衆議院議員総選挙が始まりました。選挙カーがうるさい季節になりました。せめて午睡時間帯は保育所の近くを走らないで欲しいです。
さて、松井大阪府知事の街頭演説が物議を醸しています。「教育無償化」に関する部分です。
大阪では実質ね、幼稚園、保育園、4歳、5歳からの教育費、高校まで私学を含めて無償に今まさにもうなっているんです。実現しています。実行をしているわけですよ。(大阪府の松井知事)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/enzetsu2017/nihonishin.html
大阪では本当に教育が無償化されているのでしょうか? 答えは「一部Yes、大部分はNo」です。教育費無償化に関する制度を一つずつ取り上げます。
私立高校の授業料支援制度(大阪府)
大阪府は私立高等学校等授業料支援補助金を交付しています。
国の高等学校等就学支援金制度を併せる事により、私立高校等の授業料が無償化されています。ただし、世帯年収による制限も設けられています。
○年収590万円未満世帯 ⇒ 授業料負担が実質無償
○年収590万円以上800万円未満世帯 ⇒ 授業料負担が20万円○ただし、府内の私立高校に3人以上通わせている世帯については、次の負担額となるよう支援します。
・年収590万円以上800万円未満世帯 ⇒ 授業料負担が10万円
・年収800万円以上910万円未満世帯 ⇒ 授業料負担が20万円授業料負担の額は、授業料が58万円以下の学校の場合であり、58万円を超える学校の場合は、20万円にその額をを加えた額となります(65万円の授業料の学校の場合⇒授業料負担は27万円)。
http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shigakumushouka/shigakumusyouka_28.html
私立高校授業料が無償化されているのは「世帯年収590万円未満の世帯」に限られます。
4-5歳児の教育費無償化(大阪市)
大阪市は幼稚園や保育所等に通う4-5歳児の教育費を無償化しています。所得制限はありません。
4・5歳児にかかる幼児教育の無償化
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000349320.html
ただし、保護者の負担額が完全に無くなるわけではありません。
無償化されているのは「保育料」のみです。実費負担を求められる給食費・バス代等は従来通りに保護者が支払います。こうした負担額が1万円を超える幼稚園も珍しくありません。
また、無償化されているのは「教育費相当分の保育料」のみです。幼稚園は全額が教育費とみなされますが、保育所は約半分のみが無償化されています。残り半分(保育部分)は保護者が負担しています。
なお、一部の認可外保育施設等も無償化対象とされます(対象施設等は未確定)。
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(10/13追記)
5歳児の保育料無償化(門真市)
気づいたので追記します。
平成29年度から門真市の保育所・認定こども園・幼稚園・療育等を利用している5歳児の保育料が無償化されています。
【概要】5歳児の幼児教育・保育・療育に係る利用者負担(保育料)の無償化(門真市)
https://www.city.kadoma.osaka.jp/kyoiku/shugakumae/5saiji_mushouka.html
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幼児教育・保育の完全無償化(守口市)
「教育・保育の無償化」というイメージに近いのが守口市でしょう。幼稚園・保育所等を問わず、保育料が無償化されています。所得制限もありません。
平成29年4月から「幼児教育・保育の無償化」を実施しています
http://www.city.moriguchi.osaka.jp/lifeinfo/kakukanoannai/kodomobu/kodomoseisakuka/musyouka/1489637930580.html
しかし、副作用も強烈でした。制度導入直後の保育所等への申込数は40%も増えました。保育所等を積極的に新設した結果、入所決定率は前年同値に収まりました。
また、同市で保育所等を利用している0歳児は20%、1-2歳児は50%弱に留まっています。申し込んだが入所できなかった児童もいます。利用者と非利用者の不公平感は拭えません。
松井知事の発言は大筋で正しくない
ここでもう一度、松井知事の発言を振り返ってみます。
大阪では実質ね、幼稚園、保育園、4歳、5歳からの教育費、高校まで私学を含めて無償に今まさにもうなっているんです。実現しています。実行をしているわけですよ。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/enzetsu2017/nihonishin.html
正しくは「大阪市はね、幼稚園、保育園、4歳、5歳の教育費、門真市は全ての5歳児が、守口市は全ての幼稚園や保育園、大阪府全体では年収590万未満の世帯は私立高校が無償になっているんです。」となります。
せめて「全国に先駆けて大阪府は教育・保育無償化を一部で実施している。この動きを全国に広めたい。」という発言なら良かったのですが。
自分の子供が無償化対象となっていない限り、具体的な無償化の内容は知らない方が多いでしょう。大阪での制度を詳しく知っている筈がありません。正確な発言を求めたいです。
関連して、大阪市の学力テストの結果もご案内します。
年収650万以上ですが子供三人いるから無償ですが…
高校生は一番上の一人だけです
正確な記事をお願いします
コメントありがとうございます。
情報が役に立って嬉しく思います。
大阪市の4-5歳児教育無償化制度には、所得制限はありません!
保育料負担が大きかった高所得世帯ほど、保育料の減額幅が大きくなります。
市長は「3歳児まで拡大したい」と話していました。
予算(1学年あたり25億円)のメドが付けば、早ければ来年4月から3歳児も対象となるかもしれません。
大阪市在住、今年度から保育園入所した2歳児母です(保活の折には、よどきかくさんの情報にとても助けていただきました!ありがとうございました!)
大阪市内に住んでる者としては、ありがたい制度です。所得制限あるとはいえ、4,5歳の教育費無償化って、こんな人口多い中で難しいだろうに、実現されているのは素直にすごいことだなと。これからも、3,2歳まで拡充を期待しています。