大阪市の平成30年度保育所等入所2次調整は、平成30年3月2日(金)に発送・3日(土)に到着予定です。

大阪市のH30保育所等一斉入所では、申込者1万4000人に対して約3000人が一次調整で決まらなかったそうです。朝日新聞が取り上げています。

保育園落ちた…大阪市で3千人「働かないと破綻します」

保育園落ちた――。4月からの入園をめぐる1次選考の結果が、関西の自治体でも発表されている。落ちた親は「働けない」と怒りの声をあげる。自治体も保育園を増やそうと知恵を絞るが、ニーズになかなか追いつけない。

大阪市では1万4千人が4月からの認可保育園などへの入所を申し込んだが、約3千人が1次選考から漏れた。今月2日に結果が郵送されると、各区の窓口には親が相談に相次いで訪れた。

「働きたいのに、働けない」。ある区の窓口で男性(32)と妻(24)が訴えた。2歳と生後7カ月の双子の息子3人全員が落ちた。

手取りは月20万円ほど。無職の妻はフルタイムで働こうと求職中だが、子どもを預けられる場所が決まらず、内定に至らない。実家も遠くて頼れない。

市に出した認可保育施設の申込書には「金銭的にも共働きしないと、破綻(はたん)します」と書き、送迎できる距離にある9園を希望先に書いたが「全滅」だった。

認可外の近くの保育園に預ける手はある。しかし、所得に応じて保育料が決まる認可園と違って高い。3人で月に計約12万円ほどかかる見込みで、男性の手取りの半分以上が消えることになる。

男性は市に行政不服審査法に基づいた審査請求をすることを考えている。「結果は変わらないかもしれない。でも、市には各家庭の実情をもっと見て欲しい。今後、困る人が出ないようにするために動きたい」と話す。

中央区の窓口を長男(1)と訪れた会社員女性(29)も、希望した4カ所の保育園が全滅。勤務先の従業員は約30人。「4月以降のシフトも組まれている。従業員も少ないのに、今さら『落ちました』なんて言えない」(以下略)

https://www.asahi.com/articles/ASL2H5JTDL2HPTIL01F.html

一次調整で約3000人が決まらず、半数以上が1歳児か

上記記事によると、一次調整で約3000人が決まらなかったと指摘されています。インターネット上で根拠を探したのですが、見つけられませんでした(知っている方がいれば教えて下さい)。

ただ、昨年10月の中間発表から推測できます。各区毎・年齢毎の募集数と申込数の差から、保留数を推定しました。なお、区内でも地域毎の偏りがあるので、実際の保留数はこれを上回るでしょう。

推定保留数は2312人となりました。約3分の2を占めるのが1歳児です。1496人が保留だったと推定されます。来年度に向けて、1歳児クラスの定員増に重点を置く必要があるでしょう。

中央区の1歳児は非常に厳しい状況でした。申込者の内、約半数しか決まらなかったと見込まれています。2次調整での募集も殆どありません。認可外保育を利用しつつ、募集を待つのがベターでしょう。

きょうだい同時入所は厳しい

記事には「2歳と生後7カ月の双子の息子3人全員が落ちた」という記述がありました。申し込んだのは2歳児クラスと0歳児クラスでしょうか。

地域・点数・希望施設等によりますが、今回の一斉入所では0歳児は殆どが入所できる状況でした。多くの施設が新設された効果が実感できました。例年なら厳しい点数であっても、今年は入所できたケースが散見されます。

また、0歳児は2次調整で募集している施設・地域も多いです。つまり、点数に関わらず、希望すれば入所できた状態でした。

この方が入所できなかった原因は、(1)希望保育所を限定した、(2)きょうだいが同じ保育所へ入所したいと希望した、という辺りにありそうです。

双子の0歳児のみであれば、希望保育所等を幾つか記入すれば入所できた可能性が高かったでしょう。

しかし、ここに2歳児が重なると非常に厳しくなります。2歳児募集数は少なく、点数が高い児童から決まります。入所最低点が205-207点だったと推定される施設もあります。何らかの加点が必要でした。

きょうだいで敢えて別の施設へ入所する

今回の一斉入所で少なくなかったのは、「きょうだいで敢えて別の施設へ入所する」という方法です。

入所しやすい0歳児は自宅近くの本命保育所を、しにくい1-2歳児等は比較的入所しやすい地域型保育を希望するケースが典型例です。この組み合わせであれば、きょうだい両方とも入所が決まりやすいです。保育料の減額も適用されます。

そして入所後、兄姉が弟妹が登園している施設のみを希望する転所届を提出するのです。きょうだい加点が得られるので、年度途中でも本命保育所へ転所できる可能性が高いです。

翌年度の一斉入所となれば、更に地域型保育事業の卒園児加点も得られます。点数は非常に高くなり、募集枠さえあればほぼ転所できます。

点数・募集数によっては、いわば「急がば回れ」という考え方も重要です。

まずは0歳児入所を、2歳児は中長期的に

3人共が保留になった方は、申込書に「金銭的にも共働きしないと、破綻(はたん)します」と記載したそうです。しかし、こうした文章を書いても、入所選考には一切影響しません。

情実入所を避けるべく、大阪市の入所選考はポイント制に基づいて厳格に行われていると聞きます。融通が効かない、個別事情を反映しないという批判はあるものの、公平な運営が為されるのは非常に重要です。

また、行政不服審査法による審査請求も容易には賛同できません。入所保留に到った経緯等は把握できそうですが、これによって結果が変わるとは考えづらいです。

であれば、すべきなのは「今後の生活の算段を付ける、入所できる保育所等を考える」ことでしょう。

0歳児2人であれば、4月以降でも入所できる保育所等はあるでしょう。特に2次調整から募集を行う施設であれば、しばらくは空き定員がありそうです。

難しいのは2歳児です。一時的にでも認可外保育施設を利用し、0歳児が登園する施設で空きが出るのを待つのが良さそうです。企業主導型保育であれば、保育料も低く抑えられます。

希望保育所等を工夫するなどして3人が入所できていれば、世帯収入から勘案すると保育料は極めて低い水準で抑えられたでしょう。申込書1枚で天地の差が生じてしまいました。