大阪府教育委員会会議(令和7年8月26日開催)にて、2026年度(令和8年度)入学者を最後に門真西高校及び懐風館高校の入学者募集を停止する方針が決定されました。
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/113957/r0708bochoshiryo.pdf
各報道機関が一斉に報じています。
しかし、同会議ではもっと重要な方針が打ち出されました。府立高校改革アクションプラン(案)における「学校改革」です。各学校・系統毎の具体的な方針が初めて示されました。
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/113957/r0708bochoshiryo.pdf
それぞれの内容を学校・系統別に表へ落としました。
| 学校名 | 改編・新設内容・その他予定内容 |
|---|---|
| 春日丘高校 | 文理探究科(学際領域)を令和8年度設置予定 |
| 狭山高校 | 文理探究科(社会共創)を令和8年度設置予定 |
| 寝屋川高校・泉陽高校 | 文理探究科(学際領域)へ、令和11年度以降順次 |
| 旭・枚方・花園・長野・佐野高校 | 文理探究科(国際(仮))へ、令和11年度以降順次 |
| いちりつ高校 | 普通科機能集約へ(令和10年度予定) |
| 東高校 | 総合科学科・国際文化科へ改編(令和10年度予定) |
| 住吉・千里・泉北・東高校 | 国際交流強化・少人数指導導入(令和10年度予定) |
| 箕面・和泉高校 | 同上(国際交流強化・少人数指導) |
| 水都国際高校 | IB第2期への運営展開(令和10年度以降) |
| 東住吉総合高校 | クリエイティブ機能を令和9年度に解消、系列強化 |
| 学びの多様化学校 | 不登校対応校として令和8年度に設置予定 |
| 昼間定時制・通信制等 | 募集方式・学習方法の柔軟化(令和8〜9年度予定) |
| 工業系高校 | 新設・先端対応カリキュラム整備(令和10年度予定) |
| 商業・農業系高校 | 教育内容・ブランド構築・広報強化予定 |
大規模な改編が予定されています。大きな影響を受けないのはGLHS(グローバルリーダーズハイスクール、文理学科設置校)ぐらいです。
春日丘・寝屋川・泉陽高校は文理探求科(学際領域)を設置するとされています。この3校はいずれも各地域にてGLHSの次に位置づけられている高校です。
同会議で配付された資料によると、学際領域とは「現代的な諸課題のうち、SDGsの実現やSociety5.0の到来に伴う諸課題に対応するために、学際的・複合的な学問分野や新たな学問領域に即した最先端の特色・魅力ある学びに重点的に取り組む」とされています。なかなかピンときません。
国際関係に関する学科(国際文化科・グローバル科・英語科)が設置されている高校でも大幅な改編・拡充等が予定されています。一部の学校は文理探究科(国際(仮))へ移行します。国際交流や少人数指導も強化されます。
ただ、国際文化科と併置されている事が多い総合科学科については特段の改編予定は記されていません。ここ10年程度は高校に於ける英語教育の重視が強調される反面、理数系教育については殆ど触れられていません。大阪府教委は理数教育を軽視しているのでしょうか。
旧大阪市立高校であるいちりつ高校・東高校では、普通科と理数科・英語科(総合科学科・国際文化科へ改編予定)が交換されます。普通科はいちりつ高校へ集約、それ以外は東高校へ集約する方針です。アクションプランで触れられている「同一学科同士での統合」です。
主に不登校生徒を対象とした「学びの多様化学校」も拡充されます。ここ数年の大阪での大きな教育課題の一つが「不登校児童・生徒の急増」です。我が家がお世話になっている中学校でも不登校生徒が非常に多く、先生方は対応に苦慮されています。
更なる大学進学希望の高まり・私立高校授業料無償化・通信制高校の増加が影響しているのか、多くの工業・商業・農業系高校は生徒募集に苦戦しています。お世話になっている中学校では通信制高校への進学にシフトしています。
しかし、面倒見の良さや手堅い就職先は大きな魅力だと感じています。成績優秀者は大学進学も可能です。特に旧大阪市立だった商業・工業系高校は、大阪公立大学への推薦枠を豊富に有していると聞きました。
これらの学校改編は令和8年度以降に順次実施されます。大まかな話はまだしも、個別の学校毎の話は中学校の進路指導でも把握しきれていません。各高校の説明会に参加する等して、最新の情報を収集するようにして下さい。
こうした話は、本来は私立高校授業料無償化を拡大する前に打ち出すべきでした。今春(2025年4月)は遂に私立高校への入学者が4割を超えました。公立高校への進学希望者が減少し、慌てて計画したかの様に見えます。


