自民党総裁選で高市早苗候補が新総裁に選出されました。10月中に招集される臨時国会にて新たな内閣総理大臣に選出される見通しです(今後の連立協議次第ですが)。
子育て世帯が気になるのは、新内閣での子育て支援政策です。既に実施されている支援策以外に、何か新たな支援策を検討しているのでしょうか。
総裁選2025高市早苗所見には「介護・育児・子供の不登校等が原因の離職を減らします。例えば、家政士の国家資格化を前提にベビーシッターや家事支援サービスの利用代金の一部を税額控除します。企業主導型学童保育事業を創設します。企業内保育施設や企業主導型施設が病児保育を実施する場合には、法人税の減免を行います。」とあります。
介護・育児・不登校等による離職減少
介護・育児・子供の不登校等を原因とする離職を減らすのには全面的に賛成です。こうした事情で離職してしまうと、数年後に同等の待遇で再就職するのは極めて困難です。それどころか、正社員としての再就職すら難しいのが現状です。
周囲にも育児を理由として離職された方が大勢居ます。保育所等を利用しても育児と仕事を両立するのが難しかった方もいれば、保育所等に入れずに離職した方もいます。
より深刻なのは不登校です。いつまで続くか分からず、金銭面の負担も重く、子供自身の進路選択が狭まっていきます。
大阪市では特に中学生の不登校率が高く、およそ10人に1人が不登校です。「家庭が崩壊しそうだ」という嘆きも聞きました。学校からのフォローアップも不十分であり、そもそも学校にそれだけの余力はありません。
我が家はまだ介護には直面していませんが、数年後には当事者となるでしょう。基本的には親と同居しているきょうだいが中心となるという(暗黙の)同意がありますが、その通りに進むとは限りません。
こうした事情での離職を防ぐには、対応を外部化せざるを得ません。人材育成や十分な待遇が必要となります。どれだけを見積もっているかは定かではありません。
家政士の国家資格化、ベビーシッター・家事支援サービス利用料の税額控除
高市総裁は「家政士の国家資格化を前提にベビーシッターや家事支援サービスの利用代金の一部を税額控除します。」とも主張しています。
「家政士」とは耳慣れない言葉です。私自身は全く知りませんでしたが、「家政士検定試験」(公益社団法人日本看護家政紹介事業協会が主催)があるそうです。
原則として、「家政婦・介護・保育等の分野にて5年以上の実務経験」が受験資格として求められています。現在は厚生労働大臣が認定する資格です。
国家資格化された同資格を有している者にベビーシッターや家事支援サービスを依頼すると、利用代金の一部を税額控除したいとする方針と読み取れます。
これにつき、同協会の上部団体である日本看護家政紹介事業連合会の塚原聰会長が、高市総裁の著書「美しく、強く、成長する国へーー私の「日本経済強靱化計画」」より一文を紹介しています。
現在国家資格が無いが、ベビーシッターについては「公益社団法人 全国保育サービス協会」が独自資格を付与しているし、家事支援サービスについては「公益社団法人 日本看護家政紹介事業協会」による家政士社内検定がある。
厚生労働省が所管する『職業能力開発促進法』に基づく『省令』の改正を行い、前記の2団体が有するノウハウを活用しながら「国家資格」にした上で、利用者が直接、税額控除を受けられる方法に変更した方が、使い勝手が良いと考える。
育児、介護、看病をしながら働く方々をサポートする環境作りも、大切な「成長投資」だと考えている。
企業主導型学童保育・病児保育の拡充
高市総裁は「企業主導型学童保育事業の創設」や「企業内保育施設や企業主導型施設が病児保育を実施する場合には、法人税の減免を行う」とも主張しています。
学童保育は全国各地で不足感が強まっています。都心部だけでの問題ではありません。共働き世帯の増加に呼応して保育所等は整備されましたが、学童保育の整備は全然進んでいません。
保育施設においては「企業主導型保育事業」が導入されました。同じ様に「企業主導型学童保育事業」を展開するのは一考に値するでしょう。
病児保育の拡充も求められています。ただ、導入を促す手法として法人税の減免に拘る必要は無いでしょう。助成金や利用者補助等、様々な方法があります。
病児保育の運営が安定しない理由の一つとして「利用者の変動が激しい」と聞いた事があります。インフルエンザ等の流行期には需要が急激に高まる反面、病気が流行っていない時期は利用者が急激に減ります。
導入を促すには多くの法人税を納税している企業等にメリットが大きい法人税減免より、安定した運営を行う為の空床補償や補助金等の方が適しているでしょう。
こうした主張が新内閣でどれだけ維持されるかに要注目です。
