大阪市は市民から寄せられた様々な意見及び回答を「市民の声」に掲載しています。

先日、6月末に「東淀川区の保育所不足について」という声が取り上げられました。

 東淀川区の保育所不足をなんとかしてください。
 東淀川区では現在、都市開発に伴って新築マンションがかなり増えています。
 子育て世帯向けの大規模マンションもいくつかあり、小さな子供を持つ家庭がかなり増えました。
 しかし、保育所の園児募集の数は増えておらず、認可保育園への入所のハードルが上がっています。
 私の子供も利用保留となり、近所に住むお子さんも利用保留や、やむなく認可外に入れる方ばかりです。
 まだ建設途中のマンションも複数あるため、今後も待機児童の増加が予想されます。早急に対処していただきたいです。

(回答)
 東淀川区におきましては、令和5年4月1日現在の待機児童数は0人ですが、「育休中(注1)」や「特定保育所希望等(注2)」など、国の定義上待機児童には含まれない利用保留児童が152人おり、そのほとんどが0歳児~2歳児です。0歳児~2歳児の入所枠確保に向け、令和6年度に4か所の小規模保育事業所(0~2歳児を保育する事業所)の整備を進めることとしており、現在、保育事業所の設置・運営事業者を募集しております。

https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000628831.html

大阪市における保育所等の整備状況は区・地域によって大きな違いがあります。長きに渡って市中心部での保育所等の新設に注力した結果、都心部では大幅に入所しやすくなりました。10年前とは状況が劇的に変わりました。

その一方で対策が手薄になっている地域もあります。東淀川区に代表される、市中心部へ通勤しやすい地域です。

同区は阪急やJR各線が通過しており、交通利便性が高い地域です。ファミリー向けのマンションの建築も盛んです。しかし、それに見合う程度の保育所等が新設されているとは言い難いです。

等ウェブサイトでも今年2月に「【2024保育所等一斉入所申込分析】(10)東淀川区/0-2歳児入所倍率が入所難、保育所・こども園を新設する計画なし」という記事を投稿しました。

0歳児入所倍率は0.96倍(市内ワースト3位)、1歳児は1.38倍、2歳児は1.60倍です。第1希望とした保育所等へ入所できなかったどころか、希望した全ての保育所等へ入所できなかった児童が非常に多く生じてしまいました。

更に同区は認可外保育施設や企業主導型保育施設が決して多くありません。これらの施設は市中心部に近接した地域に集中しています。

結果として育休を延長した家庭や、子供と一緒に満員電車に乗車して都心部にある認可外保育施設等を利用するケースが多いと推測されます。

大阪市は家賃補助を増額する・店員上限を引き下げる等をし、北区や中央区での保育所等の新設を最重要視しています。しかし、先に触れた通り、都心部へ通勤しやすい、いわゆるベッドタウン的な要素が強い地域での保育所等の新設が後手に回ってしまいました。

こうした状況に危機感を覚えたのか、令和6年度は東淀川区で50人以上の施設(保育所やこども園)1施設・0-2歳児を対象とした6人以上の施設(地域型保育事業)3施設の募集を行っています。

令和6年度 保育施設等設置・運営事業者募集の実施について【全体案内】
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000615541.html

しかし、東淀川区の深刻な保育所等不足に対応するには明らかに不足しています。また、殆どの保護者が6年保育を行う保育所等を強く希望しており、0-2歳児の保育を行う地域型保育事業へのニーズは限定的です。

市中心部と比べて地価が安いのも関わらず交通利便性が高い東淀川区ですが、保育所等への入所が難しい状況は少なくとも今後数年間は継続する見通しです。

同区に限らず大阪市内での転居を検討している子育て世帯の方は、転居予定先の保育所等の入所しやすさは必ず確認して下さい。

様々な指標等がありますが、最も客観的なのは入所希望者に対する内定者から算出される「入所決定率」です。「待機児童数」は恣意的かつ早期に「0人」となるので、正確な状況を反映していません。