感染予防・教員の負担軽減として、一部の学校では保護者が庫内の消毒作業を行っているそうです。

 新型コロナウイルスの感染から子どもたちを守るとともに、教員の負担軽減につなげようと、府中市立府中第五小学校で、保護者がボランティアで校舎を消毒する取り組みが始まった。保護者有志が結成した「スクールサポーター」の活動の第一弾。平日の放課後に参加できるメンバーが来校し、教室の出入り口などを消毒する。

 スクールサポーターはPTAとは異なる自主組織で、八月下旬に発足した。希望する保護者が事前にメンバー登録し、各メンバーは来校日をメールで伝える。自身の都合に合わせて参加できるのが特徴だ。同校に子どもが通う五百九十世帯のうち、六日現在で六十五人が登録している。

 活動初日の七日は、保護者十四人が来校。教室の出入り口や階段の手すり、トイレの扉など不特定多数が触れる場所に家庭用洗剤を吹き掛け、ぞうきんで念入りにふき取った。四年生の長女が通う中島志穂さん(44)は「子どもたちや先生のため」と汗を流した。

 同校によると、新型コロナの感染拡大による長期休校の影響で、授業が始まった六月以降は過密スケジュールを余儀なくされている。教員は授業の準備に加え、放課後に四十分ほどかけて校舎を消毒するなど負担が大きくなっていた。そこで保護者から「手伝いたい」との声が上がり、サポーターが結成された。

 元小学校教員でサポーターの事務局を務める岸祥子(しょうこ)さん(43)は「教員だった当時に保護者や地域の人に助けられた経験があり、恩返しをしたかった」という。布宮英明校長は「感謝の気持ちでいっぱいだ。先生の時間が確保できる分、授業の充実につなげたい」と強調した。

 感染防止のため、本年度のサポーターは保護者に限っているが、将来は地域住民も登録できるようにするという。学校行事の手伝いなど活動の幅も広げる予定だ。

https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/55065

保護者の努力は否定されるものではありません。しかし、その効果と周囲に与える影響は慎重に吟味する必要があります。

「病院もこんなに消毒してない。」と指摘する専門家もいます。

大阪市内ではこれまでに17小中学校で新型コロナウイルス感染者が発生し、休校しました。

新型コロナウイルス感染症による学校休業について
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000509375.html

その中で校内感染が発生したと考えられているのは2校です。他15校は校内で感染が広がっていませんでした。

また、全国の小児科医等が診察した結果を集約した資料によると、先行感染者の75%は家族でした。学校・保育所・幼稚園関係は13%に留まっています。

「データベースを用いた国内発症小児Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」に基づく早期公開情報について

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=350

感染した子供の大半は、同居家族が先に感染していました。つまり、子供の感染を防ぐには、同居家族(特に両親)の感染をいかに防ぐかがカギとなります。

国内で新型コロナウイルスが流行し始めて、既に半年以上が経過しました。得られた知見も大きく変化し、いわゆる「コロナの特性」が分かってきました。

学校内の消毒も重要でしょう。しかし、病院でも行っていない過剰な対策とも指摘されています。

対策による負担と効果を見極め、継続できる対策を行うのが重要では無いでしょうか。

校内感染が殆ど広がっていない現状を踏まえると、毎朝の検温や体調チェック・マスクの着用・密防止・向き合わない給食・手洗いといった対策で十分だと感じています。

こうした対策により、実は今年度は学校で流行しやすい5類感染症の発生が大きく抑制されています。信じられない低水準です。

https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000153/153251/2020-36_shuuhou.pdf

なお、保護者による消毒作業は私も反対です。これだけの消毒作業を行うのであれば、まずは学校(市町村)が専門業者へ発注するのが筋です。

また、多くの保護者が学校内へ入り込む事により、コロナウイルスを持ち込む危険性も発生してしまいます。

更に一部保護者有志が消毒作業を行う事により、参加しない保護者との軋轢が生じる恐れがあります。いわゆる「同調圧力」ですね。

私自身、今年度は一度も学校の玄関から先へ立ち入っていません。どこにも触れないとしても、「何となく入らない方が良い」という感情を持ってます。

以前からですが、学校という組織は一度決めた事を再検討して見直す事が苦手だと感じています。

保育所は園長の裁量で決められる部分が大きいのですが、学校は保護者・地域住民・教育委員会といった利害関係者が非常に多いです。

学校が様々な箇所へ根回しするのは大変だと、傍目からでも理解できます。

本件であれば、医者や公衆衛生の専門家が学校や教育委員会へ「過剰な消毒は不要です」と一声掛けてくれれば、すぐにでも見直せそうですね。

大阪は感染者数の減少傾向が続いていますが、東京は今日を含めて7日連続で感染者が1週間前より増加しています。少し心配ですね。