本来はもっと早く掲載したかったのですが、諸般の事情で年度末ギリギリとなってしまい失礼しました。

大阪市の平成29年度保育所等一斉入所は昨年10月に申込みが行われ、今年2月に結果が発表されました。また2次調整(11月以降に設置が決定された施設も含む)は2月に申込み、3月に結果が発表されています。

簡単な形となりますが、H29一斉入所を振り返ってみます。

1次調整で14,400人が申込み、約10,800人が決定、約3600人が決まらず

辰巳議員の下記資料によると、一斉入所には14,409人の申込みが行われました。11月の時点では15,171人が申し込んだとされていたので、約700人が転居・途中入所等によって申込みを取り下げたのでしょう。

入所決定率はほぼ75%でした。年齢・地域等を考慮しなければ、申込者の内、4人に3人は1次調整で入所が決まりました。問題は年齢・地域による違いです。

1-2歳児・市内中心部の入所は厳しかった

入所するのが困難な年齢・地域は、ほぼ固定されています。厳しい年齢は1-2歳児、地域は市内中心部です。

1-2歳児の入所決定率は約7割に留まっています。全体の75%と比べてやや低い水準です。1歳児は申込数の多さ、2歳児は募集数の少なさが大きな要因となっています。

厳しい地域は市内中心部、具体的には西区・中央区・天王寺区・阿倍野区、そして北区・都島区・浪速区北部(南部は緩い)です。保育所等が十分に整備されていなかった地域に、保育を必要とする多くの子育て世帯が居住・転入しているのが主な要因です。

特に注意が必要なのは、年齢と地域が重なり合うケースです。1-2歳児が市内中心部で入所したい場合、少なくとも200点(フルタイム共働き)は必須でした。更に0-5歳児までの保育を行う保育所であれば205-207点が無ければ厳しい結果も窺えました。

今年は多くの方から地域・年齢・点数等を教えて頂きました。「平成29年度一斉入所の個別結果(点数・年齢・内定順位等)を集約しました」にまとめています。

入所に必要な点数は以前から推計値として算出していましたが、実点数はこれに勝ります。地域差・年齢差がはっきり現れています。

最も厳しかったと推定されるのは、西区の1-2歳児です。5点以上の加点があっても第1希望に決まらない、全滅してしまった方が少なくなかったです。

西区は保育所の他、幼稚園や小中学校も不足しています。ニーズに対する保育・教育施設の充実度では、市内最下位かもしれません。

なお、市内中心部の1-2歳児で入所を検討しながらも加点がない場合、小規模保育や隣接区を第1希望として入所が決まった方が少なくない様子です。全滅してしまう可能性と天秤に掛けたのでしょう。

申込者の内、約半数が第1希望で決定?

「平成29年度一斉入所の個別結果(点数・年齢・内定順位等)を集約しました」で教えて頂いた内容によると、入所が決まった方の多くは第1希望で決定してる様子です。

第1希望で決まったからコメントを残しやすいとバイアスはあるでしょうが、それを差し引いたとしても第1希望で決まった方が多いのでしょう。

逆に言うと、第1希望で決まらなければ厳しいとも言えます。第2希望以下の施設は希望順位が下がってしまい、より高い順位で希望している方に劣後してしまいます。

保育所等への入所で決定的に重要なのは、「第1希望の選択」です。

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(4/19追記)
「私の周りで第一希望で通ったのは僅か、後は0歳でも第3希望か全滅だった」という旨のコメントを頂きました。

改めて数字を見直したところ、申込者の内、いずれかの施設へ入所が決まったのは75%でした。
仮に2/3が第1希望で決まったとすると、申込者に対する第1希望決定率は50%となります。
「多くの方は第1希望で決定?」という記載は事実と異なる可能性があるので、訂正します。
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2次調整で決まるケースも少なくない

残念ながら1次調整で決まらなかった、申込みできなかった場合であっても、まだ可能性はあります。2次調整です。

2次調整で募集が行われるのは、主に1次調整で定員を満たさなかった施設・辞退者がいた施設・そして1次調整申込後に設置が決まった施設です。

これらを合わせると、少なくとも1,000人以上の募集が行われました。地域や年齢にバラツキがあるとは言え、入所が決まる可能性は決して低くありません。「H29一斉入所の2次調整結果は3/3発送・3/4到着中です」では、多くの方から決まったというコメントを頂きました。

企業主導型保育が本格スタート、施設種別は更にややこしく

今春から企業主導型保育が本格的に始まります。公費助成が行われる認可外保育施設です。通常の認可外保育施設より保育料が低く抑えられています(詳細はこちら)。

これにより、保育所等選びは更に複雑になってしまいそうです。一斉入所で保育所等へ申しこむのと並行して、企業主導型保育を含む認可外保育施設も検討する必要があるでしょう。

施設毎の特色や違いは明瞭です。しかし、比較する情報が不足しています。近い内に一元化して比較検討しようと思っています。

重要なのは居住地・生まれ月選び

保育所等の利用を考えるに当たって、第1に重要なのは居住地です。上記の通り、市内中心部は厳しい地域ばかりです。反面、それ以外の地域はやや入りやすくなっています。

たとえば梅田等への便が良い福島区、淀屋橋へ通いやすい京阪沿線の旭区・城東区、本町へ通いやすい港区・城東区等であれば、交通利便性は低くないでしょう。

少し郊外へ動くだけで、保育所等への入りやすさは劇的に変わります。

また、1-2歳児は厳しい反面、0歳児は中心部でも相対的に入りやすくなっています。定員に対して申込数が少ない為です。倍率が1倍を切る区も珍しくありません。

0歳児一斉入所を申し込むには、年度前半に産む必要があります。誕生日が4-9月となるようにコントロールする必要があります。

実はお世話になっている保育所では、年度前半(特に4-6月)生まれが非常に多く、後半が少なくなっています。保育所等へ入る為に生まれ月を調整するのは、正直なところ、違和感があります。

保護者が四苦八苦せずに保育所等へ入れる時代はやってくるのでしょうか。吉村市長が掲げる待機児童対策に期待したい一方、計画にはやや懐疑的です。

育児・家事と仕事の両立の為、行政を当てにせず、無理せずにできる対策を各家庭で行うのが基本的な考えです。

無理をしてしまうと、その負担は子供にのし掛かってしまいます。マイペースで行きましょう。