令和7年度大阪市保育所等一斉入所申込が進行中です。締切は2024年10月15日(火)です。未だ手続等を行っていない方はお急ぎ下さい。

少し前となりますが、申込書の記入方法等について御相談がありました。「申込みに際して育児休業の延長を許容しても、育児休業給付金は支障なく受給できるのでしょうか」といった趣旨です。

2025年4月1日より育児休業給付金の延長申請が厳格化されます。従前から必要だった「入所保留通知書」に加え、「入所申込書の写し」や「延長を希望する理由の申告書」が必要となります。更に「速やかな職場復帰の為に保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める事」という要件が追加されます。

Download (PDF, 466KB)

問題となるのが大阪市の保育所等申込書の記載内容です。利用調整調査票(その1)には「私は、育児休業を延長することが可能であり、利用調整において他の利用希望者よりも後の順位付けとなることに不服はありません。」という項目があります。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000632/632847/02mousikomisyo_tyousahyou1.pdf

ここにチェックマークを入れると、利用調整に於いて他の希望者より後の順位にて調整が行われます(後順位による利用調整)。

第8条 保護者が、希望する保育施設等を利用できない場合には育児休業の延長が許容でき、利用調整において後順位となることも許容する意思を示した場合においては、第4条第1項、第7条及び第7条の2の規定にかかわらず、同旨の意思を示していないものよりも後順位として利用調整を行うものとする。

大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱

この適用を受けた場合、果たして速やかな職場復帰の為に保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める事」という要件に合致するのでしょうか。「育児休業給付金の受給において不利に働くことはありません。」と書かれてはいますが、鵜呑みにして良いのでしょうか。

この文言は大阪市が大阪労働局に確認を行った回答とされています。その旨が利用調整基準の変更に関するパブコメに掲載されています。

雇用保険法施行規則(厚生労働省令)の一部改正に際しては、市区町村に対する保育の利用の申込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っている場合は、速やかな職場復帰を図るために保育の利用を希望しているものと認められない方針が厚生労働省から示されています。

 これを受け、本市における後順位を希望する場合の文言について大阪労働局に確認を行ったところ、「「現在育休中の場合の利用調整の希望」の選択肢の記載内容が育児休業給付金の受給に当たって不利に働くことはありません。」との回答を受けております。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/kisoku_kohyo/cmsfiles/contents/0000633/633195/01.pdf

年の為、私も大阪労働局へ確認を行いました。あくまで一般論としての話ですが、「育児休業給付金の延長支給の対象となります」という結論でした。

ポイントとなるのは、職安所長が認める要件の一つである「市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと」という文言の解釈です。反対解釈より、延長申請から除外されるのは「入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていること」と解釈できます。

具体的な解釈基準として、上記リーフレットには『「入所申込書において、「保育所等への入所を希望していない」、「速やかに職場復帰する意思がない」、「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」などの記載等があり、保育所等への入所の意思や速やかな職場復帰の意思がないことが明白な場合は、要件を満たしません。』とあります。

一方で大阪市の申込書や事務取扱要綱に記載されている文言は、「育児休業を延長することが可能であり、利用調整において他の利用希望者よりも後の順位付けとなることに不服はありません。」「後順位となることも許容する意思」です。あくまで「育休延長が可能」「後順位を許容」という程度に過ぎません。「入所保留を希望」「入所を希望しない」「育児休業の延長を希望する」とは似て非なる物です。

誰かが育児休業を延長する事が可能であれば、代わりに他の児童が入所できます。仮に潜在的に育児休業の延長を希望していたとしても、入所内定と育児休業延長でWin-Winの関係となります。

同様の文言を申込書に記載している自治体は少なくないでしょう。ダイレクトに入所保留や育児休業の延長を希望しているか、それとも一定程度の許容に過ぎないかがメルクマールとなります。