大阪・関西万博会場に設置された「壁の無い子供用トイレ」が物議を醸しています。
https://x.com/mariyatomoko/status/1909554586224132414
万博の「壁のない子ども用トイレ」はなぜ? 裏に保育の「当たり前」
https://withnews.jp/article/f0250416001qq000000000000000W0j610101qq000027941A
上記withnewsによると、このトイレは入退場ゲートの脇にある「迷子/ベビーセンター」内にあり、0-2歳児の利用を想定して設置されたそうです。
早くも疑問が沸きました。こうしたトイレを利用できるのは概ね2歳児以降です。個人差はありますが、我が家がお世話になっている保育園では2歳~2歳半頃からトイレトレーニングを行い始め、3歳~4歳になるまでに1人でトイレを使える様になるのが一般的です。
経験上、こうしたトイレを0-1歳児が利用する状況を全く想定出来ません。0-1歳児は常に、2-3歳児も多くはオムツを着用しています。0-1歳児に必要なのは、トイレでは無く「オムツ交換台」です。
壁の無いトイレは、多くの園児が集団生活を行う保育所等にて効果を発揮するでしょう。保育所等では1人の保育士が複数の園児を見なければなりません。壁があるとしても、大人の視線は遮らない程度の高さの壁です。
トイレトレーニングを終えてオムツが外れた3~4歳児以降は、1人でトイレで排泄等を済ませられます。プライバシー等の観点から、個室が望ましいのは当然です。
お世話になっている保育園でも、こうした考えに基づいたトイレを設置しています。少しずつトイレトレーニングを始まる1歳児クラス(年度中に2歳児になる)や2歳児クラス(同3歳)には壁がない(もしくは壁が低い)トイレ、3歳児クラスからは半個室のトイレを利用しています。
となると、出先で壁が無いトイレを利用するシチュエーションが全く想定できません。オムツが外れていない子供はオムツ交換台、外れた子供は個室・半個室や小便器で排尿・排泄を行います。
トイレメーカーTOTOのカタログ「学校・幼児施設トイレブック」にも、年齢毎に異なるトイレが提案されています。
迷子センターに設置されているトイレは、0-1歳児用トイレと瓜二つです。
では、どうしてこうした「壁の無いトイレ」を設置したのでしょうか。気になったのは、万博協会幹部や関係者における「中年・高齢男性の多さ」です。
開幕式会場に集った人間の殆どは黒の背広を着用した高齢・中年男性でした。協会幹部の多くも同じ様な構成でしょう。しかし、こうした男性の多くは育児との関わりが薄いです。ましてや小さな子供と一緒に外出先のトイレを利用した経験は殆どないでしょう。
迷子センターに設置するトイレを検討する際、「多くの子供が滞在する可能性がある施設だから、同じ様な保育所等で使用しているトイレが最適だ。」と判断したのではないでしょうか。
しかし、限られた園児と保育士が滞在する保育所等と、不特定多数の人間が利用する商業施設では全く性質が異なります。
万博協会幹部等における「多様性の無さ」がこうした事態を招いた一因でしょう。施設設計や発注等を行う部署に(男女問わずに)子育て経験が豊富で日常的に保育所等を利用している人間がいたら、「このトイレは適切では無い。百貨店等で見た事が無い。」と気付きます。
なお、万博会場内には個室・半個室の子供用トイレも多数あるそうです。「壁の無い子供用トイレ」は極一部です。ご安心下さい。