大阪府の松井知事が「保育支援員」制度の導入を要望しています。
「保育支援員」新設要望=大阪府が待機児童対策-特区会議
政府は26日、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開いた。大阪府の松井一郎知事が出席し、待機児童解消の一環として、府の研修を受けた「保育支援員」を新設し、保育士と協力してサービス提供することを認める児童福祉法の特例を求めた。
松井知事は保育士不足に対応するため、保育士1人の業務を保育支援員1.5人で代替できるよう要望。実現すれば、現行基準で保育士6人を確保する必要がある施設の場合、保育士4人と支援員3人で運営できるようになり「保育の質を落とさず人手を確保しやすくなる」と主張した。
松井知事が要望・提出した資料は、第34回国家戦略特別区域諮問会議・配布資料に掲載されています。
<保育支援員とは>
○現在の子育て支援員にOJTを中心とした研修(約500時間)を実施し、育成
○人員配置基準に位置付け(1/3の範囲)
○保育士1に対し、1.5の割合で配置○人員配置基準への位置付け→保育量の増
○保育業務を分解し、保育士は専門的業務に特化→多忙な保育現場の「働き方改革」を実現
○保育士の負担軽減→保育士の新規就職者の増と離職の防止
首都圏を中心に、保育士不足は非常に深刻な様相を呈しています。大阪市内でも「保育士を採用しにくい」といった話をチラホラ聞きます。保育支援員が導入されれば、保育所等での保育士不足は幾分かは解消されるでしょう。
一方、問題点は多岐に渡ります。保育支援員の質・保育士賃金の低下圧力・保護者の戸惑い・保育室に大人1人が増える事への圧迫感等、数えればきりがありません。
また、上記資料では「保育業務を分解」とありますが、保育支援員も保育に従事する事には変わりないでしょう。専門的業務は保育士、非専門的業務は保育支援員が行うという考え方は、恐らく机上の空論です。
業務を分解するのであれば、「保育業務と非保育業務」です。
総務・経理・ICT・施設整備・清掃等を保育士が行っている施設は少なくないでしょう。こうした非保育業務を保育士から切り離すだけでも、大きく変わります。
保育士不足の根幹は「保育士資格を取得しても、保育所等で勤務しない人が多い」と言う点にあります。資格取得者が資格を活かして保育所等で働ける様に、適切な給与・待遇・労働環境等を提供するのが重要でしょう。