大阪市の保育所等への申込書類には、「育児休業の延長、及び利用調整での後順位扱いの可否」を訊ねる項目があります。

この項目にチェックマークを入れた場合、具体的にどの様に取り扱われるのでしょうか。また、育児休業給付金の延長受給は可能なのでしょうか。「市民の声」に大阪市からの回答が掲載されています。

市民の声
 保育施設等の利用申請について、保育利用の申込みの際に提出する利用調整調査票(その1)に「私は、育児休業を延長することが可能であり、利用調整において他の希望者よりも後の順位付けになることに不服はありません(本事項に該当しなくなった場合はすみやかに申し立てます)。」のチェック欄がありますが、最近の制度変更により、「育休延長を希望する」と伝えるだけで減点対象になるような仕組みになっていることに、強い疑問と不安を感じています。

 このチェック欄が実際にどう扱われるのか、また仮に保育所に入れなかった場合、育児休業給付金は継続されるのかを確認するため、ハローワークと区役所にそれぞれ問い合わせましたが、たらい回しにされました。

市の考え方
 お寄せいただいたご意見に、「最近の制度変更により、『育休延長を希望する』と伝えるだけで減点対象になるような仕組みになっていること」とありますが、保育利用の申込みの際に「育休延長を希望する」と申し出になったことをもって、保育の利用調整において不利になることはありません。

 また、ご意見にあるチェック欄にチェックがあった場合は、利用調整において、同じ保育施設を希望した方の中で最も下位の順位付けとなります。そのため、その保育施設の希望者数が募集数以下であれば、原則として内定の取扱いになります。

 育児休業給付金の受給においては、先述の同じ項目内に「後順位の取扱いとなっても、育児休業給付金の受給において不利に働くことがありません」と明記しているとおり、この欄をチェックしたとしても不利にならないことについて、こども青少年局から国に確認しております。ただし、育児休業給付金の受給は国の所管事業ですので、ご意見にある「仮に保育所に入れなかった場合、育児休業給付金は継続されるのか」という点については、管轄のハローワークに確認いただきますようお願いします。

https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000656977.html

こうした項目が設定された理由は、育児休業を延長する手続に「保育所等へ入所を申し込んだが保留となった」旨の書類(保留通知書)が必要とされているという事情があります。

保留通知書を得たいが為の申込書が積み重なると、保育所等の入所調整事務が圧迫されてしまいます。そこで育児休業の延長と後順位扱いを希望する方は調整プロセスを大幅に簡略化(自動的に最後尾とする)し、調整事務の省力化を図るとされています。

大阪市の保育所等への申込書類(1.子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業利用調整申込書、利用調整調査票(その1))には、現に育児休業を取得している場合の利用調整に関する希望を訊ねる項目があります。

※現在育休中の場合の利用調整の希望について、いずれか一つのみにチェックをつけてください。(後順位の取扱い(選択肢②)となっても、育児休業給付金の受給において不利に働くことはありません。)

□ ① 私は、利用調整において通常通りの順位付けとなることを希望します。
□ ② 私は、育児休業を延長することが可能であり、利用調整において他の利用希望者よりも後の順位付けとなることに不服はありません(本事項に該当しなくなった場合はすみやかに申し立てます)。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000632/632847/02mousikomisyo_tyousahyou1.pdf

たとえ育児休業の延長を希望したとしても、他の利用希望者よりも後順位とされる事に不服が無いとして項目2にチェックマークを付けない限りは通常通りの調整が行われます。

育児休業給付金についても心配はありません。私も管轄のハローワークへ確認し、同趣旨の返答を頂きました。

【ご相談】「育休延長可能・利用調整での後順位を許容」を選択しても、育児休業給付金は延長できる?

大阪市の回答で注目すべきなのは別の部分です。項目2にチェックマークを付けるとその保育施設の希望者の中では最下位の順位付けとなりますが、保育施設の希望者数が募集数以下であれば原則として入所内定とされるそうです。

何らかの理由で育児休業を延長したいとして保育所等へ入所申込を行ったにも関わらず、希望者が全然いない保育所等を第1希望としてしまうと、たとえ項目2にチェックマークを入れていても入所内定となってしまうのです。

ここで入所内定を辞退すると育児休業給付金(延長分)の受給資格を喪失しかねないばかりか、同一年度に再び保育所等へ入所申込を行った際に「正当な理由なく利用を辞退した」として調整指数が-5点される可能性があります。踏んだり蹴ったりです。

確実に入所保留となりたいのであれば、第1希望に記入する保育所等は毎年の様に第1希望が非常に多く、かつ募集人数が少ない保育所等を選択して下さい。

項目2にチェックマークを入れておけば確実に入所保留となる保育所等を具体的に紹介していると推測される区(市内東部)もあります。

0歳児の募集予定数が1-2人程度にも関わらず、毎年20人前後が第1希望とする保育所等があります。その区には他にこうした保育所等はありません。意図的に集中させている疑いが拭えないのです。

確実に入所保留となりたい方は安心できますが、反対にその保育所等へ真に入所したい方は本当の入所希望者数が分からなくなってしまいます。他の保育所等への希望動向にも影響を及ぼします。良い方法だとは評価しがたいです。

10月からは来春の一斉入所申込手続も始まります。育児休業を延長するかしないか(もしくは許容するか)、必要な方は家庭内や勤務先で意思調整を図って下さい。