各自治体が発表している「待機児童数」。
実態と合致していません。
政令市・東京23区の場合、自治体発表による待機児童は約7千人とされていますが、待機児童として数えられていない児童も含めると合計で約3万人となるそうです。
保育所に入りやすい自治体・地域とそうでない自治体・地域、どうすれば容易に把握できるのでしょうか。
認可保育所などに入れない待機児童について朝日新聞が20政令指定都市と東京23区に聞いたところ、計約7千人いることがわかった。前年より16%減った。定員増などが一因とみられる。だが、入園できないのに、待機児童に数えられない「隠れ待機児童」を集計すると、計約3万人いた。国と一部の自治体が公表する待機児童の数は実態と合っていないとして、親たちから不信の声が上がっている。
43自治体の4月1日現在の待機児童は厚生労働省の定義で計7063人だった。前年の同時期より計1347人減った。待機児童が減った理由として、4月から始まった「子ども・子育て支援新制度」で認可保育施設の種類が増え、認可の範囲が広がったことなどがある。昨年度まで認可施設は、認可保育所と、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の二つだったが、基準を満たした小規模保育所など6種類に増えた。
「待機児童ゼロ」と答えたのは8市区。川崎市と相模原市が今年初めて「ゼロ」になった。東京都千代田区と千葉、新潟、名古屋、京都、北九州の6市区は前年に続いて「ゼロ」だった。前年より減ったのは22市区だった。
川崎市は、認可保育所や小規模保育所の新設などで定員を前年より2544人増やした。また、保育施設に入れなかった人に市側から連絡を取って空きのある施設を紹介し、「定員枠が無駄にならないよう調整した」という。相模原市も、定員を前年より1333人増やした。
一方、待機児童が最も多かったのは東京都世田谷区で1182人。続いて、仙台市が419人、浜松市が407人、熊本市が397人、東京都板橋区が378人だった。前年より増えたのは15市区だった。
朝日新聞が、各自治体の認可保育施設に申し込んだ人の数から、実際に入れた子どもの数と、厚労省の定義で待機児童とされた人数を引いた数を「隠れ待機児童」として集計したところ、計3万488人だった。
「隠れ待機児童」の内訳は、①保育施設に入れずに育休を延長した②自宅でインターネットなどで求職中③東京都の認証保育所など自治体が補助をする認可外施設に入った④空きのある保育施設があり、自治体が通えると判断したが、入らなかった、などのケースだ。
大阪市が最多で2709人。続いて、横浜市が2526人、川崎市が2231人、さいたま市が1720人、東京都杉並区が1673人だった。
(以下省略)
http://digital.asahi.com/articles/ASH825V8LH82UCLV006.html
そもそも保育所等への入所のし易さの指標として「待機児童数」を利用するのが大きな間違いです。
(1)待機児童の定義が自治体等によって異なる
保育所等へ入所を申し込んだが入所できなかった児童(入所保留児童)の内、育休延長・求職中・認可外保育施設への入所・通える保育施設があるにも関わらず入所しなかった、等といった事由に合致する児童は待機児童ではない、と大半の自治体が見なしています。
しかし、待機児童から除外する事由が自治体によって異なり、更には担当者・部署毎によって判断が異なる場合もあります。
(2)待機児童は入所保留児童の一部である
待機児童として算出されるのは、入所保留児童の一部に過ぎません。
保護者的な視点から考えると「申し込んだが入所できなければ、待機児童であってもそうでなくても結果は同じ」と言えるでしょう。
(3)あくまで「数」に過ぎない
人口が多い都市ほど待機児童・入所保留児童が多く、少ない都市は少ないのは自然です。
重要なのは入所申込者に占める入所決定者の割合、すなわち「入所決定率」です。
例えば記事で隠れ待機児童が最も多いとされている大阪市の場合、H27一斉入所における入所決定率は約79%(10988/13914)でした。
一方、23区の場合はどうでしょうか。
【ニュース】東京23区は平成27年4月も21,000人が保育所へ入れずによると、世田谷区は46%、杉並区は57%、板橋区は69%となっています。
世田谷区の場合は半数以上の児童が入所できなかった結果となっています。
行政サイドにも理由があるでしょうが、保護者が怒るのも無理はありません。
政令市の推定値もあります。
政令指定都市毎の保育所申込数・保留率等をまとめました。
さいたま市・川崎市・浜松市・岡山市の高さが目立ちます。
では、保育所等へ入所できそうか否か知るには、そうするのが良いでしょうか。
最も簡単かつ確実なのは、市役所・区役所等の担当窓口に訊ねる事です。
世帯の状況・就労状態・子供の年齢・予定地域や保育所を伝えた上、昨年の一斉入所であれば入所できたかどうかと訊きます。
入所に必要な選考点数が高ければ入所保留割合に関係なく入所できる可能性が高く、低ければ待機児童ゼロ地域でも入所できない恐れがあります。
待機児童の定義が実態に即しておらず、保護者や子供を振り回してる様にすら見えてしまいます。
「待機児童ゼロ」というセールストークには、くれぐれも気をつけて下さい。
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