平成29年度から幼稚園・保育所等へ登園する全児童に掛かる保育料を無償化したのが大阪府守口市です。

https://yodokikaku.sakura.ne.jp/?p=9886

危惧されたのが、入所を申し込んだが保留となってしまう児童の存在です。

平成31年度入所申込の結果が発表されました。

この度、平成31年4月1日現在の入園動向(速報)がまとまり、子ども・子育て支援新制度発足以来、初めて待機児童が「ゼロ」となりましたのでお知らせします。

http://www.city.moriguchi.osaka.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/31/hp_h31_taiki.pdf

「待機児童ゼロ」は注意が必要な言葉です。

申し込んだ全ての児童が入所できたのではありません。入所できなかった児童の内、育休中・特定保育所への希望者等を除いた人数を表します。

やや語弊があるかもしれませんが、分かりやすく表すと「本当にどこにも入所できなかった」児童を示します。

この点、守口市は入所できなかった児童を「未利用児童」、一定の要件に該当する未利用児童を「待機児童」と表しています。

平成29年度に保育料無償化が導入されて以後、守口市の未利用児童・待機児童はどの様に推移しているでしょうか。

分かりやすい結果が出ています。

平成29年は新規利用申込数、そして未利用児童が各約1.5倍に増加しました。

その後も新規利用申込数は高水準を維持しています。また、未利用児童は平成30年度に更に増加したものの、平成31年度は減少しています。

未利用児童の大半は0-2歳児でしょう。保育料が無償化され、「預けないと損」という考え方が広がったのは否めないでしょう。

また、10%以上の申込者は入所できていません(大阪市は約20%)。

こうした方々は保育所等に入所できず、そして無償化の適用対象から外れてしまいました。極めて大きな不公平感を抱いているとでしょう。

2020年度の3歳児入所に要注意

2019年10月から全国で「幼保無償化」が導入されます。

守口市とは異なり、保育料が無償化されるのは3-5歳児、低所得世帯の0-2歳児に限定されています。

既にほぼ全ての4-5歳児は幼稚園や保育所等へ入園しているので、4-5歳児の待機児童が増加する懸念は低いでしょう。

少し心配なのは3歳児です。現状でも少し厳しい保育所等・幼稚園の3歳児クラスが、更に厳しくなる可能性があります。

低所得世帯の0-2歳児は、大きな変動はないでしょう。既に保育料が非常に低い水準に抑えられています。

強いて言えば、「申し込んだが入所できなかった」という怨嗟の声が広がる可能性です。

保育所等は世帯の就労状況等によって入所の可否が審査されます。

低所得世帯の多くは就労時間もやや短いでしょう。フルタイム共働き世帯と比べ、一般的に入所しづらい状況です(ひとり親世帯等は加点され、やや入所しやすくなっています)。

0-2歳児無償化の対象者は、極めて限定されそうです。