「保育園落ちた日本死ね」ブログから急速に盛り上がった待機児童問題、国会やテレビニュース等で頻繁に取り上げられています。
クローズアップされているのは「保育園に入れた、落ちた」というミクロの話が中心で、「保育園が多い自治体、少ない自治体はどこか?」という視点にたった報道は聞きません。
居住している地域・自治体にある保育園への入園できるかが最大の焦点であるのは当然です。一方、自治体毎の状況を比較する事により、保育園の充実度を比較する事ができます。「保育園へ入りやすい自治体に住む」という選択肢も出てきます。
比較するにあたり「待機児童数」は全く参考になりません。人口が多い自治体で待機児童が多いのは当然であり、また待機児童の定義が自治体によって異なる為です。
高い精度で比較できるのは「保育所定員率」です。そこで、各自治体毎の保育所定員数(H27/4)・未就学児人口(H27/1、0-4歳及び5-9歳の18%)より、保育所定員率を算出してみました。なお、厚労省の資料によると、定員率の全国平均は約40%と推定されます(利用率と充足率より)。
今回は近畿地方を取り上げます。
北摂地域の自治体は殆どが定員率3割未満
定員率が30%を下回る自治体は、大半が北摂地域に集中しています。具体的には豊中市・吹田市・茨木市・箕面市・尼崎市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市です。
特に低いのは兵庫県の東南部です。特に三田市は定員率17.4%と全国屈指の低さです。また西宮市(21.6%)・芦屋市(22.2%)・伊丹市(22.9%)も低いです。
豊中市・吹田市の大量入所保留は必然だった
2,000人以上の児童が1次選考で落ちてしまった豊中市(24.9%)・吹田市(25.7%)も極めて低い定員率です。箕面市(26.3%)も低いです。
ただでさえ定員率が低い地域において大量の子育て世帯向けマンションが供給されては、多くの児童が入所出来ないのは当然の話でした。マンション・子育て世帯の増加に応じた保育園整備が行われていなかった証拠です。
神戸市の定員率30%という低さ
都心部から郊外までが市域に含まれる政令市は、一般的に定員率が高く出る傾向があります。市中心部では保育園に極めて入所しにくい一方、人口減少が進んでいる郊外では保育所が余って入りやすく、合わせるとまあまあの定員率となります。
京都市・大阪市は40%前後であるのに比べ、神戸市は30.7%と極端に低くなっています。理由ははっきりしません。この数字から推測すると、特に東灘区・灘区・中央区は極めて保育園に入りにくいのではないでしょうか。
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