2025年4月13日に大阪・関西万博が開幕します。残り1か月を切りました。

チケット販売が目標の半分程度にしか達していない、完成したパビリオンが2割程度しかない、学校単位の参加見送りが相次いでいる等、様々な問題を指摘する報道が相次いでいます。

そうした中、一般参加者(予定)として最も心配しているのは「熱中症」です。

(前略)
 日本国際博覧会協会(万博協会)は、来場者全体の0・1%に当たる1日約150人の傷病者が発生し、うち3%程度が重症と想定する。2005年の愛知万博など、過去の万博の実績からはじいた。

 愛知万博では、半年の会期中に313件の熱中症患者が出た。ただ、当時とは状況が異なる。23、24年の6~8月の平均気温(全国)は、平年より1・76度高く、1898年の統計開始以降、最も暑かった。温暖化の影響とみられ、大阪市の昨年の猛暑日(35度以上)は41日に上る。

 防災・危機管理政策に詳しい永松伸吾・関西大教授は「危機管理上の想定は平均ではなく、常に最悪の事態を考えて備えるのが原則。過去の万博の基準で大丈夫なのか」と疑問を呈した。

万博協会は▽テントやパラソルの設置▽ミストやスポットエアコンによる送風▽遮熱性舗装や植栽による地表面の高温化防止――などの対策を打ち出した。

 23年夏に千葉市で開かれた音楽フェスティバル「サマーソニック」では、開演を待っていたファンが次々に倒れ、救護所に100人以上が殺到する事態を招いた。万博を所管する経済産業省幹部は「暑さの問題は蓋を開けてみないとわからない」と頭を悩ませる。

 来場を検討する人たちからは、安全性を不安視する声が上がっている。

 大阪府内では、小中学生の無料招待を計画しているが、4市町(2月時点)が見送りを決めた。吹田市の担当者は「昼食をとる休憩所にエアコンもなく、安全性が確保できない」と話す。

 会場を視察した大阪市の旅行事業者の代表は、観光バスの乗降場所から入場ゲートまで約1キロ・メートル歩くことを問題視。「夏場は危ない。高齢のお客さんには勧められない」と打ち明けた。(以下省略)

https://www.yomiuri.co.jp/expo2025/20250316-OYO1T50026/

ここ数年の大阪は酷暑が加速しています。特に深刻なのは7-9月です。2024年7月の平均最高気温は33.5度、8月は35.4度、9月は33.0度でした。特に深刻なのは1日の平均気温です。7月は29.6度、8月は30.4度、9月は28.6度でした。7月と9月は史上最高でした。

これにつられる形で、早くも5月の連休明けから「暑い」と感じる日が増えています。3年前は6月頭に開催された中学校・高校の体育大会で多くの学生が具合が悪くなり、緊急搬送されました。

【ニュース】大阪女学院中学・高校の体育大会で熱中症、重症1人・中等症25人・軽症5人

肌感覚は「少なくとも6月以降の屋外活動は、万全の熱中症対策を行った上での厳重警戒が必要。」です。中学校では炎天下に晒された登校直後や部活動で体調を崩す生徒が続出しました。熱中症対策が極めて杜撰でした。

同じ様な光景が万博会場でも発生するのは必至です。テントやパラソルの設置、ミストやエアコンによる送風、遮熱性舗装だけでは対策として不十分です。

特に不安なのは「水分不足」です。小中学校から遠足に出掛ける際はお茶を入れた水筒を必ず持参しています。されど、これだけの暑さともなると、早々に飲みきってしまう児童生徒が続出するでしょう。

普段の遠足であれば、教員の判断で適当な場所にて水分を購入できます。十分な下見も行われているので、コンビニ等の場所も頭に入っています。

しかし、学校単位での万博見学では「下見不足」が懸念されています。手近な場所で十分な水分を適当な値段で購入できるのでしょうか。しかも「全面キャッシュレス決済」です。

弁当を食べたりする休憩所にはエアコンがありません。気温次第では弁当が腐ります。

個人での来場も心配です。確実に水分が尽きます。1リットルではとても足りないでしょう。

未だに全く理解できないのは、大阪市が4歳~17歳に配布する「夏パス」です。夏休み中は何度でも入場できます。

【大阪・関西万博】大阪市内の4歳~17歳に夏休み中のフリーチケット「夏パス」を配布へ

大阪の7-8月は酷暑が続きます。最高気温が35度を超える日が十数日も続き、時には40度近くに到達します。とても屋外にはいられません。小学校は体育の授業を取りやめたり、保育園ではプール遊びすらできないほどです。

大阪市街地と比べれば、海が近くて風が通りやすい夢洲は幾分涼しいかもしれません。しかし、恐らくは誤差の範囲です。こうした環境へはとても子供を出掛けさせられないし、親も一緒に出掛けたくありません。

中には子供だけで遊びに来るグループもいるでしょう。誰かが急激に体調を崩し、緊急連絡を受けた保護者が夢洲もしくは病院へと迎えに行く事態が起こるでしょう。

大阪における夏場の屋外活動は大きなリスクが伴います。大阪市による夏パス配布は、子供を「酷暑」という危険に晒すだけです。いつでも入場できる「一日券」でしたら有り難かったのですが。

我が家は極力4月中、遅くても5月中には一度観に行こうと考えています。予約せずに入場できるパビリオン(日本関係以外は概ね予約不要?)へ入場し、賛否両論がある大屋根リングに上ってみます。

万博の内容に関わらず、子供にとって「万博を観に行った」という記憶は一生物です。「とても楽しかった」という感想でも、「行く価値が無かった」という感想でも構いません。行っておけば、数十年後にどこかで「そういうえば関西万博は○○××だった」という話ができるでしょう。