大半の子育て世帯は、コンビやアップリカが販売している子育て用品を利用しているでしょう。ベビーカーやおもちゃ等、我が家にも多数のコンビ製商品があります。
しかし、ベビーカー等の一部の高額商品はなかなか安売りされず、高い金額で購入せざるを得ませんでした。この2者に対し、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会が立ち入り検査を行いました。
ベビー用品大手2社立ち入り 公取委
ベビーカーなどの販売を巡り、小売店に安売りをしないよう働きかけた疑いが強まったとして、公正取引委員会は18日、独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の疑いでベビー用品大手、コンビ(東京・台東)とアップリカ・チルドレンズプロダクツ(大阪市)の本社などを立ち入り検査した。
関係者によると、2社は少なくとも数年前から、ベビーカーを中心にチャイルドシート、ベビーラック、だっこひもなどについて、小売店に対して直接、または卸売業者を通じて販売価格を守るよう指示した疑いが持たれている。
2社の営業担当者は実店舗やネット上で価格を確認し、小売店が安売りしていた場合、電話やメールで卸価格引き上げや出荷停止を示唆していたという。公取委は今後、販売時期や対象商品などについて資料分析するなどして実態解明を進めるとみられる。コンビは「検査に誠実に対応していきたい」、アップリカは「検査には全面的に協力する」とコメントしている。
ベビー用品会社が加入する全国ベビー&シルバー用品協同組合(東京・台東)によると、ベビーカー販売台数は少子化の影響で年間65万~70万台に落ち込んでいるが、市場規模はここ数年、130億円で推移。担当者は「子供に良いものを与えたいと思う親が増え、乗り心地など機能性を高めた高価格商品を購入する人が増えたことが背景にある」と分析する。
同組合によると、2社のシェアは長らく8割を占めていたが、約10年前から外資メーカーが参入。現在はシェア7割に落ち込むほど競争が激化しているという。関係者は「2社は販売価格を高止まりさせて値崩れを防ぎ、ブランド力の維持を図ろうとしたのではないか」と話している。(以下略)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29521120Y8A410C1CC0000/
記事で指摘されているのは、ベビーカー・チャイルドシート・ベビーラック・だっこひもという高額商品です。大切な子供が長時間過ごす為の装置です。
こうした商品に対し、多くの保護者は耐久性や安全性を最重視するでしょう。一方、「高い」「値下がりしない」と感じても、「大事な子供の為だから仕方ない」といった感覚で数万円を支払う方が多いのではないでしょうか。
しかしながら「高い」「値下がりしない」という感覚は正しい物でした。記事によると、両社は小売店に対して安売りしないようにと圧力を掛けた疑いが持たれています。
小売価格を拘束していたのか、Amazonでの販売価格を例に検討してみます。
発売直後から今年2月中旬まで、Amazonでの販売価格は一定です。小売価格が約1年半に渡って維持される商品は、決して多くありません。
現在は48,598円+4,311ポイントで販売されています。
発売から3年以上が経過しているにも関わらず、小売価格はほぼ変わっていません。価格統制を物語る商品です。
Amazonでは77,758円+11,653ポイントで販売されています。小売価格を変えさせない代わりに、ポイント還元(原資はどこから?)という形で手を打ったのでしょうか。
アップリカのベビーカーも同じです。発売後1年間にわたり、小売価格は全く変わっていません。現在は69,658円+6,964ポイントで販売されています。
複数のベビーカーの価格を追った限り、販売価格が5万円を超える様な高級ベビーカーは大半が値下がりしていませんでした。代わりに、10%程度のポイントが還元される形で割り引かれています。
一方、2-4万円程度のベビーカーは、値下がりしている物も少なくありません。この価格帯のベビーカーは量販店等で販売される事も多く、小売チャネルが広いので価格統制を行いにくいのでしょうか。
両社の製品を長年に渡って愛用しており、小売価格の統制を本当に行っていたのであれば本当に残念です。「子育て家庭を食い物にした」という誹りは免れないでしょう。