大阪府内の保育所等利用待機児童数等の状況(平成27年10月1日現在)が公表されました。

大阪府内(政令指定都市・中核市含む)の保育所等利用待機児童数等の状況(平成27年10月1日現在)について取りまとめましたので、お知らせします。

大阪府内の待機児童数は前年同時期と比べ183人増加し、3,349人となりました。申込児童数は171,812人(前年同時期比9,802人増)、利用 児童数は159,801人(同7,497人増)となっています。また、保育所等数は1,590施設(同295施設増)、定員は160,109人(同 17,170人増)となっています。

待機児童数の43市町村の前年同時期比は、増加が18、減少が14、同数が11となっています。

待機児童数が増加した要因としては、(1)本年4月からの子ども・子育て支援新制度の実施により、パートタイムで働く保護者、求職活動中の保護者等につい ても保育の対象となり、保育の受け皿を上回る申込児童数があったこと、(2)市町村においては、新制度の実施に向け、保育所等の整備などにより保育の受け 皿の拡大を図ってきており、利用児童数も7,497人増加したが、それを上回る申込児童数があったことが挙げられます。

また、平成27年4月1日現在の待機児童数と比較すると1,984人の増、10月の待機児童数は4月の約2.5倍となっています。(前年同時期は2,042人増、約2.8倍)

この資料を基に、大阪府内で保育所等へ入りやすい自治体と入りにくい自治体を検討してみます。

保育所への入所のしやすさは一般的に「待機児童数」が用いられます。ただ、様々な条件に当てはまる児童を控除した後の数字である待機児童数は、実態を表していません。

実態に近いのは「入所保留数」です。これは端的に「入所を申し込んだが入所できていない児童数」を表しています。素直なデータです。

保育所等利用児童数・待機児童数(平成27年10月1日現在)
市町村名定員申込児童数利用児童数入所保留数保留率
岸和田市4,0104,6754,25142410.0%
池田市1,3911,6551,5461097.1%
吹田市5,4396,5036,0364677.7%
泉大津市1,4831,5301,453775.3%
貝塚市2,1282,1682,108602.8%
守口市2,7612,7882,53525310.0%
茨木市4,8676,1715,50266912.2%
八尾市4,6435,3975,1542434.7%
泉佐野市2,4312,3512,329220.9%
富田林市1,6961,8711,833382.1%
寝屋川市4,2654,5064,458481.1%
河内長野市1,3831,4961,459372.5%
松原市1,9702,1632,0421215.9%
大東市2,2082,5632,3731908.0%
和泉市3,3213,7573,5781795.0%
箕面市2,1092,2292,0282019.9%
柏原市1,3961,3421,296463.5%
羽曳野市1,8302,0922,003894.4%
門真市1,9342,2862,1371497.0%
摂津市1,9982,1551,95220310.4%
高石市1,0701,0921,070222.1%
藤井寺市1,1151,2861,1851018.5%
泉南市1,0161,0311,02380.8%
四條畷市1,1371,2401,204363.0%
交野市1,1831,3471,287604.7%
大阪狭山市8131,005927788.4%
阪南市911878866121.4%
島本町620750698527.4%
豊能町16017016553.0%
能勢町199969600.0%
忠岡町42038438310.3%
熊取町9851,0531,05300.0%
田尻町14017717163.5%
岬町36515215200.0%
太子町24021421400.0%
河南町18024424400.0%
千早赤阪村90858500.0%
大阪市55,05853,52348,9474,5769.3%
堺市15,82617,65116,4571,1947.3%
高槻市5,5176,6276,2483796.1%
東大阪市7,4488,5947,9136818.6%
豊中市5,5106,5995,85574412.7%
枚方市6,8437,9167,4854315.8%

府内の保育所等利用待機児童数等の状況(平成27年10月1日現在)についてより作成

保留率ワーストは豊中市

保留率ワーストは豊中市の11.7%です。6,599人が申し込んでいる(持ち上がりを含む)一方、利用できているのは5,855人、保留されている児童は744人に上っています。利用を希望している児童の内、10人に1人以上は利用できていません。先日お伝えした【ニュース】吹田・豊中で計2000人弱が保育園へ入れずも頷けます。吹田市も保留率7.2%と決して低くありません。

保留率が9%を超えているのは岸和田・守口・茨木・箕面・摂津市です。大阪市を取り囲んでいる自治体で保留率が高い傾向があるようです。

定員超過自治体も多い

また、定員数以上の利用児童数が存在する自治体が数多く存在しています。入所定員は保育室の面積や保育士の人数によって厳密に制限されています。しかし、待機児童問題が深刻な地域では、「弾力化措置」として定員数以上の園児を受けて入れています。

1割以上の定員超過を行っているのは、池田・吹田・茨木・八尾・門真・大阪狭山・島本・田尻・河南・高槻です。他にも多くの自治体が定員超過を行っています。待機児童を解消する為とはいえ、決して適切な対応とは言えないでしょう。

大阪市・守口市は定員割れ施設も多い?

気になったのは「保留率が高いが、利用児童数が申込児童数を大きく下回っている自治体」です。具体的には守口市と大阪市です。一部の地域では保育所不足で入所できない児童が多く発生している一方、別の地域では保育所が大幅に余っていて酷い定員割れが生じていると推測されます(他には新設保育所の4-5歳児定員割れ)。

特に大阪市は6,000人以上の定員割れが生じています。入所が容易な地域と困難な地域が二極化していると考えられます。

「保育所への入りやすさ」も住まい選びの重要な要素

なお、あくまで上記データは年度途中の数字です。4月入所分は全ての児童が入所できたが、年度末に向けて保留児童数が増えていく傾向は全国共通です。仮に年度途中・年度末でも保留児童を発生させない様にした場合、年度当初は大きな定員割れが生じてしまいます。

保育所不足が叫ばれる一方、新しい保育所が出来るのを待つだけの時間が子育て世帯にはありません。住まい選びには保育所への入所のしやすさも検討すべき点と言えるでしょう。