子育て世帯にとっては朗報です。公立小学校の給食無償化を巡って協議を続けていた自民党・日本維新の会・公明党の協議が決着しました。1人あたり月額5200円を国費で負担します。
自民、日本維新の会、公明の3党は18日、2026年4月から予定する給食費無償化のための制度設計で合意した。対象を公立小学校に限定し、児童1人当たり月5200円程度を支援する。保護者の所得制限は設けない。自治体の負担が生じない仕組みによって実質無償化を実現する。
3党の実務者協議で制度の詳細を固めた。当初設計では23年調査の給食費の全国平均である月4700円程度の支援を基準として検討していた。自治体から食材などの物価上昇分を反映するよう要望があり、5200円に引き上げた。今後の物価動向も踏まえ適切な額を設定する。
地元の農産品を使うなど特色あるメニューを提供し、給食費が支援額を上回る場合もある。こうした自治体では保護者による一部負担を認め、メニューを継続できるようにする。
自治体向けに新たな交付金を創設し、基準額と児童数に応じて食材費の相当額を補助する。必要となる財源は国が実質的に負担する方針だ。
公立小学校の給食無償化には3000億円規模の予算が必要になる見通しだ。財源についてはこれから詰める。
3党は無償化を維持するために既存の教育財源以外の予算を確保する方針だ。高市早苗首相は15日の参院予算委員会で、財源について「国の歳出改革や租税特別措置の見直しなどによって捻出することを想定している」と述べた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA153830V11C25A2000000/
公立小学校で2026年春に開始予定とされている給食無償化を巡り、自民、日本維新の会、公明の3党は18日、国会内で協議を開き、給食の食材費に充てるための支援額を1人当たり月5200円とする案で合意した。支援額は国と都道府県が折半するが、都道府県の負担分は地方交付税で措置される見通しで、実質的に国が負担する形となる。
給食費に対する支援額は23年度に文部科学省が実施した実態調査で、食材費の全国平均月額だった4700円をベースとし、近年の物価高騰を考慮して500円を上乗せした。食材費が支援額を超える自治体もあり、保護者側に負担を求めるケースもあり得る。
国は新たな交付金を創設し、児童数に応じて支援額を自治体に補助。保護者の所得にかかわらず一律支援する。必要となる財源は国が実質的に全て負担し、自治体には負担させない考えだ。
給食無償化を巡っては、3党協議で都道府県に半額を負担させる案が浮上したが、全国知事会などが猛反発。実質的に国が負担する仕組みに見直し、地方側の了承を取り付けた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/01a1fc4c868c3f9dcb1ebbc7352f0e234c1172f9
正確な合意内容や合意文の公表が待たれます。
現時点での報道ベースによると、「国が創設する基金から自治体(市町村)へ半額を交付金として補助する」「国から都道府県へ地方交付税として半額を補助する(→そのまま市町村へ」「特色ある給食を提供する費用等は、保護者負担による上乗せも可能」「財源はこれから検討する」とされています。
国から都道府県へは地方交付税として補助するとの事ですが、不交付団体たる東京都の扱いが焦点となる可能性があります。報道をストレートに読むと「東京都は補助しない」と読み取れます。それとも今回は補助するのでしょうか。
市町村の判断による保護者負担の上乗せも可能とされています。ただ、国が給食無償化と主張しているのに、保護者へ負担を求める事に納得しない家庭もあるでしょう。負担を求める金額は決して大きな金額ではありません。制度上可能であれば、上乗せ分を負担する自治体もあるでしょう。
無償化対象となるのは公立小学校です。中学校や私立小学校は対象外です。未だ給食を実施していない中学校もあります。私立小学校は独自の教育を行っており、かつ給食費を負担できる経済力がある家庭ばかりでしょう。
学校給食費は生活保護世帯等を除いた殆どの子育て世帯が負担するものです。居住している地域や世帯所得等と関係なく、ほぼ同一の金額です。世帯所得や子供の人数によって金額が上下しない、公平感が強い制度です。
学校の徴収事務が省力化されるメリットも大きいです。公会計として徴収している自治体もありますが、各学校毎に徴収(口座引落)している自治体もまだまだ多いです。未納者への督促や債権回収等に掛かる労力は無視できません。無償化により、こうした事務は消滅します。
不安予想は財源です。未だ明らかになっていません。児童手当や高校授業料無償化の拡大と引き替える形で扶養控除の縮小を打ち出したところ、猛反発が起こって立ち消えとなりました。給食無償化でも子育て世帯に負担を求めるのは難しいでしょう。日本国民からの反発を避ける為、訪日外国人が負担する様々な手数料の大幅引き上げを検討するといった報道もありました。
なお、大阪市は既に市立小中学校で給食無償化を導入しています。我が家は在学途中から適用されました。家計での負担が劇的に減ったのを記憶しています。それまでは年間10万円近くが給食費として必要でしたが、ゼロになったのは衝撃的でした。
毎月の口座引落が無くなった事により、引落不能による督促がなくなったのも気楽でした。メインバンクからは引落ができず、サブバンクの口座管理を行う手間が省けました。
一方で給食に関する要望等は出しにくくなったと感じています。子供が頻繁に「量が足りない」と話していますが、学校等へ伝えるまでについつい「無償だから仕方ない」と返してしまいます。以前は負担と受益という関係がありましたが、無償化によって関係がほぼ断ち切られました。
まだ、学校が長期休業等となる夏休みや冬休み等の経済的負担感は強まりました。学期中は無償で昼食を食べられていたのに、長期休業中の昼食費は家庭が負担します。その差を大きく感じました。
何らかの課題やデメリットがあるとは言え、公立小学校の給食無償化によるメリットは絶大です。2026年度一般会計予算編成を経て、同年4月から実施される予定です。
