新型コロナウイルス感染症の第5波による影響を強く受けている現場の一つが、数多くの子供を預かっている保育所です。
ここ1年半にわたって過剰なほどの感染対策を行ってきましたが、終わりが見えないコロナ禍に過労が蓄積しています。
また、家族が濃厚接触者、自身のワクチン接種等といった様々な事情により、園が勤務シフトを設定するのが難しくなっています。
新型コロナウイルスの感染急拡大で、マスクなしの子どもと長時間接する保育士に、感染への不安や業務負担からの疲労が重くのしかかっている。保育園からクラスターが相次いで報告される一方で、同僚と日程が重なるのを避けるためワクチン接種さえ希望通りにならない保育士もいる。家族が濃厚接触者になって出勤できないなど、人手不足にも拍車が掛かる。
「こんなに出勤できない保育士が重なるなんて」。東京都内の私立認可保育園の40代女性園長は8月上旬、職員からの休みの連絡に頭を抱えた。もともと夏休みの保育士がいたのに加え、ワクチンの副反応による発熱で1人が欠勤し、手術を控えた別の保育士も感染防止で外出制限に。子どもが濃厚接触者になり家で世話をしなければいけない保育士もいて、計4人が欠ける事態になった。(中略)
コロナ禍でおもちゃの消毒などの業務も増えた。1日2回、一つずつ消毒し、ドアノブや壁の消毒も回数を増やして念入りにしている。鼻水やせきが出ている子も登園してくる。園長は「保育士にワクチン接種もしてほしいが、人手がないのでなかなか進まない」と漏らす。(以下省略)
保育士はワクチン優先接種の対象とされています。
しかしながら、思う様に接種が進んでいないと聞きます。
そもそもワクチン接種を受けるに当たっては、計4日に渡って仕事を休む可能性があります。接種当日と翌日、それが2回分です。
多くの保育所等では、日曜日と他曜日1回に休むシフトを設定しているでしょう。接種日と翌日を休みに重ねるには、土曜日(もしくは金曜日の退勤後)に接種するしかありません。
しかし、予約枠が開放された直後に申込が殺到するWEB予約では、そもそも希望した日時で予約するのは容易ではありません。そもそも、予約枠が開放される時間は就業時間中です。
電話予約をしようとしても、医療機関に一つずつ電話をしていくのは手間が掛かります。
有給休暇を取得する前提で平日に予約をしたら、今度は勤務シフトの調整が必要となります。
保育所等には園児数や年齢に応じて最低限配置しなければならない保育士数が定まっています。その為、同じタイミングで多くの保育士が接種し、勤務できない事態は避けなければなりません。
また、様々な行事等、必ず出勤しなければならない日もあります。2回の接種日や翌日と重ねるわけにはいきません。
希望日時で申し込むのが難しい接種予約、自身や他者の勤務スケジュール、双方を配慮しながら申し込むのは容易ではありません。
反対に学校の教職員は接種が進んでいると聞きます。早い方は7月中旬までに2回接種を済ませていました。
これは大阪市のケースとなりますが、先生方から聞いた話によると、区役所から学校へ「今日は接種会場の空きがありますが、誰か打ちに来ませんか?」といったお誘い電話が掛かってくるそうです。
各学校には積極的に接種する旨が通知されているらしく、他の教員が代わりに授業を行う、自習とする、副反応で急に休む事も容認されている様子です。市や学校を挙げてワクチン接種に邁進している印象です。
それと比べると、保育所等の動きはやや弱いのではないかと感じています。自分で予約し、園長に報告し、勤務シフトの調整を求めるのは、確かに大変ですね。
もうすぐ2学期が始まります。学校クラスターの発生が危惧されていますが、より脆弱なのは保育所等です。
子供を取り巻くクラスターは中高大の部活動、そして幼児関連施設(幼稚園や保育所等)が中心になるのではないかと感じています。第4波までと同じです。ただ、数や規模は爆発的に増えます。
学校の休校には賛否があります。休校時のデメリットは大きいです。今すぐに出来るのは「部活休止」です。せめて2週間だけでも休止できれば、随分と違うと感じます。
保育所等を閉めるのは極めて困難です。まずは家庭保育の協力依頼を行って欲しいです。園児数が減れば保育所等の負担が減り、ワクチン接種にも行きやすくなります。
これと同時に、親世代も早くワクチン接種を受けるべきですね。子供を遺して旅立つわけにはいきません。