【高校入試】教育課程（カリキュラム）は要確認　特に文系の理科・数学に要注意

2026年度大阪府公立高校入試まで100日を切りました。昨年の今頃は当初からの志望校を受験するか否かで大騒ぎでした。本人の意向を最優先にするとはいえ、学力・保護者の意向・塾や学校の考え方等、様々な要素を考慮する必要があります。

決定的な要因の一つとなったのは、卒業後に想定しうる進路と授業内容との関係でした。大阪府の高校生の多くは卒業後に大学へ進学します。進学する可能性が高い大学・学部での入試や学びに対し、高校での学び

大阪府の公立高校は、3年間で学ぶ内容（カリキュラム・教育課程）を自校のウェブサイト等にて公表しています。学年や文理毎の教科配当やコマ数等が掲載されています。

よく見ると、各高校が生徒に期待する大学入試科目が浮かび上がってきます。キーポイントは「3年文系での理科選択」です。

多くの方がご存じの通り、一般的に国公立大学を受験するには共通テスト（旧センター試験）にて数多くの科目を受験する必要があります。大学や学部によって若干の違いはありますが、原則として文系選択者も理科を、理系選択者も社会を受験します。

一方、私立大学の受験（個別学力試験）は異なります。一般的に文系学部は英国社、理系学部は英数理が受験科目とされています。受験科目から文系は数学と理科、理系は国語と社会が外れます。

国公立大学に合格するのが難しい学力層の場合、早い段階から私立大学入試に照準を定め、入試科目以外の教科の学習は優先度を下げる傾向があります。得意な3科目に絞った方が学習は捗り、合格にも近づくでしょう。

しかしながら、学校でのカリキュラムが対応しているとは限りません。3年文系でも数学や理科の履修を必須とする高校もあれば、コマ数や履修内容を選択できる高校もあります。

そこで大阪市内にある文理学科・普通科高校（一部）のカリキュラムより、3年文系数学・理科での履修コマ数を抜き出しました。

北野高校は文系であっても数学5コマ・理科4コマの履修が必須となっています。文系選択者であっても、大半の生徒は共通テスト及び国公立大学2次試験にて数学が課される大学・学部を受験します。京都大学や大阪大学は文系数学であっても難易度が高く、相当の演習量を必要とします。

高津高校は数学3-5コマ・理科2-4コマを選択的に履修します。北野高校とは違い、必須科目に上乗せするか否かを選択できます。2次試験で数学を受験する生徒としない生徒で分かれるのが一つの理由でしょう。

少し引っかかったのは物理です。物理の授業は理系向けしかありません。文系を選択すると物理を履修できません。数学を得意とする文系選択者にとって、暗記量が少なくて計算問題が一定量を占める物理との相性は悪くありません。物理を自学自習している文系選択者もいるかもしれません。

清水谷高校は数学2-6コマ・理科2-4コマとなっています。文系数学でも数学Cを選択できるのが特徴的です。一方、同校の主たる進学先は関西大学や近畿大学です。数学を入試で利用しない文系選択者も少なくないでしょう。数学の授業に負担を感じている生徒もいるかもしれません。

夕陽丘高校（普通科）は数学0-6コマ・理科0-8コマです。数学も理科も選択せずに時間割を組めます。数学や理科を含む選択科目で8単位まで選択します。大学入試で数学や理科を必要としない生徒は、代わりに国語や社会を選択できます。

旭高校（普通科）は数学2-4コマ・理科2-4コマです。3年間で生物を計6コマも履修できるのが特徴的です。医療や福祉に関する大学や専門学校へ進学する生徒も多い為でしょうか。国公立大学への進学者は一ケタです。

港高校は数学2-6コマ、理科2-4コマです。3年文系の理科では生物しか履修できません。受験で理科を必要としない場合、授業での負担が軽いのは生物なのでしょうか。

これらより、「全て必修＞一部選択＞ゼロ選択可能＞一部選択（理科は生物のみ）」という傾向が浮かび上がります。主な生徒が学力型大学入試を受験するかしないか、文系3科目のみで受験するか、共通テスト対策で済むか、個別学力試験で数学を受験するか等により、カリキュラムの組み方が異なっているのでしょう。

殆どの中学生は、受験する高校のカリキュラムまで気に掛けないでしょう。進路状況すら見ない中学生も多いと思います。保護者としては進路状況に目を通すと共に、想定しうる進学先（特に国公立大学受験の有無）に応じた選択科目を履修できるカリキュラムであるかを確認する様にして下さい。

特に理科は要注意です。履修できない科目があったり、3年生で生物しか選択できない高校もあります。

高校入試の段階で3年後の大学入試を予想するのは大変です。しかしながら、文理選択や履修科目の選択は重要です。入学後に困惑する事がないように、少なくとも受験生の保護者は目を通して下さい。