大阪メトロ中央線の運行見合わせにより、8月13日に大阪・関西万博会場は大混乱に見舞われました。

中央線の運行停止やその後の案内不徹底等により、大勢の方が帰宅する手段を失いました。少なく見積もっても数千人が万博会場内で一夜を過ごしました可能性があります。

「オールナイト万博」と称して貴重な体験と感じた方もいましたが、とりわけ小さな子供を抱えた家族連れにとっては死活問題となりました。

もしも運行停止する日が数日でもズレていたら、私自身も混乱に巻き込まれていました。日付は違うものの同じ時間帯に東ゲート前広場にいました。地下鉄が動かなくなった事によってあの人混みが止まったら、どこまで耐えられたか疑問です。

知人が事故に巻き込まれたので、事故発生直後から深夜まで私自身も情報収集等を行っていました。その際のメモ・関係各機関等からの発表・SNS等で広まった現地の状況等を、時系列順にして表にまとめました。

当日の流れ(タイムライン)

日時情報種別詳細
8月13日
21:30現地状況大阪メトロ中央線の運行が止まる
21:30頃現地状況夢洲駅周辺の群衆が動かなくなる
21:31現地状況同社より万博協会へ連絡が入る
21:45現地状況放送にて中央線の運転見合わせ・東ゲートからの退場制限・会場内での待機を伝えた。
22:00現地状況記録によると約4.5万人が会場内にいたという。
22:00~現地状況東ゲート外に救急車が続々とやってきた。ライブ配信越しでもサイレン音が断続的に聞こえる。
現地状況この頃には東ゲート付近で3~4万人が滞留していた。
22:05大阪メトロ運行情報ツイッター中央線が止まっている旨をツイートした。
22:10現地状況夢洲駅~コスモスクエア駅の折り返し運転を再開した。駅構外へは知らせず、駅周辺にいた来場者のみ運送した。
現地状況東ゲート外にいる来場者に対し、会場内へ戻る様に促すアナウンスがあった。
現地状況場内滞在者が給水器に殺到、長蛇の列となった。
22:33大阪メトロ運行情報ツイッター夢洲~コスモスクエア駅までの折り返し運転を行っている旨をツイートした。
22:35現地状況セレッソスポーツパーク舞洲バス停(万博会場最寄の路線バス、夢洲駅より徒歩25分程度)の最終バス(JR桜島駅行き)から最終バスが出発した。
現地状況来場者向けアプリ(Visitors)で緊急のお知らせが配信されたが、アクセス殺到の為、直後に繋がらなくなった。
現地状況折り返し運転を行うが、輸送能力に限りがあり、場内待機を依頼する場内放送があった。
22:40現地状況舞洲のコミュニティサイクルが全台貸し出しとなった。
現地状況西ゲートに多くのタクシーがやってきた。万博内入構証がないタクシーにも臨時入構を認めたとの話がある。
22:50現地状況阿波座~学研奈良登美ヶ丘間の折り返し運転を開始した。
23:00頃現地状況西ゲートにバスがやってきた。JR桜島駅へのピストン運行を実施した。
23:12万博公式ツイッター大阪メトロ中央線の運転見合わせをツイートした。
23:30現地状況万博協会の施設や一部パビリオンを開放した(周知せず)
22:50頃現地状況null2が点灯再開した。
23:00頃現地状況セブンイレブン大阪夢洲店に買い物客が殺到、大混雑となった。
夢洲駅周辺の警備体制が取れないとして会場警察から大阪メトロへ駅進入を取りやめる指示があり、入場規制を実施した。
23:30頃現地状況北港マリーナのレンタルサイクルも全て貸し出し中となった。
現地状況東ゲート前診療所が休憩所として開放された。
23:45頃現地状況夢洲駅への入場を再開した。
23:42落合陽一ツイッターnull2が終夜点灯を決定した。
23:45頃現地状況引き続き会場内で待機して欲しい旨の場内放送があった。
24:00頃現地状況臨時バス等との乗り継ぎの為、JRゆめ咲線や大阪環状線が大幅なダイヤ調整を行った。
万博協会万博協会が災害に準じたレベルの対応を行うと判断したという。
現地状況NTTパビリオンが独自判断で子供連れを優先して受け入れ、朝までに約150人が滞在した。充電用バッテリー・段ボール・毛布等を配布した。
24:25吉村知事ツイッターお詫び・災害対応・ヘルスケアの開放をツイートした。
24:27大阪メトロ運行情報ツイッター大阪メトロ運行情報が中央線折り返し運転、及びニュートラム・四つ橋線の運行をツイートした。
24:30現地状況西ゲートより環状線各駅への臨時バスを運行した。周知不足の為か、乗客は少なかったと聞く。
24:35吉村知事ツイッター大阪メトロ・臨時バス・タクシーの運行状況についてツイートした。
24:46吉村知事ツイッター万博会場内での終夜滞在に対応し、ヘルスケアを開放している旨をツイートした。
24:55頃現地状況夢洲駅周辺の行列が解消した。
25:00現地状況阪急電鉄京都線・宝塚線・神戸線の臨時電車を梅田駅を出発したが、乗客は殆どいなかった。周知されていなかったのに加え、ニュートラム・四つ橋線経由で移動しても間に合うのが難しい時間だった。
25:00頃現地状況ヘルスケアが来場者の受け入れを開始した。朝までに1000人近くが来場し、水1500本や菓子パン350個を配布した。
25:30現地状況照明や音響が付いているnull2に大勢の滞在者がやってきた。
25:06吉村知事ツイッター会場内にて水や食料等を配布する旨をツイートした。
25:26吉村知事ツイッターナショナルデーホールや団体休憩所等を開放するとの場内アナウンスがある旨をツイートした。
25:30頃現地状況コスモスクエア駅にて数百人以上がタクシーを待っているとの事。
25:35現地状況来場者向けアプリ(Visitors)で中央線の折り返し運転、及びニュートラム・四つ橋線の継続運行を配信した
現地状況少なくともポルトガル・ドイツ・チェコ・オランダ館が滞在者対応を行った(海外パビリオンのみ列挙)。
26:01万博公式ツイッター大阪メトロ中央線(折り返し)・ニュートラム・四つ橋線の運行をツイートした。
26:04万博公式ウェブサイト複数の国内パビリオン等を開放している旨、及び大阪メトロの運行状況を掲載した。
26:26吉村知事ツイッター会場内の警戒強化を要請した旨をツイートした。
26:30頃現地状況会場からの退出を促す大音量のアナウンスが繰り返して放送された。
26:43吉村知事ツイッター大阪メトロ中央線・ニュートラム・四つ橋線を15分間隔にて終夜運行する旨をツイートした。
26:47万博公式ツイッター複数の国内パビリオン等を開放している旨、及び大阪メトロの運行状況をツイートした。
27:00頃現地状況とある国内パビリオンは受け入れ準備を進めていたが、協会からの指示を待った結果、ようやく開放できた。
28:00頃現地状況会場内で水の配布を開始した
29:25現地状況中央線が全線で運転を再開した
29:49現地状況吉村知事が大阪メトロ中央線の運転再開、来場者へのお詫び、関係者への謝意をツイートした。
30:55現地状況全来場者が退場し、東ゲートを閉じた
8月14日
9:30現地状況通常より30分遅れで開業した
11:00現地状況滞在者を受け入れていたアメリカ館が通常より2時間遅れで開業した

万博協会「大事故は防げた、臨機応変に対応。きちんとできた」と自画自賛

翌日の記者会見で万博協会の高科副事務総長は「大きな事故は起きていない」「臨機応変に対応できた」「きちんとできたのではないか」と述べました。要旨は下記の通りです(生成AIによる要約)。

協会の対応と自己評価
協会は今回の事態を「突発的なインシデント」としながらも、大きな枠組みではある程度想定内の対応ができ、重大な事故を防ぎ、会場を再開できたことを評価している。しかし、個別の対応には多くの反省点があるとし、今後の検証と改善の必要性を強調した。

具体的な対応と課題は以下の通りである。

• 休憩場所の提供:
• 会場内のいくつかの国内・海外パビリオンや営業店舗、協会の施設(ナショナルデーホール、デジタルウォレットパーク、マネープラザ、団体休憩所、日本館など)を休憩場所として開放した。ただし、開放された全パビリオンの正確な数は現時点では把握できていない。協会所有の屋内施設については、翌日のイベント準備や設営作業のため、開放が困難な場所が多かったとのことである。国内パビリオンへは協会側から打診したが、一部自主的に開放した施設もあった。海外パビリオンへは打診を行っていないが、自主的に開放したところもあったとのことである。

• 物資の提供: 午前4時頃から水1000本を配布した。しかし、水は全ての滞在者に行き渡ったわけではなく、布団や毛布は提供されなかった。会場内の自動販売機も売り切れが多かったと認識されている。

• 情報発信:
◦ 情報発信のタイミングについては課題があることを認め、「アナウンスのタイミングが適切だったか」など、遅れや情報不足の指摘があったことを認識している。
◦ 21時45分頃に中央線運転見合わせと会場内待機のアナウンスを開始した。
◦ メトロの運行見通しが立たないと判断された深夜・未明頃に、災害レベルに準じた対応へと切り替え、場所の提供や水配布などを実施した。
◦ 当初、ピストン輸送の情報を早急に流すと夢洲駅に人が殺到し、雑踏事故の危険があるため、まず駅構内の滞留者を捌いてから、来場者の駅への誘導を段階的に行ったと説明している。メトロ運行情報がホームページに掲載されたのは1時35分であった。
◦ 外国語アナウンスは初期対応で遅れや不十分な点があったものの、途中からは日本語と英語の同時アナウンスに改善された。聴覚障害者向けの情報発信も十分ではなかったとの認識を示している。
◦ SNSは、津波警報時には活用されなかったが、今回は広く周知するために利用された。

• 代替輸送:
◦ 西ゲートからのバスやタクシーも利用可能であったが、会場内に多数の人が残っている中で西ゲートへ誘導すると、そちらでも混雑や雑踏事故のリスクが高まるため、積極的な誘導は行わなかった。
◦ 深夜帯には桜島駅や弁天町駅行きの臨時バス(無料、大阪メトロが手配)が運行され、JRも臨時列車や接続に協力した。しかし、バスの輸送力は鉄道に比べて大幅に小さく、3万人規模の代替には限界があるとのことである。
◦ 船舶による代替輸送は、今回は検討されなかった。

マニュアルと臨機応変な対応 鉄道トラブル発生時のマニュアルは存在するが、今回の長時間の運行停止は「初めてのケース」であり、災害レベルでの対応はマニュアルにない部分が多々あり、状況に応じた臨機応変な対応が求められたと説明されている。特に、夢洲駅での雑踏事故を避けるため、一旦来場者を会場内に戻す判断がなされた。マニュアルは非公表の内部行動規範である。

【万博協会が会見①】“万博足止め” 大阪メトロ中央線一時運転見合わせで来場者が帰宅困難に
【万博協会が会見②】“万博足止め” 大阪メトロ中央線一時運転見合わせで来場者が帰宅困難に(質疑前半)
【万博協会が会見③】“万博足止め” 大阪メトロ中央線一時運転見合わせで来場者が帰宅困難に(質疑後半)

万博協会は「個別具体的な課題はあるが、重大事故を防ぎながら翌朝も再開できた」として高い自己評価を行っています。確かに大きな事故や重症者等が発生しなかった点は高く評価されるべきでしょう。

一方、重大事故等の抑制を必要以上に重視した為か、個々の来場者に対する対応や案内等が軽視されたと感じています。群衆はコントロールしたが、弱い個人は置き去りにされた形です。

確かに大きな事故は起きていませんが、あくまで結果論です。多くの来場者(特に家族連れ)が路頭に迷い、苦しい一夜を過ごしました。

情報発信の拙さと施設開放・物資提供の遅さが家族連れを苦しめた

交通機関が麻痺してしまった場合、来場者が最も強く求めるのは「再開見込み、代替となる交通手段、一時滞在や飲食物を配布している施設」です。

強く非難されるべきなのは情報発表の遅さです。公式発表が余りに遅く、かつ少なかったです。内容も僅かでした。

事故に関して初めてツイートしたのは23時12分でした。事故発生から既に2時間近くが経過しています。
https://x.com/expo2025_japan/status/1955633619642511833

次は26時1分でした。4時間ほど前である22時10分より折り返し運転を再開していました。
https://x.com/expo2025_japan/status/1955676054879912142

最後は26時47分でした。休憩できるパビリオンを紹介するものです。
https://x.com/expo2025_japan/status/1955687606290989565

再開見込みに関する案内はありません。代替となる交通手段の案内も非常に遅く、西ゲートからのバスやタクシーに触れていません。極めつけは深夜3時前の休憩場所等の案内です。既に会場内で野宿している来場者が数多くいました。ライブカメラの向こうには、ベンチや路上で寝ている家族連れの姿もありました。

いずれのツイートも遅すぎます。来場者が求めている情報を適宜適切に発信できておらず、緊急対応として失格です。

大きな原因の一つは、万博協会の意識の甘さと判断の遅さにあります。災害に準じたレベルの対応を行うと判断したのは24時頃でした。既に2時間半ほどが過ぎています。

しかし、それより前にできた事があります。代替となる交通手段の案内です。西ゲートには数多くのバスやタクシーがやってきていました。地下鉄もコスモスクエアとの折り返し運転を行い始めました。しかし、万博協会はこうした情報をSNSで発信していません。会場アナウンスがあったとしても、あの場所では聞き取るのは難しいです。

混乱防止の為、万博協会は意図的に情報発信を行わなかったのでしょうか。確かに雑踏事故防止は重要です。関西では明石市の花火会場での雑踏事故が未だに記憶に新しいです。

されど、万博会場では通常時から雑踏事故を防ぐ為に待機列等を設定しています。通常の帰宅時に準じたルート設定を行い、駅構内への入場者を制限すれば、より多くの来場者が帰宅できました。西ルートも同じです。

多くの来場者が参考にしたのは、大阪府の吉村知事のツイートだったでしょう。第一報は24時25分と遅くなりましたが、その後の情報発信は小まめかつ詳細でした。

第一報では来場者が最も求めている施設開放(ヘルスケア)、及び大阪メトロ・臨時バス・タクシーの運行状況を知らせました。帰宅困難者が必要とする情報を理解しています。

しかし、こうした情報が真っ先に府知事のツイッターから発信されるのはおかしな話です。確かにフォロワー数が多いとしても、知事の仕事とは言い難いです。万博協会の公式ツイッター等から発信されるべき情報です。

大阪メトロの情報発信にも課題が残ります。運行停止をツイートしたのは30分以上が過ぎた22時5分でした。その直後に折り返し運転を再開しましたが、ツイートしたのは30分後でした。

駅構内に人が殺到するのを防ぐ為だったとしても、その為に情報を遅らせると不信感が募ります。「少しずつお越し下さい」と一文添え、万博会場にて出場制限を行えば十分です。意図的な情報隠しには群衆の不満が爆発しやすいです。

施設開放等に関する対応も遅かったです。NTT等は万博協会が指示を出す前から開放した一方、準備が出来ていた一部のパビリオンは万博協会からの指示が出てから27時頃にようやく開放しました。深夜3時に開放されても、という気持ちになります。おまけに協会が水等を配布したのは28時でした。

会場内には豊富な物資が備蓄されています。しかし、配布するには協会上層部の判断が必要でしょう。現場判断ではできません。

https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/bousai_jissikeikaku_1st.pdf

反対に独自で判断した一部パビリオン等の対応は迅速でした。来場者用の飲食物を配布したパビリオンもあれば、一部の飲食店は格安で販売しました。会場内の自動販売機がほぼ完売となる中、こうした物資供与は非常に有り難いです。

但し、小さな子供が必要とするミルクやオムツ等を備蓄しているのは万博協会だけでしょう。オムツを使い切った家族連れは少なくありません。授乳も出来ません。真っ先に提供すべき物資でした。

「翌日のイベント準備や設営作業のため、開放が困難な場所が多かった」と言うのも酷い話です。帰宅手段を失って路頭に迷っている多くの来場者より、翌日のイベント準備を優先するのはあり得ない話です。優先順位の設定が明らかに間違っています。

しばしば「でもSNSで他の人の投稿を見れば、交通状況や開放施設は分かる」という指摘もあります。でも、それは会場から離れた場所にいるから言える事でしょう。

会場から離れたネットで見ていると、早い段階から夢洲→コスモスクエア→住之江公園→四つ橋線というルートが繋がっていると認識できました。しかし、現地の混雑状況(特に駅構内や車両内)は分かりません。

また、夜遅くに疲れ切っている状態の中、SNSで情報を集めるのは更に疲労が溜まります。スマホのバッテリーも残り僅かです。

更に小さな子供と来場している家庭であれば、SNSでの情報収集より子供の対応が優先されます。スマホの画面を見ていたら、子供を見失ってしまいます。

ライブカメラの映像では深夜の万博会場内を右往左往し、立ち尽くした家族連れの姿を幾度となく見掛け噛ました。会場内で休める場所や動いている交通機関を適切にアナウンスして欲しかったです。自然災害等にも共通しますが、災害が起きている場所では思いの外情報を入手できません。

「オールナイト万博」を楽しめたのは、体力に余裕がある若年層や現役世代のみで降霊されたグループでしょう。子供や高齢者と共に来場したグループにとって最重要なのは、体力に劣る子供や高齢者の健康維持です。たとえ元気だったとしても、屋外で野宿させるわけにはいきません。

「子供と一緒に巻き込まれた」とシミュレート

もしも私が子供と一緒にあの混乱に巻き込まれていたら、どういった行動を取ったでしょうか。

中央線の運行停止によって人混みが動かなくなった段階では、運行再開を待ったでしょう。しかし、運行停止が長期化して子供達の様子に異変を感じ始めた段階で、何とか人混みから抜け出そうとしたでしょう。警備員の事情を話して鉄柵を抜けさせて貰う、ボックスカルバートから脱出する等を考えましたが、あの人混みや警備員の少なさでは難しかったと思います。

実は中央線が止まった時の為として、万博会場から夢舞大橋を経由して徒歩25分ほどの場所にあるバス停へ脱出する案を想定していました。大人の足ならば終バス(22時35分)に間に合いますが、子供と一緒では選択できません。

その後は人流に乗って東ゲートから会場内へ戻ったでしょう。子供と一緒に行動しているので、人流と共に移動するのが安全です。

でも、ゲート内では特段の案内等はありません。手持ちの食料や飲み水の残量を確認し、給水器や自販機で飲み水を確保しようとしたでしょう。長蛇の列に並び、何とか水筒を水で満たします。

ここで地下鉄が折り返し運転しているという話を小耳に挟んだとしても、大阪メトロの公式ツイッターには投稿されていません。スマホの電池残量は僅かなので、SNS等で情報を集めるのは控えてしまいます。情報収集という場面ではモバイルバッテリーやタブレット端末を持っている人が強いです。

地下鉄の運行再開を待ちたいので、しばらくは東ゲート付近で待機した筈です。経験上、情報が集まりやすく、その後も行動しやすい駅や係員詰め所の近くで待つのが最善です。子供と一緒なので、できる限り移動したくない気持ちも強いです。

22時35分頃に折り返し運転を行うが場内待機して欲しい旨の放送がありました。ゲートから駅へ向かおうとしても、警備員に止められたという話がネットにあります。私なら「子供が限界です。早く電車に乗せて欲しいです。ダメなら子供が休める場所や飲食物を提供して下さい。」とお願いしたでしょう。

通してくれれば駅へ向かって電車に乗車して行ける場所まで移動します。どこかの駅で降車してからタクシーで帰宅します。ゲートを通してくれなくても、子供が座れる場所は確保できたでしょう。どちらも拒否されたら、他の担当者や警察官に同じ話をし続けます。客観的に不可能な要望はしませんが、可能なお願いは繰り返し行います。

東ゲート付近には万博スタッフが集中しており、各パビリオンの従業員も頻繁に出入りしています。ここを見ていれば万博協会等の動きは掴めます。ヘルスケアやNTTパビリオンが施設を開放したとの情報を早期に入手できます。

開放されたパビリオンで一休みし、今後の行動を検討します。既に24時過ぎ、疲れた子供は寝ています。駅へ向かっても、帰宅するのは26~27時頃となるでしょう。タクシーを待つ行列の長さは想像できず、タクシー代も掛かります。

これと前後して、口コミやSNS情報等で西ゲートにバスやタクシーが頻繁にやってきているとの噂話も舞い込んできます。バスで桜島駅まで移動しても、更に時間が読めないJRで移動しなければなりません。万博会場から自宅までのタクシー代は幾ら掛かるのでしょうか。

何より疲れ切っている子供と一緒に西ゲートまで動く気力が沸きません。寝ている子供は抱っこできますが、起きてぐずり始めると対応に苦慮します。

25時頃には夢洲駅の行列が解消しました。でも施設内で休んでいると、この情報を得るのは難しかったです。休める場所を確保できていれば、そのまま翌朝まで滞在したでしょう。施設内は空調が保たれ、スタッフもいるので安心できます。

翌日は朝5時頃に目が覚め、ニュートラムを経由して帰宅したと考えています。翌日は身体が動かず、ずっと寝ていた筈です。

小さな子供と一緒に過ごしていると、様々な行動に制約が掛かります。何より「子供第一」で動かなければなりません。移動した先で想定外の長時間に渡って待たされたり、混乱に巻き込まれたりするリスクは極力回避します。

当日は地下鉄へ乗車して帰宅する可能性を考えつつ、会場内で朝まで過ごすという両にらみで検討した事でしょう。どちらか子供にとって良いかという基準で判断しました。

「雑踏事故防止」を題目とした、無責任な対応

万博協会には社会的弱者である子供や高齢者への対応を丁寧に考えて欲しかったです。事故等を防ぐ為に情報提供を渋った結果、しわ寄せが子供等に及びました。

大きな事故等が発生しなかったのには、来場者のモラルの高さもありました。万博へ来場するには原則として高額の入場券を購入し、ネットで入場予約をしなければなりません。一定程度の経済力とITスキルが求められています。

パビリオン等でも順番を守って入場を待っており、緊急時でも係員の指示に従って行動できます。誰でも集まれる花火大会や初詣等とは性質が異なります。もしも数万人が集まる花火大会で鉄道網が遮断されたら、大きな事故等が起こる可能性は否定できません。

万博会場での雑踏事故を防ぐ為に行動に制約を科すのであれば、同時かつ早急に滞在施設の開放や物資の提供を行うべきでした。待たせるだけ待たせ、あとは放置された形です。

大阪府の吉村知事が巻き込まれた方からの生の声を集めています。是非ご覧下さい。
https://x.com/hiroyoshimura/status/1955981760602497234