東京23区で保育所へ入所するのは、依然として困難な様子です。
また、区によって保育所整備への取り組みに違いが生じているそうです。

今年も2万1000人入れず 認可保育所 23区対処で成果に差異

今年四月に認可保育所へ入れない子どもが東京二十三区で二万一千人余りに上ることが、本紙の「保育緊急アンケート」で分かった。昨年調査から減っておらず、都市部での入りにくさは変わっていない。区によって認可保育所を増やす取り組みや考え方に違いが大きく、成果に差が出てきている。

二十三区合計で、三万九千三百四十二人の募集に、六万五百三十人が入所を申し込んだ。入所できない二万一千百八十八人は、昨年に比べ二十一人増えた。
入れない人数を申し込んだ人数で割ると、昨年より3ポイント少ない35%。三人に一人が入所できない計算だ。

入れない人数が最も多かったのは、世田谷区で三千二百六十五人。割合では、目黒区の59%が最も高かった。次いで世田谷区53%、品川区47%だった。
本紙が調査を始めた二〇一三年と比べ、入れない子の割合が最も大きく下がったのは港区。一三年は60%と二番目に高かったが、今年は9%に改善した。認可保育所整備に力を入れ、この二年間で二十カ所が新設された。
ただ、ほとんどが園庭のないビル内。区の担当者は「保育の質を保つよう区がチェックしている」と話す。
一三年に62%で最悪だった杉並区は、まだ千四百九十九人が入れないが、二年間で十八カ所の認可保育所が新設され、割合を19ポイント下げた。

割合が最も大きく上がったのが江戸川区と渋谷区の17ポイント増。両区とも認可保育所の整備には消極的だ。既存施設に定員以上の子どもを入園させる「弾力化」で対応してきたため、新たに子どもが入園できる余地が減り、二年連続で募集人数が減った。
特に江戸川区は、入れない子どもの数が二十三区で六番目の千四百四十三人と多いが、区は「就学前人口は減り始めているので、弾力化や低年齢児用の小規模保育などで対応する。認可保育所の新設は、政策として優先順位は低い」と説明している。

<調査の方法> 認可保育所の4月入所募集の第1次選考状況について、東京23区に2月、アンケートと聞き取りをした。認可保育所だけでなく、認可外保育施設に入れれば数に入れない国の待機児童の統計とは異なる。空きがあっても、子どもの年齢と不一致のケースがあり、実際に入れない人数はこの調査より多い場合がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015032302000146.html

昨年の記事を利用して今年と比較してみます(下記グラフは東京新聞記事より引用)。

平成26年4月平成27年4月
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真っ先に気づいたのは、23区全体での募集枠の急増です。
平成26年4月は33,991人だったのに対し、平成27年4月は39,342人と5,351人も増加しています。
一方、入れない子の数は昨年とほぼ同じです。
保育所を急ピッチで整備したにも関わらず入所申込者がほぼ同じだけ増加し、結果的に入所保留児童数に変化が無かったのでしょう。

上記2つのグラフから、入所申込数・募集数の増減を基準として各区を分類しました。

平成27年4月における東京23区の保育所入所申込数・募集数(対前年比)
(太字は入所保留児の割合が顕著に増加した区)
入所申込数
増加横ばい
入所募集数(保育施設数)増加文京・台東・江東・世田谷・中野・板橋港・新宿・墨田・大田・杉並・豊島・練馬
横ばい品川足立目黒江戸川千代田・中央・荒川
減少葛飾渋谷

表の右上に分類された区ほど、昨年と比較して保育所へ入所しやすくなった傾向があります。

港・新宿・墨田・大田・杉並・豊島・練馬区での入所申込数は昨年とほぼ同程度でしたが保育所整備等によって入所募集数が増加し、入所保留児童数・割合は大きく減少しました(それでも未だ多いですが・・・)。

その反対、昨年より状況が悪化したのは、上記表で太字で示した区です。
品川・足立・目黒・江戸川区は入所申込数が増加した一方で募集数は変わらず、保育所へ入所しにくくなってしまっています。
記事にある通り、江戸川区は「保育所新設の政策優先順位は低い」としています。

品川・足立区では入所保留となった方によって行政不服審査手続きが行われています。
特に品川区は入所保留児童数・割合が急激に上昇しています。
母親ら足立区に異議申し立て 「認可保育所入れず」
【ニュース】品川区の認可保育所 選考漏れで行政不服審査法による異議申立て

入所申込数に変化はなかったものの、募集数が減少して入所しにくくなったのは渋谷・北区です。
そして申込数の増加と募集数の減少が同時に発生し、劇的に入所しにくくなったのは葛飾区です。
保留児童数が昨年比301人増(11%上昇)しています。
影響は甚大でしょう。

なお、大阪市各区で入所保留児童割合(推計値)が高いのは、北区(46%)・中央区(42%)・西区(55%)・天王寺区(52%)となっています。
中央区を除く3区は昨年より割合が上昇しており、市内中心部における保育所入所状況の悪化を伺わせます。
最たる要因は1歳児入所がより困難になった為です。
(詳細は近日中に別記事で取り上げる予定です)