんを自宅に連れ帰った。詩梨ちゃんの様子について「少し体調が悪そうでしたが、徐々に元気になりテレビを見て踊ったりしていた」と話した。

 5月には警察から「詩梨ちゃんの安否を確認したいが(莉菜被告と)連絡が取れない」伝えられ、莉菜被告に告げると「今日は出かけているから別の日に行く」と返事があった。後日、警察官と会ったのか尋ねると、莉菜被告は会ったと答えたという。

保育施設との連絡を怠る、一種のネグレクト的な傾向が見受けられます。

———–
(10/2追記)
同じマンションに住んでいた居住者、及び母親の同僚が証言しました。

 午前の審理には、藤原被告と莉菜被告、詩梨ちゃんが同居していたマンションの上の階に住んでいた男性が出廷し、「昨年2月ごろから、子どもの泣き声が昼夜問わず聞こえてきた」と証言した。「ギャー」というような泣き声で、一度に10分ほど続き、ほぼ毎日聞こえてきたという。

 検察官から泣き声がしたときの様子を問われると、「『うるせえ』という男性の声のあと、『ドン、ガンガン』といった物をたたきつけるような音がして、子どもの泣き声が聞こえた」と説明した。泣き声のあとには「女性の『キャッキャッ』という笑い声も聞こえた」と述べた。

 詩梨ちゃんが心肺停止状態で発見されたのは昨年6月5日。証人の男性は「6月1日ごろから静かになった」と話した。男性と同居する女性が泣き声や物音で夜眠れなくなるほどストレスがたまったため、4月5日に札幌市児童相談所に通報していた。男性は「いじめや虐待があるのではと思った」と振り返った。

https://digital.asahi.com/articles/ASNB16X4SNB1IIPE00Z.html

マンションの造りによっては、隣室や上下の部屋から子供の泣き声が聞こえてくることもあります。ただ、2歳児の泣き声が毎日の様に聞こえてくるのは心配になります。

大人の声も聞こえてくると言う事は、相当に大きな声を出していたのでしょう。児童相談所へ通報するのも頷けます。

 午後には、莉菜被告が働いていた札幌・ススキノの飲食店の同僚ホステスへの証人尋問があった。詩梨ちゃんが亡くなる2週間ほど前に、莉菜被告から「(藤原被告は詩梨ちゃんが)吹っ飛ぶくらい強く殴る」と聞いた、と証言した。

 証言によると、女性と莉菜被告は2年ほど一緒に働き、店の喫煙所でよく雑談していた。莉菜被告から藤原被告に対する不満をよく聞かされ、藤原被告が詩梨ちゃんに暴力を振るうという内容も複数回あった。

 昨年5月中旬には、「(詩梨ちゃんの)頭を結構強めに殴るから怖い」と聞かされたという。

母親は交際相手への強い不満を同僚へ何度も漏らしていました。

2人の証言から、藤原被告がことりちゃんへ何度も暴力を振るっていた姿が浮かび上がってきます。

———————
(10/2追記)

ことりちゃんを解剖した医師が証言しました。

 札幌市中央区で昨年6月、池田詩梨ちゃん=当時(2)=を衰弱死させたなどとして傷害致死と保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親の交際相手、藤原一弥被告(25)の札幌地裁(石田寿一裁判長)での裁判員裁判公判で2日、遺体を司法解剖した医師が詩梨ちゃんの大腸から綿ごみや毛が見つかり、飢えて口にした可能性があると証言した。

 公判で医師は、昨年5月中旬に北海道警の警察官が自宅を訪問した際は特にやせた様子のなかった詩梨ちゃんが、解剖時は体重が平均を大きく下回る約6キロだったことから「2、3週間で急激にやせ、低栄養により衰弱死した」と述べた。

https://this.kiji.is/684658904979326049

 医師は「体には脂肪が数ミリしかなかった。2週間から3週間の間に急激に体重が減少し、低栄養状態で亡くなった」と証言。提出している証拠では、下腹部の皮下脂肪は3ミリだったとしています。

 また、免疫に関する臓器(胸腺)がかなり委縮していて、「数か月以上、強いストレスを感じていたとみられる」としました。

https://www.uhb.jp/news/single.html?id=15244

5月中旬以降、ことりちゃんの栄養状態が急激に悪化した事がうかがえます。

奇しくも5月15日に母親と警察官が面会していました。

ここからことりちゃんの死亡が確認された6月5日まで、警察や児相は親子に接触する事ができませんでした。

———————
(10/5追記)
ことりちゃんの母親が証言しました。なお、母親も起訴されています。

 池田被告は「3月ごろに藤原被告から娘への暴力が始まった。4月にはモンブランを食べられたことに腹を立て、床に倒れるほど強くぶったたき、引きずった」と証言。「口にバナナを突っ込み、ガムテープでグルグル巻きにし、就寝したこともあった」と被告が虐待していたと主張しました。

 池田被告も藤原被告から連日暴言を受けていましたが、金を貸していて別れることができなかったとしました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae919306d462d02b9f5f3f0a4561a695b0e0e585

暴行が始まった時期を母親は3月頃と証言していますが、同じマンションの住人は2月頃としています。時期が若干食い違っています。

ことりちゃんが死亡した責任を母親が交際相手へ押しつける懸念もあります。証人や交際相手たる藤原被告の発言と照らし、吟味されるのでしょう。

———
(10/8追記)

母親だった池田被告、そして交際相手だった藤原被告、2人の主張が真っ向から対立しています。

検察「詩梨ちゃんに暴行をしたことは?」
 池田被告「ありません。間違いないです」
 さらに、莉菜被告は藤原被告が行ったとする暴行について身振りを交えながらこう話しました。
 池田被告「こめかみを両手でぐりぐりしていました。翌日青タンになっていました」

https://www.htb.co.jp/news/archives_8928.html

午前中の裁判では弁護側から藤原被告への質問があり、池田被告の詩梨ちゃんに対する態度を聞かれるとすすり泣きながら「池田被告が詩梨ちゃんのおむつをかえる時に生きた心地がしないと言っていた」と話し、詩梨ちゃんは池田被告になついていなかったと証言。さらに詩梨ちゃんのあざについては「ひっくり返って泣いたりしていてその時、頭を打っているのを見たことがある」と自らの暴行を否定しました。

https://www.htb.co.jp/news/archives_8937.html

検察官「詩梨さんの火傷の原因は?」
 藤原被告「わかりません」
 検察官「頭頂骨の骨折などの原因は?」
 藤原被告「わかりません」
 検察官「数日から数時間前の痕もありますが?」
 藤原被告「わかりません」
 検察官「やせ細っていた理由は?」
 藤原被告「わかりません」

https://www.htb.co.jp/news/archives_8944.html

ことりちゃんの死の責任を、それぞれが相手方に押しつけ合っています。一体誰が暴行し、ことりちゃんを死に追いやったのでしょうか。

報道を見る限り、藤原被告から池田被告へのDVに関する主張が少なかったと感じています。これまでの虐待死事件では、夫婦間・交際相手間でDVが行われていた事案が少なくありませんでした。

検察は藤原被告へ懲役18年を求刑しました。

検察側は7日の裁判で「犯行のあらゆる点を否認し反省の色も感じられない」として懲役18年を求刑しました。
 藤原被告「一切やっていません。池田(被告)が暴行したと思いました」
 これまでの裁判で一貫して無罪を主張している藤原被告。しかし証人として出廷した詩梨ちゃんの母親の池田莉菜被告は。
 池田被告「暴行はしていません。3月下旬から一弥くんの暴行が始まりました」

死因についても2人の主張は食い違っています。
 検察官「暴行を加えたことや必要な食事を与えなかったことなどによる衰弱死だ」
 弁護士「口の中には吐いたものが詰まっており窒息死と考える」

https://www.htb.co.jp/news/archives_8954.html

虐待死事件で懲役18年の求刑は非常に重いという印象です。それだけ酷い虐待行為が行われていたと考えているのでしょう。

判決は16日に言い渡される予定です。